渡会 昌広 院長の独自取材記事
厚生クリニック
(墨田区/小村井駅)
最終更新日:2026/04/08
小村井駅から徒歩6分、錦糸町方面からもバスでアクセスできる「厚生クリニック」。白を基調とした明るい院内で温かなスタッフたちが笑顔で迎えてくれるので、患者の緊張も和らぎそうだ。2023年1月に同院の院長を継承した渡会昌広(わたらい・まさひろ)先生は、かつては理学療法士だった。患者へのより深いアプローチを求め、循環器内科の医師になったという異色の経歴の持ち主である。しかし理学療法士時代の「患者の生活」をも診るスタンスは、今でも変わらない。さまざまな専門性を持つ医師、多職種のスタッフたちと力を合わせ、きめ細かに患者を見守る。現在は予防医療、訪問診療、疼痛管理、リハビリテーションを柱としているという渡会院長。なぜ、そのような医療を実践しているのか、今後の展望も含め詳しく話を聞いた。
(取材日2025年10月27日)
患者の「生活を診る」をモットーとし人生に寄り添う
まず、先生のご経歴から教えてください。

私はもともと理学療法士で、スポーツトレーナーに憧れていました。しかし、勤務先の病院では一般の方々を担当し、けがや病気に至る背景に興味を持つようになったんです。患者さんをより広範にサポートしたいと考えるようになり、弘前大学の医学部に編入し医師になりました。大学卒業後は初期研修を経て、大学病院の循環器内科、地域の中核病院などに勤務。訪問診療にも携わる中で「外来と訪問診療」の双方を強みとする包括的な医療機関の必要性を痛感するようになりました。ちょうど、約70年にわたり地域医療に貢献してきた「厚生クリニック」を継承するお話をいただき、理想のクリニックをここで実現しようと決意。複数の診療科を整えて、幅広い年齢層の患者さんが抱えるさまざまなお悩みに対応しています。
こちらではどのようなことに注力していますか?
一度治癒された方の再発予防や、疾病を未然に防ぐための予防医療に注力しています。私は循環器内科が専門で、生活指導は内科的なアドバイスが中心です。しかし、関節症を中心とした疼痛のお悩みを抱えている方も少なくありません。そこで、2024年4月からは整形外科の山崎舜先生が常勤となり、専門的なサポートを提供できるように体制を整えました。医師による疼痛管理に加え、理学療法士によるリハビリにも力を入れていきたいと考えています。新たに理学療法士も加わり、訪問リハビリも開始しました。病気や年齢などの理由により運動機能が低下した方に向けて、機能改善を目的とした施術を行っています。
診療を行う際、どのようなことを心がけていますか?

大切にしているのは、患者さんの病気だけではなく「生活を診る」ということです。これは理学療法士としての経験の中で培われたものといえるでしょう。理学療法士は患者さんと近い距離で手当てを行う職種です。私も日々「患者さんの生活背景」を見ながらコミュニケーションするようにしていました。常に「この方はどのような生活を送っているのか」を考えていましたが、医師になった今も変わらずに大切にしています。特に訪問診療の患者さんに対しては、「患者さんの人生設計図」を描くようにしています。「そこまで考えてくれている先生なら安心できる」と信頼していただければ幸いです。そのためには病気だけを診るのでは不十分であり、ご家族、ご友人、生活環境などを知ることも必要だと思っています。
理学療法士・医師としての経験を生かし町の健康を守る
そもそもなぜ医療従事者を志したのでしょうか。

子どもの時に両親の肩をもんだらとても喜んでもらえたんです。「誰かに何かを施して、喜んでもらえるのはいいな」というシンプルな思いで理学療法士をめざすようになりました。また、私は学生時代に野球をしていて「トップアスリートにはなれないかもしれないが、サポートすることはできる」という考えもありましたね。選手には特有の悩みや苦しみがありますが、自らの選手経験を生かして近い目線に立つことができましたし、患者さんの成績が伸びた時はともに喜び合いました。一方、一般的な患者さんに数多く接する中で、理学療法士として骨格筋系のアプローチは一通り習得してはいましたが「何かが足りない」という思いもありました。「生活を含めた患者さんのすべて」を診るには内科的な学びも必須と、医師を志すようになったんです。
勤務医時代も含め、印象に残ったエピソードはありますか?
勤務医時代に訪問診療で経験した2つのエピソードにふれさせていただきます。一つは繁盛店の女将さんとして多くのお客さんから慕われていた方です。最期はご家族や知人などを含めて30人ほどに囲まれて旅立たれました。その場には涙と笑みが織り交ざる、穏やかな空気が流れていました。ちょうど同じ頃に出会った、天涯孤独で身寄りのない患者さんのことも強く印象に残っています。最後の数日間は、私たち医療スタッフが家族のように接することになったんです。その方は「そばにいてもらって良かった」という言葉を残して旅立たれました。対照的ではありますが、今後とも病気だけではなく「生活を診る」「人生に寄り添う」医療をますます追求していこうと思いを新たにするきっかけとなりましたね。
生活に密着した診療を深めるためにどのような取り組みをしていますか?

例えば、訪問診療とケアマネジャーの事務所を新たに開設するなどしています。これまで看護師は外来も訪問も両方担当していましたが、患者さんが増えたこともあり、それぞれに分けて業務に集中できるようにしました。また、加齢や病気の進行でそろそろ通院が大変になりそうでも、まだ介護保険に入っていない方も少なくありません。当院には専属のケアマネジャーがいるので、介護保険の申請からお手伝いすることも可能です。ケアマネジャーは訪問診療を円滑に進めるためのコーディネートを担っていますが、院内にいるからこそスピーディーな解決をめざせます。また、外来と訪問の中間にいる方々は従来の訪問診療では取りこぼされがちでした。外来と訪問を両軸とする当院でお役に立てることは多いと自負しています。
若い世代のニーズにも応え地域の健康意識を高めたい
さまざまな専門性を持つスタッフがいると伺いました。

すべてのスタッフが、私のめざす方向を深く理解してくれていることを院長としてとても心強く感じています。例えば、多様な専門性を持つ複数の医師が在籍しているのは当院の強みです。循環器内科、整形外科の医師が常駐しているほか、膠原病やリハビリを専門とする医師が来る日も設けています。チーム医療で幅広く診療できる体制を整え、患者さんに症状ごとに別の病院に出向く負担をかけないようにしたいと思っています。また、当院は看護師もそれぞれが心臓リハビリ、心不全療養、介護支援の研鑽を積んでいるのも自慢の一つです。患者さんへの食事指導やお薬に関するアドバイスなどもきめ細かに行っています。さらに、理学療法士も新たに加わり訪問リハビリも開始しました。
訪問リハビリはどのような方が利用していますか?
今年の4月から開始した訪問リハビリですが、大きく分けて2つのルートで開始する方がいます。これまでも外来で通っている方から、筋力低下や日常生活動作の衰えなどのお悩みを相談されることも多かったのですが、そんな時に迅速に訪問リハビリにつなげられるようになりました。また、地域の包括支援センターやケアマネジャーからの相談を受けて、新たに訪問リハビリからのお付き合いになる患者さんもいます。私自身、理学療法士として働いていたこともあるのでリハビリはとても大切にしていますが、現在は手狭なので施設基準を満たさず通所リハビリができないのは歯がゆいところです。ゆくゆくは通所リハビリも始めたいと思っています。
今後の展望についてお聞かせください。

リハビリ分野を強化するためにも、新たなスペースの確保について模索中です。ワンフロア全面をリハビリ専用スペースにして、運動療法などの整形外科のリハビリはもちろん、エルゴメーターを設置して心臓リハビリも行えるようにしたいと考えています。また、このエリアには意外と若い世代も多いので、より幅広いニーズにも応えていきたいです。趣味でスポーツを楽しんでいる大人や、部活動のお子さんなどのけがなどもご相談ください。健康な方でも気軽に利用できる運動施設や、健康情報にふれられるカフェスペースをつくりたいという夢もあります。これまでどおりに「訪問診療の仕組み化」を推進するとともに、若いうちから健康意識を高める予防医療にも取り組んでいく所存です。
自由診療費用の目安
自由診療とはリハビリテーション/1回7000円(30分)

