山崎 舜 先生の独自取材記事
厚生クリニック
(墨田区/小村井駅)
最終更新日:2025/09/25

循環器、糖尿病・内分泌分野などを専門とする医師が複数在職し、幅広い診療に対応する「厚生クリニック」。同院の院長を務めるのは、渡会昌広(わたらい・まさひろ)先生だ。2024年4月からは日本整形外科学会整形外科専門医の山崎舜先生が常勤となり、より充実した整形外科の診療が可能となった。これまでに医療機関で外傷や人工関節の手術に携わってきたという山崎先生。その知識と経験を生かし、手術の必要性も含めて症状をしっかりと見極め、薬の処方をはじめ、関節注射やトリガーポイント注射などにも対応する。さらに新たにリハビリテーションを導入し、全身を整えつつ痛みへの対策にも取り組んでいる。今回は山崎先生に、新たに導入したリハビリテーションの詳しい内容をはじめ、同院の整形外科診療の特徴、今後の展望などについて聞いた。
(取材日2025年1月17日)
リハビリテーションで体を整え、地域の支えに
早速ですが、まずは新たに開始したリハビリテーションについて教えてください。

院内でリハビリテーションを行うことは、理学療法士でもある渡会院長の長年の夢でした。私自身、痛みを取るための注射や手術も数多く経験してきたからこそ、患者さんにより負担の少ないリハビリテーションに大きな可能性を感じています。現在のところは膝の痛み、腰痛、肩凝りなどの方が多いのですが、日々の暮らしの中で「首が疲れやすい」といったお悩みがあれば、気兼ねなく利用してほしいですね。具体的な疾患がなくても、お子さんからご高齢の方まで、すべての方が対象です。医師の診察とリハビリテーションの両軸で改善をめざせるのも当院の強みだと思っています。
リハビリテーションにおいてすでに今後の展望もお持ちなのだとか。

はい。直近で言うと、4月からは理学療法士も新たに加わる予定です。携わるメンバーで一丸となって、より良いリハビリテーションの提供をめざしていきます。少し先の話で言うと、当院のリハビリテーションは今のところ自由診療のみですが、今後は保険適用でも行いたいと考えています。そのためには、45平方メートル以上のリハビリテーションルームを保有していることが必須条件となるので、渡会院長が物件を探しているところです。東京スカイツリーを眺めながら、マシントレーニングができるような場所にしたいと思っています。退屈なリハビリテーションに通うのではなくジムを利用するような感覚で、「今日は厚生クリニックに行こう」と気軽に足を運んでほしいです。
超音波の特性を生かした精密な診断と適切な治療を提供
ところで、山崎先生が医師を志したきっかけは何だったのでしょう? これまでのご経歴も教えてください。

子どもの頃に交通事故で大腿骨を骨折して入院し、リハビリテーションを含めて大変な思いをしたことがあるんです。主治医の先生をはじめとしたスタッフの方々にとても良くしていただいたのが、最初のきっかけだったように思います。大学卒業後は総合病院に勤務していましたが、渡会院長と出会い、非常勤で当院を手伝うようになりました。2024年4月からは常勤となり、今ではずいぶんなじみの患者さんも増えました。当院の整形外科には、お子さんからご高齢の方までさまざまな方がいらっしゃいます。かつて私を支えてくださった先生のように、私もこの地域の皆さんにとって、体の痛みでも日常生活のことでも気軽に相談できる医師になりたいと思っています。
こちらの整形外科では、どのようなお悩みの方が多いのでしょうか。
例えば、お子さんならば突き指などの運動中のケガ、働き世代では腰痛・肩凝りなどにお悩みの方が多いですね。ご高齢になると首・腰・膝などの慢性的な痛み、また骨粗しょう症に伴う骨折も増えてきます。必要があればエックス線検査はもちろん、超音波検査も院内で可能です。治療としては薬の処方の他、関節注射、トリガーポイント注射なども行っています。手術が必要な場合は、病院を紹介していますが、本当に必要なのか否かを、地域のクリニックで判断しなくてはいけません。私はこれまで紹介を受ける側として、病院で外傷や人工関節の手術に数多く携わってきました。それらの経験と整形外科専門医の知識をフル活用して、診断や重症度の見極めに努めています。
院内に超音波検査装置があることは、どのようなメリットにつながるのでしょうか?

従来のエックス線検査は、骨のすり減りや変形、骨折の有無など、骨の状態を確認するものです。一方、超音波検査では、筋肉や靱帯の軟部組織の状態をチェックでき、患部を動かしながら様子を見る検査も可能です。これまではMRI検査が必要だった軟部組織に関しても、超音波検査を使えば院内で対応できます。さらに、超音波は検査だけでなく治療に活用できるのが大きなメリットといえるでしょう。例えば、肩関節への注射は適切な位置に薬液を注入することが重要なのですが、超音波をガイドとして用いることで、ピンポイントな注射治療がめざせます。整形外科領域では超音波の特性を生かした検査や治療が主流になりつつありますが、当院でもますます力を入れていきたいですね。
骨粗しょう症の早期発見がフレイルの予防につながる
骨粗しょう症の検査や治療についても教えてください。

骨粗しょう症の検査に関しては、血液検査は当院、骨密度検査は墨田中央病院などの近隣病院で、という協力体制で行っています。人間の骨は形成と吸収を繰り返して新陳代謝をしていますが、バランスがどちらかに偏ったときに発症するのが骨粗しょう症です。骨形成の減少と骨吸収の増加、どちらが原因なのか見極めるには、血液検査と骨密度測定が必要です。治療としては薬の処方や注射を行いますが、定期的に検査をして経過を見つつ、より適切な薬剤がないかどうかを調べていくことも欠かせません。骨粗しょう症の研究は年々進んでいて、新薬も続々と開発されています。ほんの数パーセントでも骨密度が上がることで骨折リスクを下げ、フレイルの予防にもつながると考えています。
骨粗しょう症の患者さんは多いのでしょうか?
とても多いです。私が病院で勤務していた頃も、毎日のように骨粗しょう症の高齢の方が背骨や大腿骨を骨折して運ばれてきました。大腿骨骨折は手術が必要ですし、腰椎の圧迫骨折も体が動かなくなるような重症例です。そのような方があまりにも増えて病床を圧迫してしまうのは、高齢化した社会の問題点ともいえるでしょう。現在、国を挙げて生活習慣病の予防に取り組んでいますが、高血圧や糖尿病と同じく、骨粗しょう症も防がなくてはならない病気の一つだと思います。生活習慣病と同様、骨粗しょう症も自覚症状がほぼないのが怖いところです。
自覚症状がないからこそ、患者さん自身の意識が大切ですね。

そのとおりです。だからこそ、当院では院内ポスターで検査を呼びかけるなどしています。実際、高血圧や糖尿病の治療で通院していて、院内のポスターを目にして骨粗しょう症の検査を希望する患者さんもいます。また、当院では健康への意識を高めていただくために地域の方々に向けた院内イベントを実施しているのですが、骨粗しょう症の講演会は満席になることが多く、改めて不安な方がたくさんいるのだと実感しました。講演会をきっかけに当院に来てくれた方もいました。今後とも骨粗しょう症の早期発見・早期治療に努めたいです。院内イベントは毎回異なるテーマで行っていますが、夏には熱中症の講演会も開催するなどして、広く皆さんの健康を守っていければと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお聞かせください。
骨粗しょう症は閉経後の女性に多いといわれていますが、男性も無縁ではありません。血圧と同じように、骨密度も定期的に測定する習慣をつくってはいかがでしょうか。骨粗しょう症を予防するためだけでなく、健康寿命を延ばすためにも、ぜひリハビリテーションを活用してほしいです。私の専門は整形外科ですが、当院には内科や小児科、皮膚科、泌尿器科など、さまざまな専門性を持つ医師が在籍しています。看護師や事務スタッフもスキルが高いのみならず、人間性も素晴らしいスタッフばかり。生まれも育ちも墨田区という、墨田区にゆかりの深いメンバーも少なくありません。これからも皆で力を合わせて地域医療を支えていきたいと思っています。また、院内イベントもさらに充実させて、近隣の方々が楽しく集うサロンのようにできたらいいなと思っていますから、困ったときのよりどころとして頼りにしていただければ幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とはリハビリテーション/1回7000円(30分)