齋藤 裕 院長、齋藤 晶 副院長の独自取材記事
斎藤クリニック
(蕨市/蕨駅)
最終更新日:2026/04/02
蕨駅から続く商店街を抜けて脇道に入ると、スタイリッシュな白い外壁の「斎藤クリニック」が見えてくる。1949年からこの地で診療を行っている同院は、齋藤裕先生が2代目院長を務めている。裕院長の専門である脳神経外科の他、一般内科・外科・在宅診療など、かかりつけ医として幅広く対応。2023年の4月からは院長の息子で消化器外科を専門とする齋藤晶副院長が常勤として診療に加わり、腹部や肛門の症状まで診療範囲が広がった。生活習慣病の治療にも力を入れ、その一環として骨粗しょう症のケアに取り組んでいる。一通りの検査機器を備え、CTやエコー、骨密度測定器も導入。2人の医師が専門知識を持ち寄りながら、精密な検査・治療に努めている。大きな振り子時計など見応えあるオブジェが飾られた院内で、裕院長と晶副院長に話を聞いた。
(取材日2026年1月7日)
診療内容の幅を広げ、骨粗しょう症治療などにも対応
こちらは歴史があるクリニックだそうですね。

【裕院長】私の父がこの場所で診療を始めたのは1949年のこと。その後は増床やリニューアルを経て現在の姿に落ち着き、76年が過ぎました。2023年の4月からは息子も常勤として診療に加わり、次の世代へと引き継ぐ準備を整えつつあります。
【晶副院長】祖父、父、私と、3代にわたって診させていただいている患者さんもいらっしゃるんです。「先生のおじいさんの代から来ているんだよ」と話す患者さんの笑顔を見ると、当院の歴史や患者さんとの信頼関係を感じて身が引き締まります。
晶副院長はこちらで3年ほど診療を行ってみていかがですか?
【晶副院長】当院は院長と私の2人体制で内科と外科を幅広く診ていますが、生活習慣病の患者さんも多く、専門性の高い診療の提供をめざしています。3年ほどこちらに勤務してみて、生活習慣病で長く通院する方の中には「膝が痛い」「腰が痛い」と訴える方が多いことから、整形外科分野の勉強の必要性も感じました。整形外科のトレーニングを受け、今は変形性膝関節症や腰椎圧迫骨折などをはじめとした整形外科疾患にも対応しています。また、当院では訪問診療も行っていますが、高齢の方が自宅で転倒して骨折をすると、健康寿命を縮め、QOL(生活の質)の低下につながると実感しています。そこで、高齢の方の骨折を引き起こす原因でもある「骨粗しょう症」のケアを、生活習慣病治療の一環として力を入れています。
生活習慣病を通じた骨粗しょう症の診療を始められたのですね。

【晶副院長】骨粗しょう症の早期発見ができるように、DEXA法を用いた骨密度測定器を導入し、腰椎・大腿骨の骨密度測定ができるようにしました。また骨粗しょう症の知識を持つ看護師も在籍しており、治療内容や治療の必要性などの細かな説明を担ってくれています。当院に来てくださる患者さんが、生涯ご自身の足で生活していけるように、整形外科の診療とともに骨粗しょう症のケアにもフォーカスを当てていきたいと考えています。
蕨に根差し、この地域に必要な医療の提供をめざす
裕院長と晶副院長の専門分野やご経歴について教えてください。

【裕院長】私は東京医科大学を卒業後、脳神経外科や免疫学の分野で研鑽を積みました。そこでは学んだのは、目の前の患者さんに向き合い、常に考える姿勢。現状を当たり前と思わずに「どうしてこうなったのかな、本当のところはどうかな」という疑問を持つ思考です。その後はニューヨーク州への留学でウイルス性脳炎の診断方法を確立し、大学で三次救急に携わった後に、当院を継承して院長に就任。現在に至ります。
【晶副院長】私の専門は消化器外科です。東京医科大学卒業後、自治医科大学やその関連病院で、主に胃がん・大腸がんなど消化器疾患の治療に携わりました。当院で3年ほど前から常勤として診療にあたっており、今後は継承を視野に入れながら、「地域に必要な医療とは何か」を第一に考えながら切磋琢磨する毎日です。
お二人の専門を生かしながら、幅広い症状に対応できることが特徴ですね。

【裕院長】めまいやしびれ、認知症などの脳神経外科の症状の他、一般内科・外科・在宅診療・理学療法・健康診断にも対応しています。在宅診療は患者さんからの要望がきっかけで始めました。「病気の末期を自宅で過ごしたい」というご相談も多く、患者さんとご家族の要望を伺いながら診療を進めていきたいと思っています。理学療法では、慢性の疾患をどのようにして緩和していけるか。完全に良くなることをめざすのが難しい場合だとしても、せめて痛みとともに暮らしていけるレベルまでにすることをめざしています。
【晶副院長】私は消化器外科が専門でしたから、おなかの痛みや肛門のお悩みも、ぜひご相談ください。CTやエコーは先進のタイプを導入して精密な検査・治療に努めています。外科での経験を生かし、切り傷に対する縫合処置や他の外科的処置にも対応しています。
訪問診療はどのような想いで取り組まれていますか?
【晶副院長】当院に通っていたけれど通えなくなってしまった患者さん、またご家族が介護の必要な状態になってお困りの方、そのような地域の皆さんの力になりたいんです。幸いにも、当院はこの場所で長く診療を行っていますから、地域のケアマネジャーさんなど医療関連のネットワークはできています。訪問診療を行う目的は、通院が難しくなった患者さんの健康管理を強化するのがまず一つ。もう一つ大切なのはご家族に対するサポートです。患者さんの健康は大切ですが、ご家族の心身に過度な負担がかかってはいけません。患者さんとそのご家族の悩みを受け止めながら、これからの高齢化社会で私たちに求められることに尽力していきたいです。
気心知れたコミュニケーションが取れる町のクリニック
診療時に心がけていることをお聞かせください。

【裕院長】患者さんの訴えをよく聞くことです。というのも、患者さんの思う原因と実際のそれとが異なることもあるんですね。例えば「頭痛」といっても、風邪の場合もあれば他の要因の場合もあるでしょう。真の原因を探るために、患者さんの認識する訴えから情報を引き出し、医学上の意味合いに結びつけるようにしています。また中には診察室で緊張してしまい、本来話したいことが話せないという場合もあると思います。ですから、その場合はスタッフにも患者さんとコミュニケーションを取ってもらい、その情報を私に伝えてもらえるようにします。
【晶副院長】患者さんが自宅に帰った後どうしたらいいのか、日頃の生活で何を気にしたらいいのかといったところまで伝えるようにしています。ご自宅でのリハビリが必要な際は、その方に合わせたトレーニングができるように、イラスト入りのプリントも渡しているんですよ。
長く勤務されているスタッフさんも多いとお聞きしました。
【裕院長】そうですね。スタッフとは長い付き合いになりますし、頼れる存在です。当院では、父の代からスタッフ育成にも力を注いできました。昔は入院設備のある病院でしたので、地方から人を呼び、学校に通って資格を取ってもらい、後に当院で働いてもらうというスタッフ育成をしていたんです。現在活躍しているのも父が育てたスタッフたちで、ずっと一緒に働いています。
【晶副院長】私はしばらく蕨から離れていましたから、この地域の事情に関してはスタッフたちから教わることばかりです。看護や事務対応を任せられる点はもちろん、患者さんと良い関係を築いている点も頼もしい限り。看護師との会話を楽しみに来院される患者さんもいるくらいです。近年増えた新しいスタッフにもその伝統は受け継がれています。
最後に読者へメッセージをお願いします。

【裕院長】ご自身や家族の変化をよく見てほしいと思います。そして私たちに教えてください。細かなことが医療現場では検証につながります。専門用語は必要ありません。どんな時に、どんな場所で、どんな様子なのか。一つの症状にとらわれず、遠慮せずにたくさんご自身の言葉で話してくださいね。日々の診療でも、看護師から共有される患者さんのちょっとした変化が大きな意味を持つこともあるんですよ。何かおかしいと感じる感覚を大切にし、気になることがあれば気軽に相談に来てもらえたらと思います。
【晶副院長】通院してくださる地域の方が生涯自分の足で歩いて、趣味などを楽しみながらQOLの高い人生を送っていただけるよう、これからもこの地域のための診療に取り組んでいきます。

