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室谷 毅 院長の独自取材記事

小川産婦人科

(大阪市平野区/平野駅)

最終更新日:2022/11/21

室谷毅院長 小川産婦人科 main

大阪メトロ谷町線「平野駅」から徒歩約3分、静かな住宅街の一角に「小川産婦人科」がある。クリニック前の駐車場に加えて、付近にコインパーキングも多く車での通院もスムーズだ。100年以上の歴史を持つ地域に根差した産婦人科で、院内はリラックスして過ごせる落ち着いた雰囲気。2019年から5代目院長を務める室谷毅先生は、数多くの分娩や婦人科医療に携わってきた経験を生かし、母子の健康で心豊かな毎日をサポートしている。医院の伝統を引き継ぎながら、女性が「母」として成長し、子どもたちが幸せに育つ場所でありたいと願う室谷院長に、特色あるお産や地域とのつながりを大切にした取り組みなどについて話を聞いた。

(取材日2022年7月14日)

スタッフ一丸で「待つお産」を支える

シックで落ち着いた雰囲気のクリニックですね。

室谷毅院長 小川産婦人科1

静かな落ち着いた環境で、穏やかに進んでいくお産を大事にしています。病院に勤務していた頃は、1日何件もの分娩に慌ただしく対応し、母子に負担のかかるケースも中にはありました。例えば、赤ちゃんが早く産まれるようにコントロールするなど、不自然なかたちでお産を進めていくと母体や赤ちゃんに負担がかかり、トラブルのリスクも高まります。当院ではお産に適した優しい環境を用意して、助産師が寄り添いながら、自然にお産が進んでいくのを待つようにしています。めざしているのは、赤ちゃんを無事に産んだ後で、「幸せな時間だった」と思えるようなお産です。

貴院が大切にされている「待つお産」ですね。

お産の主役はお母さんと赤ちゃんで、お母さんの「産む力」により、お産が自然に進んでいくのをサポートするのが基本姿勢です。このため、お産は基本的に妊婦さんと助産師が一緒につくっていき、医師は異常が生じた場合に介入します。状況によっては、迅速な医療介入が必要な場合もありますが、母子の状態が良好でお産が順調に進んでいるのであれば、私たちは無理をして出産を早めることはしません。

自然なお産に不安を感じる人もいると思います。

室谷毅院長 小川産婦人科2

当院の「待つお産」では、緊急の帝王切開にならないよう努めています。ただし、たとえわずかな確率でも、予想されるトラブルを未然に防ぐこと、不測の事態が起きたときは迅速に対応して、安全なお産をめざすことが絶対条件です。当院では、私を含めた常勤医師2人と複数人の非常勤医師で対応しており、スタッフも病院で緊急時を含めて豊富な経験を積んだ者ばかりです。このため、診療のクオリティーが安定していることが強みだと感じています。また、万一の事態に備えて普段からしっかりとした講習を行い、緊急時に迅速に適切な処置が取れるよう病院との連携体制も整えています。

妊婦さんの心のケアも大事にされています。

妊婦さんの価値観や世界観を受け入れ、スタッフが温かく接することで、「自分は大切にされている。自分は重要な存在なんだ」と実感でき、充実した気持ちでお産に臨める場所にしたいと思っています。体の中からあふれ出る自己肯定感や自信を、私は「自己重要感」と呼んでおり、そうした感情はお母さんを幸福な気持ちにさせ、赤ちゃんを生む力を最大限に引き出すと考えています。お母さんが幸福な気持ちで出産を経験できるからこそ、心から育児を楽しみ、新しいことにもチャレンジできるのだと思います。

出産後もさまざまなサポートを提供

お産の件数が増えていると聞きました。

室谷毅院長 小川産婦人科3

この3年間でおよそ3倍弱に増えました。お友達やご家族の紹介で受診される方もいらっしゃいます。そうした地域における信頼を大切にしたいですね。また、患者さんの生の声にきちんと耳を傾け、目の前の患者さんに喜んでいただけることを実践するよう心がけています。患者さんの声をしっかりと聞かせていただくためにカウンセリングルームを設置し、分娩室に畳のスペースを設けました。最近では、平野区以外からお越しになる方も増えています。

お産が増えると対応にも配慮が必要ですね。

診療の質の向上を追求しており、当院の場合は「人」が重要なポイントと考えています。スタッフが患者さんに安心を提供し、ニーズに応えて喜んでいただくということですね。このため、スキルの向上だけではなく、人間教育をベースに感性豊かな人材が増えるような取り組みを実践していきたいと考えています。看護師については人材育成の取り組みがある程度進んで、後進を指導できる人材が育成できました。また、事務スタッフは「病院の顔」なので、ホスピタリティーを重視しています。これまでは業務に追われて、患者さんに対するサービスになかなか注力できなかったのですが、IT化やペーパーレス化などを通じて業務を効率化し、お母さんに喜んでいただく、笑顔にする、元気にするといった人間にしかできない業務に力を入れています。

助産師さんの役割も重要ですね。

室谷毅院長 小川産婦人科4

妊娠・出産の間そばに寄り添い、妊婦さんが悩みや不安を打ち明けるのは助産師ですからね。当院では1ヵ月健診以降も産後ケアを継続し、自他院関わらず母乳での子育てに悩んでいるお母さんたちを受け入れたり、お母さんが納得できる子育てをお手伝いしています。また、育児に疲れてしまっている、パートナーから十分な協力が得られないなど、さまざまな悩みに対してもケアやサポートを提供しています。

妊婦さんの健康管理では、どのようなことを心がけていますか?

妊娠すると血液量が増加し、呼吸や血圧、胃腸の動きなども通常時とは異なります。便秘や尿がたまりやすくなり、ホルモンの変化によってメンタル面に影響を及ぼすこともあります。さらに妊娠時特有の合併症もあり、妊婦さんはいわば特別な成人なんです。私は研修医時代、産婦人科以外にいろんな科を回り、内科分野も進んで勉強しました。現在の診療では、産科・婦人科に直接関係する疾患だけでなく、内科的な目線を持ち合わせて全身の健康管理を行っています。何か疾患がある場合は、専門の科を受診すべきか、産婦人科でカバーできる範囲かを見極めながら母子両方の健康を守り、妊婦さんに過度な不安を与えないように心がけています。

人が成長できる場所であり続ける

婦人科診療や更年期障害の治療にも力を入れていますね。

室谷毅院長 小川産婦人科5

ホルモンの分泌量は生涯を通じて変動するため、女性の体はライフステージごとにさまざまな変化が現れます。閉経後は分泌量が減少して、骨粗しょう症や血管の病気になりやすくなり、更年期から老年期にかけて心身に不調が生じ、若い人なら月経のトラブルや子宮・卵巣に問題が起こることもあります。私はホルモンの分野に昔から興味があり、積極的に学んできました。ホルモン補充療法は得意な処置の一つであり、その人に合った適切なアプローチで、妊娠前・出産・閉経後まで、一生を通じて輝ける生活が送れるようにサポートしたいと思っています。

なぜ産婦人科医師をめざされたのですか?

「人が育つ、人を育てる」ということに興味をもっていて、医学部時代から、小児科か産婦人科に進みたいと考えていました。産婦人科を選んだのは、人が育つ原点はやはり親子の愛情、家族のつながりだと感じたからです。私自身さまざまな人たちに支えられて成長し、中でも両親はどんなことがあっても変わらず、愛情を注いでくれました。それに気づいたのは大人になってからですが、大切に育てられたことはその人のアイデンティティーとなり、生き方や考え方に大きく影響すると思います。ここで多くの子どもたちの原点に携わり、10年後、20年後、その先までその子とお母さん、家族みんなが幸せな人生を歩めるきっかけになれればと思っています。

今後の目標を教えてください。

室谷毅院長 小川産婦人科6

困ったことがあったときに、気軽に相談できる地域のハブ(hub)が目標です。さまざまな相談に対して、当院で対応できることはきちんと対応し、それ以外のことについては適した医療機関などにつなげていきたいと思います。「◯◯科を受診してください」ではなく、地域のつながりを生かして「こういう状態なら、◯◯クリニックの◯◯先生に相談してみるといいですよ」など、親身で丁寧な対応を実践していきたいですね。また、妊婦さんが母として成長し、お子さんも幸せに成長していける場所、お母さんとお子さんに携わる中でスタッフも一緒に成長していける場所、才能を開花できる場所でありたいと願っています。

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