濱口 雅光 院長の独自取材記事
浜口クリニック
(大阪市北区/大阪駅)
最終更新日:2025/09/29

新たな商業施設などが続々と誕生し、注目を集める北梅田エリア。その駅から歩いて1分という好立地にあるビルの6~8階の3フロアを使い、1995年から診療を続けている「浜口クリニック」。院長を務めるのは、日本形成外科学会形成外科専門医で医学博士でもある濱口雅光先生。当院は診療領域が重なる部分が多い形成外科と皮膚科を併科し、一般診療から外科治療、美容的アプローチに至るまで、患者と信頼関係を築きながら、さまざまな診療を提供し続けている。中でも多汗症の治療を得意とし、腋窩多汗症に伴うわきがの手術にも対応。その幅広い診療にはどのようなものがあるのか、どのような思いで患者と向き合っているのか濱口院長にじっくり語ってもらった。
(取材日2025年9月4日)
皮膚科と形成外科の両輪で幅広い選択肢を提供
まずはクリニックをスタートさせた経緯を教えてください。

私が開業する前、ここは美容外科の医院でした。私は形成外科が専門で、大学から手術を手伝いに来ていたのですが、院長がご高齢になられたということで医院を私が継ぐことになったわけです。最初は美容外科として美容手術を数多く行っていたのですが、美容だけというのはどうも自分には合わないと思うようになって。もっと病気や症状で困っている人の助けになりたい、そう考えて保険診療での治療に徐々に力を入れるようになりました。すると皮膚科も必要という考えに至り、皮膚科の先生に来ていただいたり、レーザー治療をやり始めたりと、少しずつ形態を変えて今のようなかたちになりました。開業から30年がたちますが、美容だけだったら長く続かなかったのではないかと思います。
院長が得意とされている治療はありますか?
多汗症と腋窩多汗症、さらに腋窩多汗症に伴うわきが(腋臭症)の治療ですね。年々、暑い時期になると、多汗症の相談に来られる患者さんが増えてきています。臭いも含めて脇の汗に悩まれる方が一番多く、次に手足、そして最近では頭や顔、背中の汗に対する相談が多いです。何しろ夏の平均気温がどんどん上がっていて、10年前は40度近くまで上がるなんて考えられなかったですからね。それと、多汗症は体質的なものではなく病気だという認識に加え、治療法と薬が進歩したことがSNSなどで広まったのが受診される患者さんが増えた理由でもあります。「病気なのだったら治療をしてもらおう」という方が、インターネットで医療機関を検索して当院に来てくださっているようです。
多汗症の治療はどのようなものがあるのですか?

近年、腋窩多汗症に伴うわきがが増えています。わきがについては薬でのアプローチで済む場合もあれば、保険適用のボツリヌストキシン製剤の注射という選択肢もあります。重度の場合は保険適用の手術を行います。器械を使って自費治療を行うクリニックが多いですが、きちんと治療をしようとするならば手術がお勧めです。当院で採用しているのは皮弁法(反転剪除法)という手法で、麻酔をして腋の皮膚を切開し、皮膚の下を剥離して目で確認した上で、臭いを伴う汗の原因となるアポクリン汗腺を取り除きます。汗腺は再生しませんから、一度取ってしまえばそれで終わりです。今では北は青森、南は沖縄と全国から患者さんが来院されています。その他、手のひらに大量の汗をかく原発性手掌多汗症についてはオキシブチニン塩酸塩の塗り薬を使います。
医療をベースにしながら多様なニーズに応えていく
皮膚科と形成外科の併科には、どのようなメリットがありますか?

皮膚科と形成外科は疾患的に重なる部分が多いのですが、治療はそれぞれにアプローチが違い、皮膚科は内服や外用的な薬による療法、形成は手術が中心となります。一般的な皮膚科のクリニックでは本格的な手術はできませんし、形成外科では皮膚病に対する専門的な治療は難しいでしょう。それが当院では両方できますから、治療の選択肢が限定されないというメリットがあるわけです。特に恩恵があるのは皮膚外科といわれる領域ですね。皮膚の腫瘍やイボ、ほくろなどの皮膚腫瘍領域に加え、陥入爪や巻き爪など、皮膚科で診て手術の適応がある場合は形成が担当します。そして、形成の方で皮膚病などが見つかった場合は、すぐに皮膚科専門の先生に診てもらうことが可能です。
こちらでは美容的なアプローチもされていますね。
しみやしわの治療など、患者さんのお悩みや要望に応えられるよう幅広く対応しています。ただし、あくまで診療という土台があり、その上でオプションとして皆さんのニーズにお応えしていくというのが基本的な考え方です。例えば、しみと思っていても皮膚の腫瘍の場合があります。きちんとした知識と経験を持った上で、美容の治療をしていくことが大事だと思っています。まずは治療を受けながら診療の様子を見て、信用できると確認してから次のステップである美容の相談をされるとよいでしょう。また患者さんは、ちまたにさまざまな情報があふれていることもあり、何を選んだらいいか、美容医療に不安を感じている方も多いようです。当院では、患者さんの希望に沿って選択肢を提示するという体制を整えています。
エイジングケアはどのように取り組めば良いですか?

最近は加齢によるしみ、しわなど、女性に限らず男性の相談も多いですね。初めてだと不安も多いと思いますから、まず手軽に始められる一般的な総合的美顔器などから始めて、ご自分のペースに合わせて徐々にやっていかれたらいいと思います。主婦の方や会社勤めの方、頻繁に人前に出て話をされる方など、置かれている状況は人それぞれです。ただ、どのような方でもちょっと気にかけてケアを行っていけば、実年齢と見た目との差が少しずつ離れていくものです。見た目のほうが若いと言われればうれしいですし、励みがいもあるでしょう。今は人生100年時代といわれ、長く働きたいという方も結構いらっしゃいます。そのためにも、やはり何か張り合いのようなものがあったほうがいいのではないかと思います。
スムーズな診療をめざし、さらなる改善に取り組む
先生にとって形成外科とはどのような診療科ですか?

もともと造形的な世界に興味がありましたから、がん手術の痕の再建や、形が崩れてしまった部分をきれいに治すなど、なかなか面白そうだと感じて形成外科に進みました。当時はマイクロサージェリーなど、いろんな手技が開発途上で、将来はどんなことができるだろうと、ちょっとワクワクするような感覚がありましたね。以来、形成外科を長年やってきたわけですが、今になって振り返ってみるとずっと手術の連続でした。また、結果が目に見える点でわかりやすい診療科だと思います。
現在、新たに何かアプローチしていることはありますか?
わきがの手術件数が増えて何ヵ月も先まで予約が入っているため、だんだんと美容など他の治療の時間を確保するのが厳しくなってきています。だから、患者さんにパンフレットを使ってわかりやすく効率的に説明したり、いろいろな先生に診察に来ていただいたりしています。また、わきがの方が増えていっている中、私一人ですべての方の手術をできるわけではありません。そこで手術ができるドクターを増やすために、症例検討会などを行っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

気になることやお悩みがあれば、気軽にご相談いただきたいです。皆さんがインターネットなどで事前に知識を得ようとするのは、どこかに不安があるからかもしれません。ですから、なおさらに信頼を大切にしたいと考えています。医学の常識や、形成外科、皮膚科のきちんとした知識にのっとった治療を提案することが私たちの基本的なスタイルです。無理に高額な施術をお勧めすることはしていません。患者さんの求めていることに対し、一番に安全性を重視し、なおかつ症状の改善が期待できる治療の提案に努めていますので、腋臭症、多汗症や皮膚などについて悩んでいることがあれば、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみケア(1センチ四方)/1万円、眉間のしわケア(1回)/3万5000円