細谷 眞澄 院長の独自取材記事
安井医院
(豊島区/駒込駅)
最終更新日:2025/10/03
JR山手線・駒込駅から徒歩約2分、閑静な住宅街の中に「安井医院」はある。細谷眞澄院長は3代目にあたり、長きにわたって地域住民の悩みに対して真摯に向き合ってきた。東京内科医会の活動や認知症サポート医として認知症の診療や家族からの相談にも親身に対応する。現在は週2日、4代目の細谷龍作先生も診療を行う。以前ダイビングが趣味だったという眞澄院長。院内には海水魚の水槽があり、患者から贈られたという美しい色彩の魚の絵などが飾られている。眞澄院長は明るくはきはきとした軽快な語り口で「最後まで責任を持って診るのがかかりつけ医の務め」と話し、その言葉の端々に地域住民への愛をにじませる。そんな眞澄院長に、同院が行っている地域密着の診療や、同院のこれまでとこれからについて話を聞いた。
(取材日2018年5月30日/再取材日2025年6月25日)
地域のかかりつけ医として幅広い症状に対応
認知症サポートに積極的に取り組まれています。

ご高齢になると認知能力は衰えてきます。これは自然なことなのですがケアは必要。私たちは「認知症初期集中支援チーム」に参加しており、ケアマネジャーさんらコメディカルの方々と連携しながら認知症の方やご家族をサポートしています。具体的には、「1人で薬が飲めなくなった」「家族とのトラブルが増えた」などの症状があり、初期の認知症が疑われる人や家族の人の相談に乗り、時間をかけて経過を診るというものです。認知症は徐々に進行する疾患ですが、適切な薬を飲んだり、周囲の人とうまくコミュニケーションを取ったりすることでその進行を遅らせることが見込めます。そのためには早期からのサポートが重要なのです。
ご高齢で認知症の患者さんは多いのですね。
ご家族の中には、親が認知症になったことを受け入れられずに、なかなか助けを求められない方もいるのですが、早めに相談していただければより適切なサポートを提供することができます。家族の負担を減らすために、デイサービスなどを紹介することもできますから、ストレスを抱えすぎてしまう前にぜひ声をかけていただきたいです。多くの方が住み慣れた家でできるだけ長く暮らしたいと希望していると思いますので、それを可能な限り支えて差し上げたいと思います。
小児科も診療されておられます。

当院は午後の診療のスタートが17時なんです。一般的なクリニックさんよりも遅いので、保育園にお迎えに行ってから来院されても比較的余裕を持って来ていただけると思います。また小さいお子さんがいらっしゃると、親御さんは一緒に病気をもらいがち。親子で一緒に診察が受けられるので、そういった意味でも便利に使っていただけると思います。私は近隣の保育園の嘱託医、小学校の学校医などもさせていただいています。顔なじみとまでいかなくても、お会いしたことのあるお子さんなども多いでしょうから、安心して診察を受けていただけるのではないでしょうか。
丁寧な対話でより良い医療を提供
どんな症状を訴える人が多いですか?

一般内科の診療に加えて、不眠、食欲不振といった不定愁訴、お子さんの発達障害に関する相談も多いですね。昔から近隣の皆さんには「何かあったら安井医院に聞いてみよう」と思っていただけているようで、みなさん、まずはかかりつけにしている当院で聞いてみようと思ってくださっているようです。ご相談内容に応じ、適切な医療機関へご紹介などもしていますから、医療の入り口としてご活用ください。以前は更年期など女性特有の相談を専門的に受けつける外来を設け、たくさんの方にご利用をいただいてきました。今は固定の受診日は設けずご予約でその都度受けつけています。お子さんの発達障害については、私は専門の医師ではないのですが、東京大学医学部附属病院で心の発達の臨床について学んでおり、必要があれば適切な専門機関を紹介することも可能です。悩んでおられるお母さんに寄り添って、適切なアドバイスをさせていただければと思っています。
日々の診療で大切にしておられることはありますか?
最も大切にしているのは、患者さんの話をよく聞くということ。血液検査の結果など数値だけを見ていても、その人に合った治療を見極めるのはなかなか難しいものです。より良い治療に結びつくヒントは患者さんの言葉の中に隠れていると思っていますので、診察中は患者さんが何を訴えておられるのかを丁寧に聞くことにしています。また人の人生には流れがあるので、医療に関しても同じ人間がずっと寄り添って診続けるのが理想だと思っています。「この人は以前あの病気にかかっていたから、今回の症状も何か関係があるのでは」ということに気づけるのは、長年診ているかかりつけ医ならではのことでしょう。もし患者さんの家での様子を知りたくなったら「息子さんに聞けばわかるかな」といったふうに、患者さんの情報を増やす手段を思いつけるのも地域に根差したかかりつけ医の強み。自分がずっと診てきた患者さんは最後まで責任を持って診たいと思っています。
今後は在宅医療にも注力されるそうですね。

祖父、父、私と3代にわたって診察させていただいている患者さんご家族も多く、徐々に外出が困難になる患者さんが増えてきたこともあり、在宅医療にも力を入れるようになりました。診察の際は患者さんご本人はもちろんですが、ご家族や介護などお世話される方にも寄り添うことを大切にしています。ご高齢の方がご自宅で過ごされるには、ご家族などの援助がなければ成り立ちません。そしてそれは24時間365日のこと。患者さんもご家族もお互いに感謝の気持ちを持って協力し合うことが必要だと思います。より暮らしやすいようなアドバイスや、互いのお気持ちをさりげなくお伝えしたりして、みなさんが気持ちよく暮らせるようアプローチできたらと思っています。息子の龍作先生は現在、在宅医療を専門的に行う医療機関で修行中ですから、今後はさらに発展させていけると思います。
医師3代にわたり地域に根づいたクリニック
細谷院長で3代目、4代目も診察を開始されたそうですね。

当院は私の祖父の代からこの駒込で地域医療に携わってきました。私は1995年に父から医院を受け継き、早いものでもう30年になります。この辺りは環境がいいので代々にわたって長く住んでいる方々も多く、患者さんも地元のおなじみの方がたくさん来院してくださっています。私も長く診ているものですから、最近では小さい頃に来てくれた子が結婚して子どもができて、お子さんと来院してくれたり、初々しい高校生だった男の子が立派なおじさんになって20年ぶりに来てくれたり、診察以外の話がついつい弾んだりしてしまいます。また駒込駅からも近く比較的遅くまで診療していますから、会社が終わってから来られる方や、近くの新しいマンションに引っ越してこられた方の受診も増えました。
4代目の龍作先生はどんな方ですか?
週に2日、外来を担当しています。呼吸器内科を専門的に学んできました。今は在宅診療を専門的に行っている他のクリニックで修行中でもあります。とてもまじめで真摯に患者さんと向きあう姿は、私から見ても信頼できるお医者さんという感じです。新型コロナウイルス感染症の流行で注目された呼吸器内科という分野についての知識をたくさん持っているので、とても助かっています。私が教えてもらうことも多いんです。また緩和ケア、痛みの管理の経験も豊富で、今後在宅で終末期医療やお看取りのことまで考えたとき、お役に立てる部分も大きいのではないかと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

地域の皆さんには、できるだけ長く健康でいてほしいと思っています。気になることがあれば早めにかかりつけ医に相談してください。医師は皆その人のことを思って診療しているので、気後れすることなく言いたいことははっきり言っていただくのが一番。患者さんにとって幸せな人生を全うするお手伝いができればと考えています。当院はアットホームな医院ですが、長年かけて築いた地域の総合病院や大学病院とのネットワークもありますので、お悩みのことがあれば相談をするだけでも気軽にお越しください。

