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松川 武平 院長の独自取材記事

松川クリニック

(名古屋市天白区/原駅)

最終更新日:2020/04/01

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名古屋市天白区土原にある「松川クリニック」は1960年開院の、半世紀以上の歴史を持つクリニック。松川武平院長は、穏やかな、やさしい笑みをたたえた先生だ。風邪やアレルギーなど体の診察だけでなく心の相談にも対応し「子育ては『あれもこれもやらなきゃ』ではなく、年齢に応じたことを順番にやれば難しくないですよ」とあたたかい言葉。「子どもと遊びながら診察しようかなと思って」と、普段から白衣は着ない。玄関脇にある子どもが中に入って遊べる木のおうちや、待合室のドールハウスなどは院長の手づくり。スタッフともども小さな子から高齢者まで愛情いっぱいに迎え入れてくれるクリニックだ。
(取材日2016年7月15日)

「子育ては大切」恩師に共感し、小児科医の道へ

院長は小児科とアレルギー科を専門にされているのですね。

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はい。やはりお子さんの患者さんが多く、風邪や腹痛からさまざまな症状を診ています。特にアレルギーの子どもの患者さんとは長いお付き合いになりますので、病気を理解していただけるよう、親御さんも一緒に時間をかけて丁寧に話をしています。遠い大きな病院へ時間をかけて通わなくてもいいように、当院でできる限りのことはしたいと思い、食物アレルギーの負荷テストや、舌下免疫療法も保険適用になった頃から取り入れています。内科は私の弟が担当しており、当院には赤ちゃんからお年寄りまで幅広い患者さんがいらっしゃいます。中には小さい頃から診ていた患者さんがお父さんになり、今度は子どもを連れてきてくれることもあり、人の人生に寄り添って診させていただくということでありがたく感じています。

そもそも小児科をめざされたきっかけは何でしょうか?

学生時代の恩師が久徳重盛先生という、おそらく名古屋で初めて小児アレルギーの問題を手がけられたと言われる方でした。久徳先生は、「子育てはとても大切なことだが、文明社会になったことで子育てに問題が起きていて、これから子どもたちが大変なことになる」ということを当時から懸念されていました。私はその先生の考え方に共感して小児科医になろうと決めました。先生はさまざまなアレルギー症状には、精神的なことやストレスなどが非常に影響するということで、子育てと関連付けて考えておられました。子育てに悩んでいるお母さんはたくさんおられるので、私はそれを受け止められるよう、話しやすい雰囲気づくりを心がけています。働かれていても子どもを連れて来られるよう、診療時間を20時頃まで設けているのですが、どうしても時間が長くなり、診療時間を過ぎてしまうことも多いです。

待合室のキッズスペースの充実ぶりに驚きました。

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病院は子どもにとっては怖いイメージがあると思うので、おもちゃや絵本をたくさん置いて遊べるような雰囲気にしているつもりです。待合室にあるドールハウスや玄関の外にある「おうち」などは開業した頃に私がつくったものなんですよ。アレルギーの子は体は元気なので、診察後にきゃっきゃっと楽しそうに遊んでいます。積み木も開業当初からのもので、みんなが遊んで角が丸くなって、つやつやになりました。また小さな木のベンチなども見つけてきて置いたりと、子どもにとって遊びに来たような感じで過ごせるところにしたいなと思っています。

子育ては母親だけでなく、みんなで助け合う

非常勤でいろいろな専門の先生もそろっていらっしゃいますね。

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はい。発達障害、肥満、小児がん、小児腎臓の専門医の先生には週1回ずつ、また毎週土曜日には臨床心理士の先生に来ていただいて心理カウンセリングをしています。もうずっと昔からやっていますね。私も診察の場で心の悩みなどの相談を受けるのですが、どうしても時間が足りません。幼稚園のお子さんがなかなか幼稚園になじめないとか、子育てのいろいろな悩み、最近は学習障害などの発達障害の相談も増えました。一人だいたい1時間で、専門の先生ならではのきめ細かいアドバイスができると思います。

病児・病後児の保育も1999年から行っていらっしゃいますね。

2007年からは名古屋市の委託事業としてやっています。当院は2階に喘息の子どものための入院室があったのですが、喘息の薬が良くなってからはその部屋が空いていて、スタッフのお子さんが病気のときに、じゃあ連れてきてうちの病室で面倒みようということで始めました。病気の子には専門の保育士や看護師がより良いケアをしたほうがいいだろうということが一つ。もう一つは、子どもはいろいろな人の助けを受けて成長するものであり、お母さんがイライラしながら一人で面倒をみるより、みんなで助け合ったほうが子どもにとっても良い経験になると私は思っているからです。近所のおじちゃん、おばちゃんのうち、という感覚ですね。育児支援のつもりです。慣れてくると「ここが好き」と言ってくれる子もいます。4室あるので感染症の時は部屋を分けることもできます。

スタッフみなさんについて教えてください。

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うちは長く働いている人が多いですね。患者さんのことを理解して対応してくれるので非常に助かります。アレルギーに関してはみんなベテランで、対応はしっかりしていて、手際がいいです。当院の3階は介護支援センターで、ケアマネージャーが常時2人いて介護のケアプランを立てるためのアドバイスをしてくれます。当院にかかっていない方でも大丈夫です。これも介護支援センターの制度ができてからすぐ、うちのスタッフがやりたいと言ったことがきっかけで始めました。スタッフはより一生懸命だったかもしれません。スタッフとは仲も良く、たまに一緒に陶芸をやったりしています。

子どもには年齢に応じたことを身につけさせる

ご著書『子どもの成長過程と育児』(2016年)の中で伝えたかったことは?

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子どもは、何も知らない状態からいろいろなことを体験して成長します。だから、年齢に応じてそれなりに身につけるべきことを経験させていけば、子育ては決して難しくないよということを書きました。現代のお母さんたちの多くは、自分自身も核家族で育って、小さい子どもを知らずに大人になっていることが多いです。わからないことばかりで当然ですよね。例えば1~3歳は人間の基礎ができる時期であり家族と触れ合う時期、3~6歳は自我の芽生えの時期で「しつけの年齢」でもあるので、いいこと悪いことを教えることが大切であり、対外的には多くの子どもたちと触れ合い、集団で遊べるように練習する時期でもある。そして6~10歳までは小学校に入り大人社会と接する時期。この時にきちんと叱ることをしないといけない、というように年齢に応じたことをわかりやすく伝えようと書きました。

読みやすく、お母さんたちの心の支えになるような本です。

ありがとうございます。今の時代は情報がありすぎて、あれをしなきゃいけないとか、早く塾へ入れなきゃいけないとか思いがちです。でも子どもは年齢に応じたことを少しずつ体験して身につけさせていけばいいんです。まずは親との愛着形成がとても大切で、そこがきちんとしていないと後々すべてが少しずつおかしくなってしまう。今の親御さんに伝えたいことは、できるだけ子どもと関わる時間を多くしてほしいなということと、スマートフォンをなるべく持たせないでほしいということ。お母さん自身も、おっぱいをあげながらスマートフォンを触らないでほしいですね。生まれたらいっぱいだっこして、いっぱいベタベタしてほしい。0~1歳までは親子の絆ができる時期。赤ちゃんの目を見て、たくさん話しかけてあげてくださいね。

最後に今後のことや読者へのメッセージをお願いします。

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当院は1960年に内科医であった父がこの地に開業しました。当時は山の中の小さな診療所で、私が1986年に戻って今の3階建てに建て替え、父が引退するまで20年ほど一緒にやっていました。父はすごく地域に密着していて、割とラフな感じで患者さんと付き合える人でしたね。父ほど長く現役でできるかわかりませんが、父のように地域の皆さんを大事にお付き合いしていきたいと思います。医師としては、病気が治って患者さんが喜んでくださることが一番の喜びです。子育ては一人で悩まず、いろいろな人に相談してほしいですね。先ほども言いましたが、子どもはいろいろな人の手助けも得て育ったほうがいいんです。近くの人でも、私たちでもいいので、どんなことでも相談に来ていただければと思います。

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