田口 享子 理事長、田口 朗 院長の独自取材記事
山口医院
(豊島区/巣鴨新田駅)
最終更新日:2024/06/03
JR山手線の大塚駅北口から徒歩8分の住宅街にある「山口医院」。田口享子(きょうこ)理事長がリニューアル開業したのは2018年のこと。前身である「山口病院」時代から半世紀にわたり近隣住民に親しまれてきたが、改築にあたって眼科も新設。専門性の高い手術を担当するのは、夫でもある田口朗(ほがら)院長。二人三脚はもちろんのこと、総勢約50人の多種多様な専門職スタッフともタッグを組み、治療、リハビリ、在宅医療までをシームレスに提供している。公園の緑が一望できる院内で2人に詳しく話を聞いた。
(取材日2023年5月16日/情報更新日2024年5月22日)
「よく見える、よく食べられる、よく動ける」を重視
歴史ある中核病院であった山口病院の時代から地域医療に貢献してきました。
【享子理事長】院長だった父は「ホームレスからVIPまで」をモットーに救急医療に注力していました。その中で私は医療を通じて、患者さんの人生においてわれわれ医療人が関与するのは一通過点に過ぎないのですが、病気を良くしても寝たきりなどの生活に支障を来している人を目の当たりにした時に感じたのが予防の大切さです。2018年に「山口医院」として再出発する際、ますます高齢化社会になるにあたり考えたコンセプトが「よく見える、よく食べられる、よく動ける」です。いつまでも、その人にとって元気で健やかに過ごしてほしいという思いを込めました。
【朗院長】それまで私は大阪赤十字病院などの眼科に勤務していて、妻とは長く週末婚の状態でした。改築の機会に「これからは2人でやっていこう」となって、眼科も併設することになったんです。昔からの患者さん達にも「新しく眼科もできて便利になった」と、喜ばれているのはうれしいですね。
改築後は窓も大きくなり区立公園の緑がよく見えますね。改築時のこだわりを教えてください。
【享子理事長】改築に際し、長年の救急医療の経験を生かし速やかに検査や診断、治療ができるよう、動線に配慮しました。また各階ごとにテーマカラーを決めています。1階は内科で、気持ちを晴れやかにする効果があると言わるピンクに。2階は眼科で、手術を行うところでもあることから、集中力を高めると言われる青に。3階は病棟なので、リラックス効果や疲労回復効果があると言われるグリーンに、4階はリハビリで、元気に明るいイメージの黄色にしました。
【朗院長】眼科では白内障や眼瞼下垂といった一般的な手術だけではなく、緑内障、網膜や眼底の病気など専門性が高い手術にも対応しています。手術室は小さめですが先進設備を配置、壁は木目調にして患者さんにリラックスしてもらえるように工夫しました。手術室へとつながる通路には大きな窓があり公園の緑が見えるように設計されています。手術前の緊張が少しでもほぐれると良いかと思っています。
内科と眼科、その他スタッフも協力してシームレスな医療を提供しているのですね。
【享子理事長】通院、入院、リハビリなどを一つの医院でストレスなく連続して受けられるシームレス、すなわちつなぎ目がない医療を実現するために職員一丸となって尽力しています。看護師、医療事務はもとより、診療放射線技師、臨床検査技師、介護福祉士、医療相談員、ケアマネジャー、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士、管理栄養士、薬剤師など専門性が高い多様なスタッフがいるからこそ実現できる医療です。地域の医療機関ともシームレスな関係をめざし、25年以上勤務している医療相談員は地域の医療機関との窓口になっています。
【朗院長】眼科もシームレスな医療を目標とし、往診に力を入れています。入院手術と往診をセットにした手術診療にも取り組んでいます。通院が困難なためにこれまで白内障手術を受けることをためらっていた方にも「術後に通院でなく往診してもらえるなら」と手術を受けるきっかけになるとうれしいですね。
個々に合わせた多彩なリハビリテーションが可能
リハビリにも力を入れている理由をお聞かせください。
【享子理事長】体は動かさずにいると、どんどん身体機能が落ちていくため、生活に支障を伴う病気になる前に予防することが大切だと考えています。当院では骨折やケガ予防のためのリハビリや、入院患者さんに対し栄養管理と合わせて筋肉をつけていくリハビリ、また嚥下困難に対するリハビリにも対応しています。退院・退所後の日常生活に不安がある場合は訪問リハビリで支援もしています。
【朗院長】当院では、失明した方の身体リハビリにも対応できるよう研鑽を積んだ理学療法士が在籍しています。また、目が見えにくい人の生活の質を向上させるための視覚リハビリを行っています。手術や治療を尽くしても残念ながら視機能が悪化してしまう患者さんもおられますが、適切な視覚リハビリを行うことで、それまで難しかったことができるようになる場合もあります。視覚リハビリの充実は手術に携わる眼科医としての使命だと思っています。
お二人が診療するにあたって大事にしていることをお聞かせください。
【享子理事長】患者さんは、それぞれの生き方、環境、状況の中で病気と向き合っていますよね。患者さんやご家族の希望も伺い、よく話し合いながらサポートしていくのを大切にしています。患者さん一人ひとりを尊重し、その命を大切にしていきたいです。
【朗院長】絵を描いたり図を用いながら、病気や治療への理解を深めてもらえるよう丁寧に説明することです。手術の際には声かけを大事にしていますね。患者さんから「痛い」と言われた経験がある操作をする前には「この後、痛みを感じるかもしれませんよ」と伝えます。そうすることで、患者さんは心の準備ができますよね。日々、患者さんからいただく言葉が教科書です。
なぜ、そのような診療ポリシーを持つにようになったのでしょうか。
【享子理事長】人間が好きだから、かもしれません。医師になったきっかけも、父が医師だったからだけでなく、小さい時から生き物に興味があったからです。だから、仕事するなら何か勘定したりするのでなく、命に関わりたいと思ったのです。
【朗院長】近隣の患者さんたち一人ひとりに丁寧に接していた眼科開業医だった父の姿に影響を受けていると思います。父の仕事ぶりを尊敬していますし誇りに思っています。
かかりつけ医として内科、眼科ともにさらなる成長を
今後はどのような医療に力を入れていきたいですか?
【享子理事長】「よく見える、よく食べられる、よく動ける」のコンセプトの医療をもっと知っていただき、地域の皆さまに貢献できたらと思います。西洋医学だけでなく、分子栄養学を学んだ管理栄養士による栄養面からのサポートや、漢方や鍼灸など東洋医学も駆使して、患者さんがもっと元気で健やかに過ごせるようなお手伝いができたらと思っています。
【朗院長】眼科医としては手が動く限りはライフワークとして手術に取り組んでいきたいです。傷が小さく炎症が少ない低侵襲性手術のスキルもますます磨いていきたいと思っています。病院全体としてはシームレスな医療の提供にますます尽力していきたいですね。
お互いについて一言いただけますか?
【享子理事長】もし、夫ではなかったとしても人間としても医師としても尊敬しかありません。田口家の家風でもある丁寧さと学識高さは見習うところばかりです。
【朗院長】私は大学院や留学先で研究していた時間も長く、享子理事長のほうが救急の現場も含めて臨床経験が豊富です。患者さんの話を遮ったり否定したりせずに最後まで聞く姿など、学ぶところばかりです。また、やっと週末婚ではなくなり、享子理事長の手料理を食べられるようになって、それは確実に元気のもとになっていますね。おかげで忙しい毎日も乗りきれています。
【享子理事長】料理好きの母の影響で、私も料理が趣味になりました。食事は「人を良くする事」と書きますよね。父の命を最後まで支えたのも母の手料理でした。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
【享子理事長】ちょっと風邪気味の方から人生の終末期まで幅広く対応しています。その人の人生にとって私たちの医療がほんの一コマに過ぎないにしても、かかりつけ医として誠実に対応していき、それが少しでもお役に立てたら医者冥利に尽きます。
【朗先生】眼科では年齢や症状を問わず、目に関するさまざまなお悩みを相談していただければと思っています。もし、当院での治療が難しければそれぞれの疾患を専門としている医師を紹介することも可能なので、気軽に足を運んでください。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/3万7400円~