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稲生 秀文 院長の独自取材記事

いのう整形外科

(名古屋市名東区/一社駅)

最終更新日:2022/10/19

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名東区平和が丘の閑静な住宅地にたたずむ「いのう整形外科」。稲生秀文院長は脊椎が専門で、大学病院や総合病院で20年以上治療や手術に携わり、数多くの症例に対応してきた。一般診療に加え、術前や術後の患者のフォローもしたいと2019年に開業し、地域に身を置いたことで患者との距離が前にも増して近くなったと話す。「診察では世間話やご家族の話を聞くこともあります。これからは『気軽に相談できる近所のお医者さん』をめざしたいですね」と笑顔を見せる稲生院長。勤務医時代には難症例にも関わった経験を持ちながらも、「患者さんの話を聞き、体に触れて診察することが最も大事」との基本姿勢を大切にする。気さくで話しやすい稲生院長に、診療に対するこだわりや患者への思いを聞いた。

(取材日2021年4月30日)

勤務医から開業医となり、患者との付き合いを大切に

開業のきっかけを教えてください。

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私は大学卒業後、大学病院や総合病院で20年以上、主に脊椎疾患に関わってきました。ほとんど毎日手術に明け暮れる日々で、手術が終われば紹介元の開業医さんに患者さんをお戻しすることも多く、患者さんと接するのは手術前後のわずかな期間だけでした。術後の患者さんの経過を長きにわたって続けて診ていきたいと思ったことや手術以外のアプローチで患者さんと接したいと考えるようになったことが開業のきっかけです。このクリニックは浅野正文先生が30余年にわたり地域の方と信頼関係を築いてこられましたので、継承した以上、引き続き患者さんとの関係性を大事にしていきたいと思います。

勤務医から開業医になられていかがでしょうか?

勤務医時代は手術が9割、外来が1割という割合でしたので、きちんと手術を終えて無事に退院していただくことだけを考えていました。開業医さんから紹介のある患者さんは、動けない方、手足にまひがある方、高齢で内臓に疾患を抱えた方など症状が重い場合が多く、手術はうまくいっても、時に内科的合併症が起こり、つきっきりになることも。多忙な毎日で、今思うと患者さんのお話一つ一つに耳を傾けられていたかと反省の気持ちもあります。術後、患者さんが期待したほどの結果が得られなかった場合も医師としては「やるだけのことはやりました」と言うしかないのですが、患者さんは慣れない大きな病院で遠慮して言いたいことも言えなかったかもしれません。開業した今は手術して本当に喜んでいただけているのかどうか後々まで気にかけるようになりましたし、手術よりも、それ以外の方法で治したいと望む方がほとんどなのだと痛感しています。

開業して1年半、どのような患者が来られていますか?

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当初は、前に勤務していた一宮市の病院の患者さんが多かったのですが、今では地域の患者さんが中心になりました。まれに守山区、尾張旭市、長久手市などからも来られます。成人の方の主訴は、腰や膝の痛み、リウマチ、いわゆる四十肩、五十肩などが多いですね。未就学のお子さんや小中学生、高校生、大学生がスポーツのけがで来られることもあります。当院では手術以外の治療が可能ですが、それ以上の治療が必要な場合は、速やかに専門の病院にご紹介するなど治療の道筋をつけるようにしています。

理解しやすい説明を心がける

診療の際、気をつけていることはありますか?

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説明のとき、言葉の使い方に気をつけています。患者さんの中には痛みやしびれを訴えられる方も多く、検査をしても原因がわからないことは実は少なくないのです。勤務医の時は無意識に言ってしまうことが多かったのですが、そのままストレートな言葉で「原因はわかりません」と言ってしまうと本当に冷たい感じになってしまいます。どのように説明するかは本当に悩みますね。ですから「こういう目的でこういう検査をしましたが原因が確定できませんでした」「こういう病気の可能性があるから現在はこの治療、このリハビリテーションをしましょう」とできるだけ具体的に説明します。あるいは「何日かしたら別の症状が加わって病名がはっきりするかもしれないので様子を見ましょう」とお話しします。検査結果やこれまでの経験から、先の見通しも含め、現状を理解していただけるよう努めているところです。

検査機器についても教えてください。

開業時に、新しいエックス線透視装置を導入しました。クリニックで置いているところは少ない機器で、骨折部分を解剖学的に本来の状態に近いところまで戻すための整復の際にも活用できるものです。手術が必要な骨折でも、骨がずれたまま病院へ送ると、患者さんは痛みや患部の腫れがひどいまま、数時間待機することになるかもしれません。こちらでできる限りの処置をしてから病院に送ったほうが、患者さんの負担を抑えることにもつながるのです。以前は救急の患者さんを受け入れていた立場から、必要な機器だと考えました。また当院で行っている選択的神経根ブロック治療においても役立っています。

先生が医師をめざし、整形外科を専門にされた理由は何ですか?

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私はもともと腰が悪く、高校のハンドボール部で大事な試合にもフルで出られないほどでした。腰椎分離症と診断され、通院するうちに整形外科の医師に憧れるようになり、医学部に進みました。大学卒業後研修医を経て静岡県の掛川市の病院へ赴任。その時の上司が脊椎専門でした。研修医時代の手術での下っ端の仕事は、上司がかけた糸を結ぶこと。「緩い! 遅い!」とよく叱られたものです。また掛川へ赴任する前の脊椎手術の印象は、整形外科の中でも手術時間が長く、症状が大変な方も多い分野。将来は脊椎外科以外を専門にしようと考えていました。しかし掛川で出会った上司の先生は、手術の腕が良く、多くの患者さんにも慕われていました。4年後、大学病院に戻った時に整形外科の中の所属を決めなければいけなかったのですが、気がつけば希望を「脊椎外科」にしていましたね。

正しい診断のため全身を視野に入れる

脊椎外科に進まれて、現在、感じていらっしゃることは?

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脊椎は首から腰の下までと範囲が広く、治療、手術の方法もたくさんあります。そのためやりがいは大きいのですが、それ以上に難しさを感じることが多いです。病気の正しい診断のため、特に脊椎に関しては神経についてしっかり学んでおく必要があります。例えば脚に症状が出ていても実は首に問題があるとか、末梢神経ではなくて中枢神経に原因があるなどのことがあり、常に全身を視野に入れておかねばなりません。「痛いところだけ診てくれればいい」と言う患者さんもいますが、それだけでは心配なこともあるのです。私は若い頃、患者さんの訴える部位に集中してしまい、それで原因の発見が遅れたという苦い経験もしました。ですから、時間はかかりますが丁寧に問診し、体に触れて診察することが重要だと思っています。

脊椎の病気の予防や、病気のことで悩む人にメッセージをお願いします。

人間の体は機械と一緒で、使うほど傷みます。脊椎の病気には生活スタイルや仕事内容、体型などさまざまな要因がからんできますので予防は難しいのですが、日頃から正しい姿勢を取ることや肥満にならないように気をつけるといいかもしれません。病気に悩む人に伝えたいのは、セカンドオピニオンが大切だということです。この治療でよいのか、また手術をしようかどうしようか迷っている患者さんはとても多いと思います。特に脊椎の手術はまひが出るかもしれないというイメージが今もありますね。少ないとはいえリスクがあるケースもありますが、セカンドオピニオンを含め、よく説明を聞いて判断していただきたいです。私はこれまで多くの種類の治療、手術に関わってきましたので、経験をもとにご相談に乗り、ご提案もできるかと思います。

今後の展望についてお聞かせください。

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今は勤務医時代とは違い、患者さんとざっくばらんにお話をするようになりました。世間話やご家族の話をお聞きすることもあり、距離が近くなったと感じます。たまに整形外科以外のこと、例えば内科や外科、脳神経外科、皮膚科、時には産婦人科領域の病気のことまで質問されることもあるんですよ。専門外のことは「ごめんなさい、ちょっとわかりませんね」と言うこともありますし、患者さんと一緒にスマホを使って調べることもあります(笑)。ご縁があってこのクリニックを継承しましたので、これからは何でも相談していただける「近所のお医者さん」をめざしたいですね。スタッフとともに地域の皆さんのお役に立ちたいと思っています。

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