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横浜市立市民病院 石原 淳 病院長

こちらの記事の監修医師
横浜市立市民病院
石原 淳 病院長

せんてんせいしんしっかん先天性心疾患

概要

生まれつき見られる心臓の疾患を総称して、先天性心疾患と呼ぶ。心臓の中隔に穴が空いていたり、弁の働きが悪かったり、4つあるはずの心臓の部屋が少なかったりとさまざまな種類があり、大まかには顔や唇、手足が青紫色になるチアノーゼを伴う「チアノーゼ性心疾患」と、チアノーゼを伴わない「非チアノーゼ性心疾患」に分けられる。小さな欠損まで含めると新生児の100人に1人が発症するとされ、左心室と右心室を隔てる壁に穴が空いている心室中隔欠損症、心臓から肺に血液を送る肺動脈が狭くなっている肺動脈狭窄、左心房と右心房の間の壁に欠損がある心房中隔欠損症が多く見られる。

原因

遺伝子病や染色体異常を伴うものもあるが、多くは成因不明の多因子遺伝により、胎児の頃の心臓を形作る段階で何かしらの問題が生じたためと考えられている。最近は超音波(エコー)検査によって胎児の時点で心臓の異常を発見できるようになり、早い段階では心臓が小さく見えるようになる20週頃には確認できる場合もある。そもそもの原因は明確に特定できないことがほとんどであるが、母体側にも心疾患を引き起こす要因がある場合があり、例えば妊娠中の喫煙やアルコールの摂取、胎児に悪影響を及ぼす可能性のある薬(リチウムやサリドマイドなど)の服用、風疹ウイルスの感染、糖尿病膠原病などは発症のリスクを高めるといわれている。

症状

心疾患の種類によって細かな症状は異なるが、チアノーゼ性心疾患では、泣いたり、便を出す時に息んだり、熱を出したりしたときにチアノーゼが顕著になるのが特徴的な症状。これは、全身を巡った後、静脈を通って心臓に戻ってきた酸素の少ない赤黒い血液が、心臓に空いた穴や弁の異常により肺で十分な酸素を供給しないまま全身へ流れてしまうことによって起こる。一方、非チアノーゼ性心疾患では、心臓と肺の間を大量の血液が空回りするために大きな負担がかかり、呼吸が速くなったり、汗をかきやすくなったりする。また、ミルクをあまり飲まなくなったり、体重の減少が見られたりするのも特徴の一つ。

検査・診断

問診と診察に加え、心電図検査、心臓超音波(エコー)検査、胸部エックス線検査、CT検査、MRI検査などの画像診断と血液検査を行い、心臓の形や大きさ、心室・心房、血管、弁の状態、不整脈の有無などを詳しく調べる。また手術を行う必要がある場合には、心臓カテーテル検査を実施することもある。これは心房や心室などにカテーテルを入れて血圧や酸素濃度を測るほか、造影剤を入れてエックス線撮影を行うことで血液が循環する様子を観察する検査で、心臓の穴の位置や大きさを確かめるのに役立つ。 適応は疾患や全身状態などにより異なる。

治療

例えば、心室中隔欠損症や心房中隔欠損症といった心室や心房に穴が空いているタイプの疾患では、穴が小さければ自然にふさがるケースもあるが、必要があれば手術やカテーテル治療によって穴をふさぐ治療をする。また、肺動脈弁狭窄など弁に問題がある疾患においては、カテーテルに取りつけたバルーンを膨らませて狭くなっている弁を広げる治療や、人工の弁を入れる治療などを行う。そのほかにも、大動脈と肺動脈を入れ替える動脈スイッチ術、血管のバイパス手術、薬物療法などさまざまな方法がある。先天性心疾患には多くの種類があり、重症度に関しても治療の必要がないもの、ゆくゆくの自然治癒が見込めるもの、早急に治療をしなければならないもの、難治性のものと幅広い。そのため、それぞれの疾患や重症度に合わせて適切な方法を選択する必要がある。

予防/治療後の注意

年齢にかかわらず術後は医師の指示の下で定期的な診察が必要である。学童期以上の場合は、運動や食事に制限が必要なこともあり、本人や家族が病気のことを理解した上で指示を守ることが大切。さらに、過度の肥満は心臓に負担をかける原因となるので、できる範囲での運動、栄養バランスの良い食事を心がけること。また心疾患の治療法が発達して助かるケースが増えたことで、成人になった先天性心疾患の患者「成人先天性心疾患患者」が増えている。心不全の症状などがある場合、高血圧などが原因で後天的に発症するケースとは治療方針が異なる場合が多いため、専門の医師の判断を仰ぎ適切に管理することが重要となる。 

横浜市立市民病院 石原 淳 病院長

こちらの記事の監修医師

横浜市立市民病院

石原 淳 病院長

島根県出身。1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院や関連病院で小児循環器科の診療に携わり、1998年に市民病院に入職。 小児科部長、副病院長などを経て2013年より現職。研修医の指導や育成、看護師の教育に力を入れる。