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藤井 仁美 院長の独自取材記事

多摩センタークリニックみらい

(多摩市/小田急多摩センター駅)

最終更新日:2024/02/20

藤井仁美院長 多摩センタークリニックみらい main

小田急多摩センターと京王多摩センター駅から徒歩3分、白いカモメが羽ばたく青い看板が目を引く「多摩センタークリニックみらい」は、宮川高一理事長が運営する「医療法人ユスタヴィア」を母体とするクリニック。広々とした院内ではスタッフがきびきびと動き回り、活気にあふれている。藤井仁美院長が大切にしているのは、「患者と対等・平等に向き合うこと」。大学卒業後、高齢者や生活の悩みを抱える患者たちと真摯に向き合い、現在は院長としてクリニック運営の傍ら、スタッフの指導や地域の医療活動にも積極的に取り組んでいる。そんな藤井院長に、さまざまな話を聞いた。

(取材日2023年3月22日/情報更新日2024年1月31日)

糖尿病を専門に、複数の医師と他職種の協働により診療

クリニックの特徴を教えてください。

藤井仁美院長 多摩センタークリニックみらい1

当院の専門は、糖尿病を中心とする慢性疾患です。日本糖尿病学会糖尿病専門医が常勤・非常勤ともに複数人在籍して診療にあたっているほか、内分泌代謝を専門とする医師も複数人おり、甲状腺疾患などにも対応しています。24時間の血糖測定検査や、リアルタイムで自分の血糖を見ながらインスリンポンプを使う治療が可能です。血糖測定の機械を皮下に装着すると、ポンプの画面に血糖値の近似値が表れるので、患者さんがその数値を見ながら、低血糖や高血糖の予防や、なぜこの血糖になったのかをご自身でリアルタイムに分析できます。CGM(持続血糖モニタリング)、isCGM(間欠的血糖モニタリング)、SMBG(自己血糖測定)の検査も可能。生活習慣病では患者さんの日常生活に関わる部分も大きいので、看護師や臨床検査技師、管理栄養士、トレーナーなど多職種が連携し、療養相談、疾患教育に力を入れているのも特徴です。

呼吸器内科、皮膚科の診療を開始されたのですね。

気管支喘息やCOPDなどの呼吸器疾患は喫煙と関わるケースも多く、糖尿病と合併することも少なくありません。これまで読影で協力をお願いしていた医師に新たに診療に加わっていただけることとなり、呼吸器の外来を新設しました。皮膚科はこれまでも外来を展開し、糖尿病性足病変はもちろん、一般的な皮膚疾患も診療しています。フットケアに慣れている看護師もおり、爪切りやたこ削りといった処置も行える体制です。

どのような患者さんが来院されていますか。

藤井仁美院長 多摩センタークリニックみらい2

「多摩ニュータウン」は経済水準、インテリジェンスの高いエリアという印象で、当院にいらっしゃる患者さんは、インターネットで検索したり、クチコミで来られる方が多いです。この地域には外国の方を採用しているIT企業もあり、インドや中国、台湾、韓国、エジプトの方も来院されます。主訴としては糖尿病が多く、生活習慣を見直すことで改善を望める2型糖尿病に加えて、インスリンを補う治療が必須となる1型糖尿病の方も多くいらしています。

1型糖尿病と2型糖尿病の違いについて教えてください。

フィンランドやカナダなど北国に多いといわれる1型糖尿病は、人種的・遺伝的な背景に加え、風邪などのウイルス感染で発症するといわれています。年齢に関係なく、10代や20代の方も罹患するので就職や結婚・出産などで悩むことも。対して、高齢化の進む日本で増加傾向にあるのが、2型糖尿病です。治療方法の違いは、1型は膵臓が破壊されてしまうのでインスリン注射が必要です。ただ現在のインスリン療法にはまだ限界があるので、うまく作用するよう、生活習慣の調整も求められます。2型では一般的に食事療法や運動療法などで生活習慣を整え、薬物療法を行います。最近は経口剤だけではなく、インスリンやそれ以外の注射剤も種類が豊富です。

患者のバックグラウンドを理解し、プロとしての対応を

食事指導や運動指導でも専門家の指導が受けられるとか。

藤井仁美院長 多摩センタークリニックみらい3

トレーナーがエアロビクスやヨガ、ノルディックウォーク、あるいは転倒予防などの教室も開催し、日常の運動指導をしています。管理栄養士は栄養相談のほか、料理教室なども開催していました。コロナ禍で従来の活動が難しくなってからも、待合室で座位でできる運動を指導するなど、工夫して開催してきました。患者同士の交流のための「患者会」もあり、日帰り旅行なども行いましたが、近年は感染症の影響で中断あるいはオンラインに切り替えとなっており、今後徐々に再開していければと考えています。特に日本では、糖尿病人口の5%といわれる1型糖尿病の若い患者さんも多いので、こうした交流の場が大切と思っています。

診療にあたって一番大切にしていることは?

情報を提示し、理解・納得していただいた上で治療を行うことです。患者さんのことをよく知り、生活環境や経済状況のせいで十分な治療が受けられないという方の力にもなりたいのです。例えば、インスリン療法は費用のかかる治療ですが、経済的に困難な患者さんにも選択できるようにしたいと考えています。それは国外でも同じで、国連の定めた「世界糖尿病デー」では、発展途上国などでも治療が受けられず命を落とすことがないように、クリニックでも啓発活動などに取り組んでいます。NPO法人西東京臨床糖尿病研究会というグループでも、医師やメディカルスタッフが集まり、災害医療やインスリンポンプ療法、介護の現場での教育活動などさまざまな活動に取り組んでいます。

スタッフの指導で心がけていることはありますか?

藤井仁美院長 多摩センタークリニックみらい4

子育てをしているスタッフも多く、社会的な問題に目を向け、経済的に厳しい生活をされている患者さんなどに、プロフェッショナルな対応をしてほしいと思っております。また、予約通院日にいらっしゃらず治療中断してしまった方には、スタッフがお手紙を書いたりしています。そうすることで、スタッフ宛てに電話や手紙が届き、本音が聞けることもあるかもしれないからです。患者さんが抱える悩みは人それぞれですが、皆さんが価値を見いだせる診療内容であることが大事です。医師と患者は一対一ですが、スタッフの顔も見える関係づくりを大切にし、医療チームとして患者さんと向き合いたいですね。

介護分野とも連携し、地域の対応力底上げにも尽力

糖尿病医療全般や地域で果たす役割も大きいそうですね。

藤井仁美院長 多摩センタークリニックみらい5

都内のクリニックとしては早い段階で糖尿病を専門とする医師の教育に着手しました。教育を行っていることで、日本のさまざまな地域から医師が研修に来ます。また、多摩市医師会の糖尿病担当として薬剤師会を巻き込んでの重症化予防事業に取り組んでいることに加え、主に南多摩地域で糖尿病を診る医師との連携を深め、質の向上に努めています。法人内に複数拠点を持つことで医師やコメディカルの行き来もあり、情報交換や研鑽の機会も多くあります。

糖尿病を専門とする医師を志したきっかけは?

大学卒業後に入った都内の中小規模病院で、糖尿病の患者さんたちと出会ったことですね。その病院や診療所で臨床を行う医師として診療した後、大学院に入り直し、疫学について学びました。「生活習慣病」と呼ばれる糖尿病は、運動不足や食生活が悪いというレッテルを貼られることも多いですが、実は遺伝的な体質やどうにもならない生活環境によって発症・進展することも多いのです。疾患の治療のために生活保護の相談に行ったけど、窓口で断られたという話もよく聞きました。私自身の糖尿病患者さんへの根本的な思いは、このような経験から来ています。また最近では薬物療法の進化で、改善をめざせるようになり、一概に「生活習慣」と自己責任にするのは間違った形では、と気づかされます。1型糖尿病の患者さんも「治らない病気」と悲観せず、治療法の進化によって「いつかは治るかもしれない」と希望を持って治療に臨めるようサポートしています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

藤井仁美院長 多摩センタークリニックみらい6

開院から15年を経て、患者さんの高齢化とともに介護との連携も必要となってきました。高齢患者さんでは単に薬を出しているだけでは十分ではないケースもあり、家庭に入っての対応が求められることもあるでしょう。自宅での注射が必要となる方もいらっしゃいます。ケアマネジャーと連携したり、訪問看護スタッフ対象のセミナーを実施したりしていますが、今後もこうした取り組みを通して地域全体の対応力向上に努めていきたいと考えています。コロナ禍で患者会のイベントをオンラインにしたことで、若い世代から参加しやすくなったという声もありました。近くに悩みを共有できる相手がいないという方もぜひご相談いただきたいですね。

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