上野 大樹 院長の独自取材記事
上野レディスクリニック
(名古屋市北区/平安通駅)
最終更新日:2026/03/09
平安通駅から徒歩5分、北区大曽根の住宅地に「上野レディスクリニック」はある。院内は全体的に丸みを帯びたやわらかなデザインで、優雅な空間が広がっている。同院は上野大樹(たいき)院長の祖父が1961年に開業して以来、女性の健康と地域のお産を支えてきた。家族3代に渡って通う患者もいるという。産婦人科と麻酔科の医師、経験豊富な助産師が連携し、無痛分娩に注力。お産の他、月経困難症や更年期障害などの婦人科疾患、がん検診にも対応する。「患者さんの不安に、できる限り寄り添いたいです」と語る上野院長に、同院の特徴や産科医療に対する思いについて、話を聞いた。
(取材日2026年2月19日)
60年以上、地域の健康とお産を支えてきたクリニック
外観も内装も洗練されたデザインですね。

2022年に私が3代目院長に就任したのを機に建物を改装しました。患者さんにとって落ち着ける空間となるよう、随所に曲線を使用したデザインを取り入れました。出産という人生の節目を迎える場所でもありますので、病室もベージュを基調とした、ホテルのようなラグジュアリーな空間に仕上げました。診察室を2室に増やし、分娩室を改装してLDRを2室設置。LDRとは、陣痛から出産、産後の回復までを同じ部屋で過ごせるよう設計された個室のことです。当院のLDRは広さも十分にありますし、お手洗いも個室内にあります。当院では、帝王切開以外の分娩で2人までの立ち合いが可能ですので、パートナーや上のお子さんもお母さんに寄り添い、一緒に新しい家族を迎えていただければと思います。
クリニックの特徴について教えてください。
産婦人科医の他、麻酔科と小児科の医師が在籍しており、私自身も麻酔科の研鑽を積んでいます。特に力を入れている無痛分娩では産婦人科と麻酔科の医師と、助産師の連携が不可欠です。また、産科の検診では小児科医や助産師と連携してお子さんの成長とお母さんの心身の健康をしっかり見守っています。安定期の妊婦さんを対象とした外来では、個室でゆっくりと助産師と対話をする時間を取っています。われわれ医師には聞きづらいことを質問していただき、妊娠中や産後の不安解消につなげています。他にも、院内にマタニティスタジオを備えており、ヨガやマタニティビクス、ベビーマッサージといったクラスを開講しています。祖父の代から勤めているベテラン助産師が担当していて、専門家の視点から妊娠期や産後のケアに関するアドバイスをしています。ベビーマッサージの教室は、そこでの出会いがきっかけでママ友ができる方も多いようです。
産前だけでなく、産後のケアも充実しているのですね。

妊娠中に節制して頑張られたお母さんたちに、最初に美味しいものを食べていただきたいと思っています。そのため、入院中の食事は栄養面に気を配るだけでなく、特別感のあるメニューの提供にも努めています。普段は部屋食ですが、退院前のお祝い膳はご家族と一緒に専用のお部屋で食事をしていただきます。産後のサービスとしては、エステも行っています。また、お子さんを連れて外来を受診される方を対象に、キッズルームのご用意もあります。安心して受診していただけるよう、保育士がお子さんをお預かりします。
麻酔科の医師や助産師と連携し、無痛分娩に力を注ぐ
御院で行っている無痛分娩について、詳しくお聞かせください。

リニューアルを機に麻酔科の医師が常駐となり、より多くの無痛分娩に対応できる体制となりました。「無痛」といってもまったく痛みを感じないわけではなく、麻酔の際は生理痛程度の痛みが残った状態をめざし、いきむタイミングを逃さないよう調整を図ります。計画無痛分娩を採用し、出産日をあらかじめ決めて計画を立てるため、第2子以降のお産をされる方にとっては、上のお子さんの預け先を確保しやすいなどのメリットがあります。一方、薬剤に対する副作用や、まれなケースですが血圧低下や胎児の心音低下のリスクもあります。なお、一般的に総合病院では、産科と麻酔科、小児科がそれぞれ別々の科となっていますが、当院はお互いの距離感が近く、連携を取りやすい環境にあります。顔が見える関係性であることは、クリニックならではの強みだと思います。
産科の医師が不足している中、無痛分娩を扱っているクリニックは、貴重な存在ですね。
当院では、経腟分娩をされる方の約7割が無痛分娩を選択されます。無痛分娩を希望される方の中には、岐阜や三重など県外からの患者さんもいます。無痛分娩のニーズは増えていて、総合病院やクリニックで扱う件数も増加しているといわれています。しかし、そのために必要な医療環境を整えられている医療機関の数は決して多くありません。麻酔科の医師が在籍し、無痛分娩に対応しているクリニックが全国的に見ても少ない中、リニューアルからの3年間で当院の無痛分娩の体制はかなり整ってきたと自負しています。件数を重ねる中で、どのように計画を立てれば分娩がスムーズに進むか、といったスケジュール管理の精度をさらに追及しています。また、産婦人科の医師も増員し、診療全体が高いレベルになるようめざしています。リニューアル当初に当院に訪れた方が、2人目や3人目を妊娠されてお越しになることも増えてきました。
妊娠・出産以外ではどのようなご相談が多いのでしょうか?

下は10代から上はご高齢の方まで、幅広い年代の方が来院されます。月経痛や月経困難症、子宮脱、更年期障害などご相談内容はさまざまです。陰部にできものができたり、どこかにぶつけて出血したといった場合に、他の科より相談しやすいから、という理由で小学生が来院されるケースもあります。最近は、ご自身の体が妊娠できる状態かどうか確認するブライダルチェックを希望される方も増えています。不妊のご相談も受けていますが、生殖医療を必要とする方には不妊症専門の施設をご紹介しています。子宮頸がんワクチンの接種も行っていますし、子宮頸がんは早期発見が望める病気ですので、すべての女性に2年に1回の検診を習慣化してほしいですね。なお、不正出血があった場合には子宮体がんの可能性があるため、早めの受診をお勧めします。
患者が抱える不安にできる限り寄り添いたい
医師の道へ進まれた経緯と、先生がこれまでどんなご研鑽を積まれてきたかについても、お聞かせください。

祖父も父も産婦人科の医師として、地域のお産を支えてきました。多くの方に信頼され、慕われている様子を見て私も自然と医師をめざしました。ただ、最初から産科に特化していくつもりはありませんでした。学生時代に、さまざまな科を経験した結果、最終的に自分が興味を持てる科が産科だったんですね。産科は24時間365日体制で対応する必要があり、大変な部分もありますが、医療の現場で「おめでとう」と、患者さんに対して言えるのは産科ならではですよね。それってすごく幸せなことだなと思います。大学病院で勤務していた頃は、がんの研究をしていましたが、臨床ではお産から良性腫瘍の手術、緩和医療まで幅広い領域を担当していました。その後勤めた別の病院では、麻酔科にも所属し、麻酔の知識も学びました。
患者さんと接する上で心がけていることはありますか?
外来の患者さんをお待たせしないよう、滞りなくテキパキと診療していきたいと思う一方で、患者さんが抱えている不安にできる限り寄り添って、お話を聞いていきたいとも考えています。適度に距離感は保ちながら、患者さんが話しやすい雰囲気を作ること、親身で物腰やわらかい話し方をするよう気をつけています。子どもの頃に見た、父と患者さんとのやりとりが記憶に残っているのですが、とても自然な距離感でした。いざ自分が父と同じ立場になってみると、それは決して容易なことではなく、信頼関係があってこそのやりとりだったんだなと気づきました。
今後の展望と読者へのメッセ―ジをお願いします。

近年は分娩の取り扱いをやめる医療機関が増えており、ますます地域のお産を支えるという大きな責任を感じています。当院の診療をできる限り続けていって、地域の医療ニーズに応えていきたいですね。近年、多くの患者さんが選択される無痛分娩についても、さらに安全性を追求し、お産に臨む際の不安を取り除けるように今後も努めていきたいと考えています。加えて、技術面だけでなく、精神的な面でも患者さんに寄り添えるような医療を提供していきたいですね。産婦人科は通院に対する心理的ハードルが高くなりがちですが、どんな些細な症状でも構いませんので、ぜひ気軽にお越しいただきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはブライダルチェック/2万2000円~

