赤畑 正樹 院長の独自取材記事
細田診療所
(葛飾区/京成高砂駅)
最終更新日:2024/06/20
京成本線京成高砂駅から徒歩10分。せせらぎ通りから少し入ると見えてくるモダンな建物、それが「細田診療所」だ。院長の赤畑正樹先生は、先代が掲げた「心からの医療」「予防医療の重視」という理念を継承し、日々、地域医療に熱心に取り組んでいる。同院には、MRIやCT、超音波検査機器、マンモグラフィなどが設置され、地域のクリニックとは思えないほど各種検査機器が充実している。診療科や施設の拡充も随時図っており、2022年秋には新館に小児科と心療内科を移設した。「各分野の専門の医師がしっかり診察できることがかかりつけ医としての責務だと思います」と話す赤畑院長。同院の特徴や地域医療への思いを存分に語ってもらった。
(取材日2023年3月11日)
幅広い診療科と設備を用意し、患者のニーズに応える
新館を増設されたと伺いました。
おかげさまで多くの患者さんに来院いただき、待合室の混雑が気になるとのお声もあったことから、隣接する新館を用意し、小児科と心療内科を移設しました。小児科では、小児科専門の医師が診察を行い、ワクチン接種や健診など地域のお子さんの成長を見守ります。感染症により受診されるお子さんも少なくないので、感染予防の目的で、患者さんの動線を分けることにしました。当院では発熱患者専用の外来も開設しており、発熱のある方は事前に連絡をいただく予約制を取って院内感染予防に努めてきました。こうした受診スタイルは定着しており、一定の効果が望めることから、今後も継続して安心して受診いただける体制をキープしていきたいと考えています。
診療科の拡充にも注力なさっているとか。
基本は患者さんのニーズに応えるかたちで、整形外科・リハビリテーション科など徐々に診療科を増やしました。内科で受診される方から膝や腰の痛みの訴えがあり、必要性を感じたからです。事故などによる不意のケガから生活に支障を及ぼす痛みまで、内科ではカバーできない領域を、内科と並行して毎日診られるようになったのは大きなメリットだと感じています。リハビリ室も設備や理学療法士を増やして拡充することで、できることが増えて患者さんの満足度向上にもつながったと思います。
専門職のスタッフもとても多いですね。
医師、看護師に加えて、放射線技師、臨床検査技師、管理栄養士、理学療法士などさまざまな専門職が常駐しています。MRIやCTなどの検査技師たちは決して妥協することなく、精密な撮影、診断を行っています。診断レポートも大学病院とほぼ同レベルだと思います。管理栄養士は生活習慣病へのアプローチのため栄養指導を行っています。患者さんのライフスタイルや仕事の環境なども踏まえて、毎日の生活で行える現実的なアドバイスをしています。看護師たちは、待合室の患者さんの様子に常に気を配っています。いつもと違う表情をしていないか、どこか苦しがっていないか、患者さんへの目配りや心配りを心がけています。看護師のアイデアで、通院が難しい患者さんを対象に送迎サービスも始めました。このようにスタッフの意識が高く、その働く姿に共感していただいている患者さんも多いようです。
検査のハードルを下げ、早期発見と適切な診断に尽力
MRIなど検査機器が充実しているのも特徴ですね。
MRIは新しいものに更新し、さらに短時間でより精密な画像が得られるようになりました。20分程度で受けられるので、閉所が苦手な方や痛みなどで長く横になれない方にもお勧めできます。検査機器充実の背景には、開設者である父が放射線科の医師で、機械が大好きだったこともあります。加えて、病気の早期発見、適切な診断のためにも検査機器の拡充は重要と考えており、CTを新鋭機種に更新しました。また上部・下部の消化器内視鏡も6月に導入しました。基本は診察や問診で真実に近づくべきですが、画像が診断の助けになることも。例えば同じ腰痛でも、筋肉の凝りによるものと圧迫骨折によるものでは治療がまったく違ってきます。検査が必要と言われても、大きな病院で受けるのはハードルが高いもの。結果を聞くために再度の通院が求められることも。当院では基本その日のうちに結果を出せるよう努めています。
精密な検査によって病気の早期発見に努めているのですね。
生活習慣病でもがんでも、私たちとしては早く発見して早く治療し、できるだけ早く社会復帰していただきたいと願っています。進行性の病気の場合、1ヵ月の違いでその後の何十年という人生を奪ってしまうことにもなりかねません。初診ではまず「様子を見ましょう」と言われるというケースもあるようですが、私は病院に来られた時点で皆さんすでに十分様子は見られており、「何かがおかしい」と感じて受診されていると考えています。この地域でも増えている認知症も、早期発見がとても大切です。というのも、徘徊やイラつきなどの周辺症状が出てしまってからの回復はとても難しく、早い段階からの適切な治療で進行を遅らせることが求められます。認知症の診察は、症状の説明やご家族の生活のサポートなどじっくり時間をかける必要がありますので、認知症専用の診察枠を設定しています。
認知症も診る脳神経外科のご出身でしたね。
認知症は突然罹患するものではなく、徐々に進行する病気です。早い段階で介入できれば進行を遅らせることもめざせます。認知症があるのとないのでは、老後の生活は大きく変わってきます。物忘れが気になるといった早期の段階で、早めにご相談いただきたいですね。認知症には「恥ずかしい」などいまだ負のイメージが強く、相談をためらうというケースもあるようです。とはいえ、年齢を重ねれば基本的に誰もがかかる可能性のある病気であり、85歳以上では半数以上ともいわれています。特別な病気ではなく共存すべきものであることを、広く理解していただくための活動にも力を入れています。
多彩な人生経験で育んだ人間力で寄り添う診療をめざす
普段院長先生が心がけていることはどんなことですか。
患者さんの話によく耳を傾けることです。患者さんが話す何げない言葉や会話の中に重大な疾患が隠れていることがあるからです。例えば、咳がずっと続いてなかなか治まらないという訴えの原因が、実はがんだったというケースもあります。単なる雑談だからといって疎かにするのではなく、一つ一つ注意して聞くようにしています。患者さんの中には、家族関係の悩みまで相談する方もおられます。そんな時は、こんなふうに考えたらどうですか、などと人生相談みたいな話をすることもあります。精神的な悩みが体の症状として現れることもありますので、その方の社会環境、家庭背景なども理解した上で診察するようにしています。
医師をめざされたきっかけを教えてください。
いずれは父の後を継ぐだろうと思っていましたが、高校生の頃、そのまま医師の道に進むのは物足りない、医師になる前にいろいろな社会経験が必要ではと思いました。それで高校卒業後、営業や接客などいろいろな仕事に就いた中で、社会にはさまざまな価値観があることに気づかされました。そして、人に喜んでもらえる仕事は何か、と改めて考えた時、医師になろうと決断できました。当時、東邦大学医学部には私と同じような経験をされていた方もいて、それを受け入れる土壌がありました。社会人としての数年間の経験は、後々の私の医師のあり方として大きな影響を与えたと感じています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
早期発見や精密な診断に役立つ良い検査機器があれば随時導入して、検査・診断の精度をさらにレベルアップさせていきたいです。皆さんには、自分の身は自分で守るという意識を持って、異常や気がかりがあれば早めにご相談いただきたいと思います。プライマリケアの医師として、不調を抱えた皆さんにまず相談できる場を提供しています。「こんなことで相談していいのか」という言葉をよく聞きますが、どんなことでもぜひご相談いただきたいと考えています。健康診断で異常を指摘されたら、自覚症状がなくともまずはご受診ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/6万500円、一般健診/4642円~、にんにく注射/1980円~、プラセンタ注射/1100円~