布田 孝代 院長の独自取材記事
桜ウィメンズクリニック
(目黒区/学芸大学駅)
最終更新日:2024/09/10
学芸大学駅から徒歩2分。にぎやかな駅前商店街にほど近い「桜ウィメンズクリニック」は、女性スタッフによる女性のためのクリニックだ。桜模様のすりガラス、やわらかな白で統一された院内は落ち着いた雰囲気で、診療前の緊張や不安が和らぐ。布田孝代院長は、「丁寧な問診を大切にし、薬を処方して症状を抑えることを図るだけでなく、病気の原因そのものを解消する医療をめざしています」という。乳腺外科にも力を入れ、週に4~5日、乳腺外科の医師が対応し、マンモグラフィ検査や乳房超音波検査、乳腺細胞検査などを院内で行う。穏やかな物腰と優しい語り口が印象的な布田院長は、「婦人科に行くのはハードルが高い」というイメージを払拭してくれる。
(取材日2024年8月5日)
女性スタッフによる女性のためのクリニック
「女性スタッフによる女性のためのクリニック」ということで、院内全体が落ち着きくつろげる雰囲気です。
ありがとうございます。婦人科というと、どうしても足を運びにくい、ハードルが高いと感じる方も多くいらっしゃいます。当院は、医師もスタッフも含め全員女性で、患者さんにできるだけリラックスいただけるような雰囲気づくりを心がけています。婦人科に訪れる患者さんは、何かしら悩みや不安を抱えていらっしゃいます。こちらからの何げない一言で傷ついてしまうこともありますので、患者さん一人ひとりをしっかり受け止めることができるよう、それぞれの方に必要な配慮を施しながら診療しています。患者さんからの電話応対も、受け手であるスタッフが笑顔で受け答えをすると、こちらの誠意が患者さんにも伝わると思うんですよね。些細なことでも気軽に相談いただける地域のクリニックとして、ホスピタリティーを大切にしています。
こちらではどのような治療を受けられるのでしょうか。
婦人科、乳腺外科、内科を掲げ、患者さんのお悩みをトータルで診ることができます。乳腺外科は、現在は週に4日もしくは5日、乳腺外科の女性医師3人が担当し、各種検査を行っています。現状として、「婦人科と乳腺外科は別」のクリニックが多く、患者さんにとっては不便ですよね。ですから、クリニックを開業する時から、婦人科と乳腺外科は併設にしたいと思っていました。「婦人科の相談のついでに乳腺外科も受診できるので助かります」と感じていただけていたらうれしいです。内科は毎週金曜日に専門の女性医師が担当しています。患者さんの症状によっては、婦人科と内科で連携を取りながら診療することもできます。
乳腺外科ではどのような検査を受けることができるのでしょうか。検査に来られる患者さんの層は?
触診、マンモグラフィ検査、乳房超音波検査、乳腺細胞検査などを院内で行っています。検査結果の読影は2人の医師で行い、ダブルチェック体制で詳しく診査しています。マンモグラフィは「痛い」というイメージを持たれがちですが、最近導入したデジタル機器を使えば、以前より痛みに配慮した上で、スピーディーに検査ができるようになりました。臨床検査技師も、患者さんにその都度声をかけながら、痛みや不安感を極力和らげられるよう対応しますので、安心して受けていただきたいですね。当院には自治体の乳がん検診で受診される方が多いです。日本では、乳がんは女性がかかるがんの1位です。「友人が治療中なので、自分も心配になって受けに来ました」という理由からでも大丈夫です。皆さん最初は緊張すると思いますが、定期的に検査に通っていただけると一人の医師としてうれしく思います。
問診を丁寧に行い症状の原因を探る
乳がんにかかる女性が増えているそうですね。
乳がんは、女性がかかるがんの1位ですが、他のがんと比較すると、比較的予後が良い方向に導くことが見込める疾患だといわれています。乳がんにかかる人は、30代後半から増え始め、40代を過ぎるとぐんと多くなりますが、20代後半、30代前半でかかる方もいらっしゃいます。ある程度の年齢になったら、まずは超音波検査だけでも受けていだたくのも良いと思います。当院では、検査に加え、乳がんと診断された方の治療後のケアにも対応しています。乳がん治療病院と連携を取り、お薬を処方したり体調管理のサポートを行ったりしています。専門のドクターの常駐とスピーディーできめ細かな検査体制は当院の強みですし、何よりも患者さんの安心につながると思います。
診療の際に心がけていることを教えてください。
問診を丁寧に行い、患者さんが気になる症状だけでなく、普段の暮らしのことやお仕事のことなどについてじっくり伺うようにしています。日本の女性は、仕事、育児、家事と一人で何役もこなしながらも、皆さん真面目で周りの手を借りずに頑張ろうとしてしまう傾向があるように感じます。それが、気がつかないうちにストレスになり、生理不順などを引き起こすことにつながります。薬を処方して症状を抑えるよう図るだけでなく、患者さん全体を診てその原因を探り、解消する医療をめざしています。女性同士なので、ご家族のことやお仕事について踏み込んだ話をしやすいと思っていただけていたらうれしいですね。
婦人科では、更年期の悩みを相談もできるのでしょうか。
更年期の悩みにも対応しています。最近は、インターネットなどで更年期障害についてのさまざままな情報を入手できます。それにより、不安感を募らせている方もいらっしゃいますし、更年期世代よりも手前の方も「更年期障害は非常に恐ろしいものだ」というイメージを持たれている印象です。体調不良があるとなんでも更年期障害に結びつけてしまい、適切な答えにたどりつけなくなる原因の一つになる可能性もあります。例えば、子宮筋腫や子宮内膜症などにより生理の出血量が増えて鉄分不足になり、貧血の症状が表れることがあります。「最近フラフラする」「朝起きられない」といった貧血の症状を「更年期障害かもしれない」と勘違いされる方も多いのではないでしょうか。「更年期障害かもしれない」と思ってもそこで決めつけず、検査を受けていただくことが、患者さんの安心につながると思います。
「この症状は更年期障害」と決めつけないで
更年期障害の症状と良く似た症状が出る疾患には、他にどんなものがありますか?
更年期障害と思われて医療機関を受診される方の中には、橋本病に代表される甲状腺機能低下症など甲状腺疾患と診断されることがあります。甲状腺疾患は、冷え、むくみ、無気力感など更年期障害の症状と似ているのですが、こちらは血液検査で診断につながります。また、夏の暑い時期は、倦怠感や頭痛、多汗などから更年期障害を疑われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、「更年期世代は冷たい飲料で体を冷やしすぎるのは良くない」と思い込んで、暑い夏でも温かいお湯を飲み続け、結果的に熱中症の発症につながる可能性も考えられます。近年、閉経の年齢に個人差が出てきて、40代前半で閉経される方もいれば、60歳近くまで生理がある方もいます。加齢に伴う女性の体の変化はその人により異なりますので、「周りの知り合いがそう言っているから」「インターネットに書いてあるから」と決めつけず、私たちに何でも相談いただきたいですね。
お忙しい日々の中、休日はどのようにお過ごしですか?
自宅でゆっくりしながらテレビを見たりして過ごすことが多いですね。ずっと生け花を習っていてお免状も持っているのですが、お花を生けたり展覧会を見に行ったりしています。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
これからも、地域にお住まいの女性に安心して通っていただけるクリニックであり続けられるよう、スタッフ全員で皆さんのお悩みや不安に寄り添っていきたいと思います。ストレスを感じやすい現代社会においては、24時間をどのように過ごすかが、心身の状態に大きな影響を与えると思います。「頑張る時間が続いたら、意識して休む時間をつくる」などメリハリがないと、いつも時間に追い立てられ、自律神経の乱れにつながってしまいます。人生は長く、毎日が同じではありません。「一日一日をどう過ごすか、どう生きるか」について考えながら、24時間を意識的に過ごすことで、より豊かな人生を送れると思います。そのためのお手伝いをさせていただきたいと思います。