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横浜新都市脳神経外科 院長 森本 将史 先生

こちらの記事の監修医師
横浜新都市脳神経外科
院長 森本 将史 先生

せんたんきょだいしょう(まったんきょだいしょう)きょじんしょう先端巨大症(末端巨大症)/巨人症

概要

先端巨大症(末端巨大症)は、アクロメガリーとも呼ばれる、成長ホルモンの影響で手足が肥大したり、顔つきが変化したりする病気。年間の発症率は100万人に3~5人といわれ、40~65歳の人に多くみられる。ゆっくりと進行するため気づきにくく、正確な診断がつくまでに年単位の長い時間がかかることが多い。子どもの場合は、成長期により多くの成長ホルモンが分泌されることで骨格が全体的に成長し、際だって高身長になったり手足が長くなったりするので「巨人症(下垂体性巨人症)」と呼ばれる。この病気は世間一般にあまり知られておらず、症状への無理解や変わっていく顔貌に対して苦しむ患者が少なくない。

原因

脳の奥にある下垂体に発生した、良性の腫瘍が原因であるケースがほとんどだといわれている。脳下垂体は、ホルモンの分泌をつかさどっている器官で、骨格や筋肉の発達を促す成長ホルモン、体温や血圧、血糖などを調節している副腎皮質刺激ホルモン、乳腺の発育や妊娠の継続に関係するプロラクチン、甲状腺の機能を調整する甲状腺刺激ホルモンなど、さまざまなホルモンを分泌している。ここに「成長ホルモン産生下垂体腺腫」と呼ばれる腫瘍ができることで成長ホルモンが長期間にわたり過剰に分泌され、手足の肥大などを引き起こす。また、膵臓や肺にできる特定の腫瘍から分泌されたホルモンが下垂体に影響を与え、成長ホルモンが過剰に作られるというケースもある。なお症状については、腫瘍そのものの影響によるものと、ホルモンの過剰分泌によるものとがある。

症状

手足の肥大のほか、眉間・頬骨の突出、鼻や唇、耳たぶの肥大、下顎の出っ張りによる噛み合わせの悪化といった顔つきの変化が特徴的な症状として挙げられる。また舌が分厚くなり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすこともある。さらに、代謝に異常を来し、糖尿病、高血圧、脂質異常症を発症するケース、心肥大や慢性呼吸不全などの循環器や呼吸器の疾患を合併するケースも少なくない。その他にも、頭痛、視野狭窄、声が低くなる、汗をかきやすくなる、女性であれば月経不順や授乳中でないのに母乳が分泌されるといったさまざまな症状が現れる。巨人症の場合は、高身長や手足の伸び以外に、思春期の遅れ、性器の発達の異常などが見られることもある。

検査・診断

診察で手足の肥大や顔つきを診る他、頭痛や月経異常、高血圧、子どもの場合は高身長など先端巨大症や巨人症が疑われる症状がみられるかどうかを確かめる。加えて、血液検査で成長ホルモンの分泌に異常がないかどうかを調べる。成長ホルモン(GH)とインスリン様成長因子-1(IGF-1)を測定し、両方とも数値が高ければ診断が確定される。また、頭部のMRI検査やCT検査を行い、下垂体の腫瘍の有無やその状態を確認する。なお、成長ホルモンは先端巨大症や巨人症でなくても高い数値を示すことがある。そのため、見た目の症状や画像検査だけで診断できるケースを除いて、成長ホルモン濃度を抑える物質(一般的にはブドウ糖)を経口投与し、抑制が起こらないことを確認する必要がある。

治療

下垂体に腫瘍が見つかった場合は、全身疾患があるために麻酔や手術が難しいケースなどを除いて、手術での切除が第一に選択される。経蝶形骨洞手術(ハーディー手術)と呼ばれる方法で、手術用顕微鏡や内視鏡を使って、鼻孔から腫瘍を取り出す。腫瘍が大きく鼻腔を通らない場合は、開頭手術となる。これにより成長ホルモンの過剰分泌は落ち着き、ほとんどの場合、他のホルモンにも影響を及ぼさないといわれる。手術では改善が見られない場合には、薬物療法の他腫瘍にピンポイントで放射能を照射するガンマナイフやサイバーナイフによる放射線治療を追加する。また、高血圧や糖尿病を合併しているときは、その治療も行う。先端巨大症や巨人症は、長期にわたって放置するとさまざまな合併症を引き起こすが、適切な治療を受ければ、多くの場合は大きな支障なく日常生活が送ることができる。

横浜新都市脳神経外科 院長 森本 将史 先生

こちらの記事の監修医師

横浜新都市脳神経外科

院長 森本 将史 先生

1993年京都大学医学部卒業。2002年同大学院医学研究科修了。同医学部附属病院、国立循環器病研究センター、Center for Transgene Technology and Gene Therapyでの勤務を経て、2010年に横浜新都市脳神経外科病院の脳神経外科部長に就任。2011年から現職。専門分野は脳動脈瘤、バイパスなどの血行再建手術、血管内手術などの脳血管障害、脳腫瘍。