患者の病気を診るだけではない
生活全体に目を配る訪問診療
厚生クリニック
(墨田区/小村井駅)
最終更新日:2024/04/15


- 保険診療
社会全体の高齢化が進む中、今後ますます注目度が高まっていくであろう訪問診療。しかし、いざ日常的な通院が難しくなったときに、訪問診療とはどのようなアプローチの診療なのか、病院への入院とはどう異なるのか、具体的にわからないことは意外に多い。東武亀戸線・小村井駅から徒歩約6分の「厚生クリニック」は、地域の中核病院などとも連携しながら訪問診療に力を入れている。院長の渡会昌広(わたらい・まさひろ)先生は、理学療法士からキャリアをスタートさせた経験も生かして積極的に訪問診療の仕組みづくりに取り組む。「患者さんの病気を診るだけでなく、“生活を診る”ことがモットーです」と語る渡会院長に、訪問診療で受けられるケアの内容や、診療にあたって大切にしていることなどを聞いた。
(取材日2024年3月28日)
目次
理学療法士の経験も生かして患者の生活をサポート。病院や他の事業者との連携で適切な訪問診療を
- Qこちらのクリニックの訪問診療の特徴について教えてください。
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A
▲さまざまな体の不調の悩みに応える
訪問診療で主治医を担当していても、その患者さんが病院に入院したり施設に入られたりすると、その時点で患者さんと主治医との関わりが途切れてしまうケースは一般的に多いと思います。当クリニックでは病院とも連携をしていますので、患者さんが入院しても私が引き続き主治医として携わり、もちろん退院されればそのまま私が在宅医療の主治医を継続できます。同じ医師が継続して最後まで担当できる安心感が、大きな特徴の一つです。また、医師以外のスタッフも訪問診療や生活指導に関するトレーニングを受けた者ばかりですので、そのことも安心感につながるポイントだと思います。
- Q理学療法士の経験は、訪問診療にどう生かされていますか?
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A
▲理学療法士の経験を持つ渡会院長
理学療法士は患者さんの病気だけでなく、ご家族や住環境などを含めた社会的状況、また患者さんがどのように生活をし、どのように時間を過ごしたいのかを踏まえてこまやかに見ていきます。リハビリテーションで身体の動作一つをサポートする場合でも、筋肉や関節の動きだけに注目するのではなく、どのような部屋に寝ていて、どんなテーブルや座椅子を使っているのかも評価しています。また、その一連の動きのどこで脈が早くなったり血圧が上がったりするのかまで生理的現象も把握しながらアセスメントします。そうした生活全体に目を配るスタイルは訪問診療においても大切で、医師になった現在でも経験が生かされていますね。
- Q医師以外のスタッフを含めた診療体制の強みを教えてください。
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A
▲スタッフの丁寧な対応も医院の魅力の一つ
当院にはケアマネジャーの他、心臓リハビリテーション、心不全療養について専門的に学んだスタッフがそろっていますし、リハビリテーションという概念についての理解に関しても、全員が同じ方向を向いて診療にあたっています。ですからスタッフが一体となって、病気に対してだけではなく、患者さんの社会的、心理的な状況も含めてケアしていくことができます。また、在宅療養の中でクリニックができることはあくまで一部分で、他の事業者の方々との協力なしには成り立ちません。そうした他の事業者さんとの連携がしっかりできることも当クリニックのスタッフの強みだと思います。
- Q今後の訪問診療の展望をお聞かせください。
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A
▲訪問診療を考えているなら相談してほしいという
患者さんのさまざまな背景を理解して生活全体を見ていくことや、他の事業者さんとの協力については引き続き大事にしたいですね。また、当クリニックが行っているような、入院施設がある病院と連携した在宅医療の在り方を一つのモデルケースとして、墨田区内、さらにはより広い地域にもそのノウハウを伝えていければと思います。当クリニック内の目標に関して言えば、まず患者さんの生活に関する評価を、スタッフ全員がしっかり行える教育体制を強化していきたいです。また、ITインフラ、デジタルテクノロジーを活用して、ご家庭での体調異変などに迅速に対応できるシステムをつくっていければと考えています。