出産時の痛みへの不安を和らげる
硬膜外麻酔による無痛分娩
上野レディスクリニック
(名古屋市北区/平安通駅)
最終更新日:2023/07/06
近年、出産時の痛みを抑えるための無痛分娩の需要が高まっている。「上野レディスクリニック」では、より安全に配慮した無痛分娩をめざして、上野大樹院長をはじめとする産婦人科、麻酔科、小児科の医師と助産師、看護師らスタッフによるチーム医療体制を強化してきた。また、同院では出産後の母子のケアも重視しており、2週間健診や1ヵ月健診のほか、母乳や子育てに関する不安や悩みに親身に対応。マタニティーヨガやベビーマッサージの教室を開講するなど、さまざまなサービスを提供している。今回は上野院長に、硬膜外麻酔による無痛分娩について、またクリニック選びのポイントなどを解説してもらった。
(取材日2023年5月18日)
目次
より安全に配慮した無痛分娩には、産婦人科の医師と麻酔科の医師、助産師の連携が不可欠
- Q出産にはどのような方法があるのか教えてください。
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A
自然分娩のほか計画分娩、無痛分娩、帝王切開があります。自然分娩は、自然な陣痛や破水を待って出産に向かっていく方法です。一方、計画分娩は、上のお子さんのことなどご家庭の事情がある場合、または出産予定日を過ぎた場合に出産日を設定して分娩する方法で、陣痛促進剤や子宮収縮剤を使って計画的に出産します。また、無痛分娩は痛みをなるべく抑えることを図りながら出産する方法で、帝王切開は逆子や前回帝王切開をされた方のほか、胎児やお母さんの状態が悪化した場合に手術で出産する方法です。医療的な判断により出産方法が限定される場合もありますが、ご本人やご家族の考え方によって出産方法を選択できるようになってきています。
- Q硬膜外麻酔による無痛分娩とはどういったものでしょうか。
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A
硬膜外麻酔による無痛分娩は、背中から針を刺して硬膜外腔というスペースまで細い管を通し、麻酔薬を注入して出産時の痛みの軽減を図るもので、世界中で広く行われている無痛分娩の方法です。痛みを完全に感じなくするのではなく、副作用や合併症のリスクを考慮してある程度子宮の収縮がわかるくらいにとどめるのがベストとされています。また、麻酔の働きによってはいきむタイミングがわかりにくくなり、いきみづらくなる場合もあるため、当院では助産師がいきむタイミングでお声がけするようにしています。無痛分娩では産婦人科の医師と麻酔科の医師、助産師の連携が重要であるといえるでしょう。
- Q無痛分娩は誰でも選択できるのでしょうか。
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A
ヘルニアがある方、背骨が曲がっている方、極端な肥満の方、血液の病気がある方などは、無痛分娩が難しい場合もあるため医師にご相談ください。無痛分娩のメリットが大きいのは、痛みが特に苦手な方です。1人目の出産時につらい痛みを経験された経産婦さんが、2人目以降の出産で選択されるケースもあります。また、妊娠高血圧症候群の方が無痛分娩を選択すれば、出産時の血圧上昇を抑えることにもつながるでしょう。そのほか、産後の体調回復が早く、スムーズに子育てに入れるという利点もあります。一方、まれに局所麻酔薬中毒などの症状が出る場合もあります。当院では、事前に無痛分娩教室を受講いただき、同意書をいただいています。
- Q産後のケアにも力を入れる施設が増えていますね。
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A
出産後の悩みや不安を解消し、親御さんが安心して子育てに向き合えるよう、退院後も母子のケアに力を入れる医療施設が増えています。例えば当院では、小児科医師や助産師と連携して母子の2週間健診、1ヵ月健診を実施し、お子さんの成長の状況やお母さんの体調を確認するほか、子育てや母乳や関する相談にも応じています。健診時以外でも、母乳の量やお子さんの体重の増え方など、気になることがあればいつでも相談を承っています。また、妊婦さんや赤ちゃん向けの教室も用意しています。マタニティービクス、マタニティーヨガ、ベビーマッサージのクラスを開講しており、地域のお母さん同士のコミュニティーづくりのきっかけにもなっています。
- Qクリニックを選ぶ際のポイントを教えてください。
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A
まずは、ご自身やご家族の思いに寄り添って考えてくれるクリニックかどうか見極めることが重要です。また、医療施設によっては、無痛分娩には対応できないなど出産方法の選択肢が限られる場合があるため、事前によく確認しておきましょう。そのほか、陣痛から出産、産後までの時間を移動せずに過ごせるLDRが設置されていれば、出産前後の体の負担を軽減することが期待できます。出産前後の数日を過ごすことになるので、施設面や食事などもチェックしておくと良いでしょう。さらに、妊娠・出産は安全に進行するとは限りません。緊急事態にも速やかに適切な対応を取れる体制が整った医療施設を選べば、安心して出産に臨めるでしょう。