横山 寿光 院長の独自取材記事
横山眼科医院
(足立区/竹ノ塚駅)
最終更新日:2022/07/22
30年以上前から、足立区で内科と連携した眼科医療で糖尿病患者と向き合い、一人でも多くの患者を失明から守ろうと尽力してきた医師がいる。1990年開院の「横山眼科医院」の横山寿光院長である。「患者さんを自分の大切な家族と思って診察してきました」と穏やかにほほ笑む横山院長は、これまで培ってきたネットワークと日本眼科学会眼科専門医としての豊富な経験と実績を生かし、30人以上の専門スタッフとともに専門性の高い眼科医療の提供に努めている。眼科医療を通じて地域医療に貢献してきた横山院長に、眼科医療にかける熱い思いや同院ならではの診療について詳しく聞いた。
(取材日2022年6月29日)
専門性の高い眼科医療を、身近なクリニックで
まずはクリニックの歩みについて教えてください。
当院は今年で開院から33年目となる地域密着型の眼科クリニックです。私は杏林大学医学部付属病院や板橋中央総合病院で研鑽を積み、日本眼科学会眼科専門医の資格を取得後の1990年に法人として開院しました。当時の足立区は糖尿病の患者さんが非常に多く、病院勤務時代は糖尿病網膜症の重症患者さんを診ることが多く、残念ながら失明してしまう患者さんも少なくありませんでした。このままではいけない、少しでも早く糖尿病を見つけて早期治療に結びつけなければという一心で、内科と合同で糖尿病の合併症についての勉強会を行うなど連携強化を図りつつ、開業医として診療体制を整えてきました。今ではアットホームな雰囲気の中、30人以上のスタッフが、きめこまかく患者さんをサポートする体制を整えています。
クリニックながら先端の設備をそろえていらっしゃるそうですね。
開院当初より白内障や緑内障の日帰り手術を行っていたため、院内感染防止対策を施した専用の手術室を設けています。また、造影剤を使わず血管の撮影を行うことが可能な光干渉断層計(OCT)、高画質・高精細な眼底検査を行うための共焦点走査型ダイオードレーザー検眼鏡、赤外光により眼底観察を行い眼底の撮影を行う無散瞳眼底カメラ、白内障の手術に必要となる目の長さや角膜の丸み、前房深度、水晶体の厚みなどを目に触れることなく一度に測定可能な光学式生体計測装置など、大学病院に置いてあるような機器や設備を導入しています。さらに、6人の視能訓練士をはじめ、眼科の検査を行うスタッフ、眼科助手など専門のスキルを習得したスタッフが検査を担当しています。
診療方針について教えてください。
開院以来、私はずっと患者さんを家族と思って診療にあたってきました。大切な家族だからこそ、常に最善を尽くしたい。それまで勤めていた大学病院や総合病院レベルの眼科医療の質を維持するために、当院では検査機器も治療用の器具もすべて先端のものをそろえたのも、患者さんを家族と思えばこそです。また、日本で病気による中途失明の1位は緑内障、2位が糖尿病網膜症とされています。これらの重症化を防ぐには、早期発見・早期治療しかありません。そのためには定期的に、かつ継続的に眼科を受診していただくことが重要です。当院は患者さんに「来て良かった」と思っていただけるよう、気持の良い対応を全スタッフで心がけています。
専門スタッフによるチーム医療で、高度な医療を追求
白内障や緑内障の日帰り手術で多くの実績があるそうですね。
当院では開院以来、30年以上にわたって白内障や緑内障の日帰り手術に取り組んできました。今は毎週水曜日を手術の日と決めて、手術を専門とする看護士と2人の日本眼科学会眼科専門医による専門チームで対応しています。白内障の手術は、できるだけ患者さんの負担が少なくなるよう、小切開法による超音波白内障切除に対応。最近は多焦点眼内レンズへの期待が高まっていますが、どのレンズにもメリットデメリットがあることや、白内障の手術を受けたからといって、20歳の頃の見え方に戻れるわけではないことなどもきちんと説明し、その方の生活様式やニーズに合うレンズを選ぶようにしています。眼科の医師にとっては日常的な手術でも、患者さんにとっては一生に一度の手術です。「手術して良かった」と喜んでいただけるよう、真摯に取り組んでいます。
訪問診療や深視力検査の練習にも対応していると伺いました。
加齢とともに目の病気は増えていきます。中でも緑内障や糖尿病網膜症は治療せずに放置すると、失明に至ります。当院では訪問診療専門のチームを立ち上げ、専用のスタッフと機材、車両を用意し、週に1度患者さんのいる施設やご自宅を訪問しています。通院が困難になったら、われわれが伺います。QOV(Quality Of Vision:視覚の質)がQOL(Quality Of Life:生活の質)に与える影響は計り知れません。最後まで諦めることなく、患者さんの目の健康を守り、生活の質を維持することも、われわれかかりつけ医の重要な役割だと思っています。また、当院の近くに教習所があることから、大型自動車や二種免許の取得や更新に必要な深視力計の練習にも対応しています。教習所から紹介されてきたという患者さんも多いので、気になる方はご相談ください。
複数の視能訓練士が在籍されていますね。
当院には6人の視能訓練士が在籍していますが、大学病院でもこれだけの機能訓練士は在籍していないのではないでしょうか。視能訓練士は、視力や視野に問題がある患者さんに対して、測定機器を用いた検査、視能を回復するための訓練やリハビリテーションの指導などに関する専門のスキルを習得したスタッフです。当院では主に小児弱視や斜視のお子さんや、オルソケラトロジーの治療を受けている患者さんに視能訓練士が対応いたします。3歳児健診や就学時健診等で斜視や弱視などの疑いがあると指摘されたお子さんが当院を紹介されて相談に来られることも多いですね。
訪問診療にも対応、生涯にわたる目のサポートを
眼科の症状から命に関わるような病気につながることもあるのですか?
患者さんは、まさか眼科の検査で命に関わるような病気が見つかると思ってもいないことが多いと思います。でも、目の症状から他の病気を発見することもあるんですよ。例えば、麦粒腫だと思っていたけれど眼底検査で確認したら白血病性の眼底出血があり、白血病が見つかったり。視野の欠損や瞳孔の状態、視神経の色から脳梗塞や脳腫瘍などが見つかったりする場合も。なので、少しでも違和感を感じたら相談していただけると、場合によって適切な治療につなげられ事なきを得られることもあります。
今後の展望をお聞かせください。
おかげさまで当院で白内障の日帰り手術をはじめとする、さまざまな治療を受けた患者さんからの紹介で、今では大勢の患者さんに来ていただけるようになりました。年齢が上がるにつれ、眼科疾患は増えることから、これからますます眼科診療のニーズは高まると思います。今後も地域の皆さんのニーズに応えるため、さらなる体制の拡充をめざしたいと思っています。また、大学病院との連携もさらに強化し、新たな手術や技術、治療を取り入れていきます。開院当時から所属している足立区医師会の眼科医会でも最古参となりました。これまで築いてきたネットワークを生かし、他科との連携を深めながら眼科医療を通じて、地域医療に貢献し続けていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
これまで30年以上にわたり、足立区の皆さんとともに歩んでこれたこと、また微力ながら糖尿病や糖尿病性網膜症の早期発見と早期治療により失明する患者さんを減らすために貢献できたことは、眼科の医師冥利に尽きる思いです。初期の眼科疾患は自覚症状のないまま進行するものが多いからか、健診の受診率がなかなか上がりません。足立区では40歳から70歳までの方は5年ごとに無料で眼科健診を受けられるようになっています。ぜひ、この制度を活用していただきたいですね。「目は全身状態の縮図」といわれています。当院は手術日の水曜以外の平日は19時まで、土日も診療しております。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。