女性に多い更年期障害
自己判断せずに、治療や対策は医師に相談を
桜ウィメンズクリニック
(目黒区/学芸大学駅)
最終更新日:2024/12/13
- 保険診療
仕事や子育て、介護など、さまざまなストレスを抱えやすい更年期世代。体調不良や精神的なイライラなどが続いても、受診せずに「更年期だから仕方ない」と勝手に判断してしまっている人もいるのではないだろうか。しかし、「ご本人が更年期障害だと思っていても、医師がそう判断するのは半数以下です」と話すのは、「桜ウィメンズクリニック」の布田孝代院長。更年期障害と似た症状を持つ疾患も多いため、医師による診断が大切なのだとか。「患者さんが後悔のない豊かな人生を送ることができるように、しっかり寄り添っていきたいですね」と穏やかに話す布田院長に、更年期障害について詳しく教えてもらった。
(取材日2024年11月14日)
目次
気になる症状があれば、女性スタッフによる女性のためのクリニックへ
- Qそもそも更年期障害とはどのようなものでしょうか?
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A
インターネット上では更年期障害の情報があふれていますが、正しい情報の見極めが必要です。更年期とは、最終的に生理が1年間来なくなったところで最後の生理を閉経と定義し、その前後5年間のこと。この時期はホルモンの変動が極端になりやすく、ホルモン中枢の視床下部が対応できずに自律神経の不調を引き起こします。もちろん何事もなく過ぎ去る方もいますし、個人差があるもの。典型的な症状はのぼせやホットフラッシュ、発汗、だるさ、手のこわばり、関節の痛みなど。気分の落ち込みやイライラ感といった精神的な症状が出る方もいます。これらの症状に悩む患者さんは多いですが、実際に更年期障害と診断される方は半数以下と考えられます。
- Q更年期障害と勘違いされやすい症状を教えてください。
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A
まず第一に甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症など、甲状腺ホルモンの異常です。特に甲状腺機能亢進症は女性に多く、ホットフラッシュや発汗、動悸、不眠症、生理不順といった更年期障害に似た症状が出ます。生理前の体調不良やイライラ感などのPMS(月経前症候群)や、生理不順や不正出血なども勘違いされがちです。特に30代の方は若年性更年期障害が心配かもしれませんが、関係がないことがほとんど。無排卵の状態を長くすると子宮体がんのリスクも高まるため、自分で決めつけずに受診してください。なお、閉経の年齢には個人差があり、40代後半や50歳前後でも閉経の兆候がない場合もあります。年齢で線引きしないことも大切です。
- Qほかにも、更年期障害と似た症状はありますか?
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A
生理の出血を繰り返すことで進行する貧血・鉄分不足は、倦怠感や息切れ、動悸、朝の眠気、精神的な不安定などの更年期症状と似た症状を引き起こします。また、更年期世代は仕事や子育て、介護など、さまざまなストレスを受けている方も少なくありません。体と心の症状が強く、日常生活が難しい場合は、うつ病や適応障害と診断されます。そのほか、短時間睡眠もだるさや集中力の低下、物忘れなど、慢性的に身体能力や脳の機能を低下させますし、熱中症の倦怠感や頭痛、多汗などの症状から更年期障害を疑う方もいるようです。そのほか、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などの耳鼻科系のめまいから更年期障害を心配される方もいます。
- Qこれらの症状と更年期障害はどのように見分けるのでしょうか?
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A
まずは血液検査で卵胞刺激ホルモンの量を測定し、閉経に向けてホルモン変化が起こっているかを調べます。その上で、例えば、頭痛があれば脳の検査、動悸が強ければ心臓の検査といったように、よく似た症状の別の疾患の可能性を検査します。手のこわばりや関節痛があればリウマチかもしれませんし、視力の低下などがあれば眼科の検査も必要ですよね。このように他の疾患の可能性を排除していく除外診断を行った結果、他の疾患の可能性がなければ更年期障害と診断されます。
- Qどのように対策するべきでしょうか?
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A
更年期障害に関して、最近は間違った情報に振り回されてしまう方も多いようです。インターネット上では、まれな症状や重篤な症状がよくある更年期障害として紹介されていることもありますし、知り合いの言葉をうのみにしてしまう方もいるかもしれません。しかし、何より重要なのは、正しい情報を得ること。例えば「更年期は体を冷やしすぎるのは良くない」と思い込んで、暑い夏でも温かいお湯を飲み続けると、熱中症につながることもあり得ます。何か体調に異変を感じたり、症状が出始めたりしたら、自分で判断することなく、まずは受診するようにしましょう。