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体への負担軽減を図る無痛分娩
自分で「産む」という達成感も

井上レディースクリニック

(立川市/西立川駅)

最終更新日:2023/07/19

井上レディースクリニック 体への負担軽減を図る無痛分娩 自分で「産む」という達成感も 井上レディースクリニック 体への負担軽減を図る無痛分娩 自分で「産む」という達成感も

無痛分娩は、麻酔を用いて出産時の痛みの軽減を図る分娩方法。欧米では6~9割の妊婦が取り入れているのに比べ、日本ではまだそこまで定着していないという。とはいえ痛みに敏感、体力に自信がない、持病があるといった妊婦もいるだろう。「ニーズは高まっています」と話すのは、「井上レディースクリニック」の山田佐世子先生。日本麻酔科学会麻酔科専門医で、緩和ケアを得意とする医師だ。山田先生は産前の麻酔教室を開き、「硬膜外麻酔についての知識を深め、疑問や不安をなくしてから納得して受けてほしい」と話す。麻酔を使ったとしても「自分で産んだ」という達成感を得ることもできるという無痛分娩。山田先生に、無痛分娩の方法、メリットやデメリットなどについて詳しく聞いた。

(取材日2023年3月15日)

その人に合った濃度や量で麻酔を調整し痛みの軽減を図る。娩出の促しにつながるメリットも

Qこちらで対応されている分娩方法について教えていただけますか。
A
井上レディースクリニック 分娩中は胎児の心拍などをモニターで確認できる設備を整えている

▲分娩中は胎児の心拍などをモニターで確認できる設備を整えている

自然分娩、吸引・鉗子といった急速遂娩、無痛分娩、帝王切開です。当院では、産科の医師5人と麻酔科の医師が常駐し、夜間も複数の医師で緊急帝王切開などに対応する体制を整えています。分娩中は胎児の心拍などを把握するために、妊婦さんに分娩監視システムを装着。ナースステーション、外来診察室、院長室、医師当直室でモニター確認できるようになっており、お産を見守っています。また、医師、助産師、看護師の多くが新生児の蘇生法を学んでおり、生まれてきた赤ちゃんがうまく泣かなかったり、呼吸が見られなかったりしたとき速やかに対処することが可能です。複数の大学病院や総合病院とも、連携しています。

Q無痛分娩とは、どのような方法でしょうか。
A
井上レディースクリニック 硬膜外麻酔では鎮痛薬の種類、濃度、量を妊婦に合わせて調整

▲硬膜外麻酔では鎮痛薬の種類、濃度、量を妊婦に合わせて調整

陣痛や腹圧など妊婦さんの力で腟から分娩する「自然分娩」に対し、麻酔で陣痛の緩和を図りながら分娩を手助けするのが「無痛分娩」です。当院では主に硬膜外麻酔を使用しています。直径1ミリ弱の細いカテーテルを、腰の近くにある硬膜外腔と呼ばれる場所に背中から挿入します。カテーテルを通し、下半身だけに効くよう麻酔を注入するので妊婦さんの意識ははっきりあります。鎮痛薬の種類、濃度、量を妊婦さんに合わせて調整し、自然分娩の痛みを10とすると3以下に抑えることをめざします。できるだけ痛みをなくすようめざしますが、人によっては痛みが多少残ることで上手にいきめて、自分で産んだという満足感につながる人もいると思います。

Q無痛分娩のメリットとデメリットを教えてください。
A
井上レディースクリニック 山田先生は同院に10年勤める日本麻酔科学会麻酔科専門医

▲山田先生は同院に10年勤める日本麻酔科学会麻酔科専門医

メリットは、陣痛の痛みが軽減されることで、落ち着いて分娩に臨めることです。出産時に体力を消耗しにくいため、産後の回復も早いと考えています。また、麻酔の持つ筋弛緩作用で産道と会陰部の筋肉がゆるむことが期待でき、赤ちゃんのスムーズな娩出につながるでしょう。さらに、分娩中に赤ちゃんの状態が急変して緊急帝王切開を行うとなったとき、速やかに手術へ切り替えられます。デメリットは、麻酔の影響で陣痛が遠のいてしまい、お産が進みにくくなる場合があること。吸引や鉗子で赤ちゃんを引っ張る処置が必要になる可能性が高まります。そのため当院では、なるべく分娩に影響を与えないように、麻酔管理と調整に努めています。

Qこちらで無痛分娩を希望する場合、どうすれば良いでしょう。
A
井上レディースクリニック 無痛分娩について正しい知識を得られるよう麻酔教室を実施

▲無痛分娩について正しい知識を得られるよう麻酔教室を実施

妊婦検診のとき、もしくは妊娠30週で行う助産師とのバースプランについての打ち合わせで、無痛分娩に「興味がある」「希望している」ことを伝えてください。緊張感や恐怖心が強い方、妊娠高血圧症候群といった方には、当院からご提案する場合も。ただし、血が固まりにくい方や背骨が変形している方などは実施が難しいことがあります。前向きに考えている方には、産前のサポートとして麻酔教室への参加が必須です。麻酔教室は30分程度で、私が麻酔について説明したり、妊婦さんからのご質問を受けたりします。気持ちが固まったら同意書にサインを。その後、妊娠37週以降の妊婦検診で入院日を決め、計画入院して無痛分娩に臨みます。

Q産後のサポート体制は、どのようになっていますか。
A
井上レディースクリニック 産後のサポートにも力をいれている

▲産後のサポートにも力をいれている

硬膜外麻酔は分娩後2~3時間もすると自然に消失します。翌日は麻酔科の医師が回診して、麻酔後の合併症の有無、背中のカテーテルを抜いたあとに出現する血腫の有無、お母さんの体調などを確認。分娩中の麻酔を調整した状況などを必要に応じてご説明します。あとはほかのお母さんたちと同様に、入院中に抱っこの仕方や授乳のアドバイスなど、助産師が育児指導もします。退院後、育児に迷ったとき、育児疲れで体調がすぐれないときは、デイサービスや宿泊できるプランを用意しており、助産師や専門スタッフのサポートを受けることもできます。快適に安心して産後を過ごせる環境を整えています。

ドクターからのメッセージ

山田 佐世子先生

当院でも10年前にくらべ無痛分娩のご希望が増えてきています。ニーズは今後も上がるでしょう。無痛分娩に関して、安全性に不安を感じる方がいるかもしれません。当院では麻酔科の医師はもちろん、助産師や看護師が積極的に無痛分娩の講習会に参加し、トレーニングに力を入れているので安心してください。無痛分娩に限らず大切なのは、妊婦さんが納得した方法で分娩し、出産の満足感を得られることです。そのための選択肢の一つに無痛分娩があります。適切なタイミングでいきみ、しっかりと自分の力で産むことにつながり達成感も大きい分娩法だと思っています。興味をひかれたら、ぜひお話だけでも聞きにいらしてください。

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