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生理的な症状に思わぬ疾患が潜む
飛蚊症と網膜剥離

溜池眼科医院

(港区/溜池山王駅)

最終更新日:2024/02/26

溜池眼科医院 生理的な症状に思わぬ疾患が潜む  飛蚊症と網膜剥離 溜池眼科医院 生理的な症状に思わぬ疾患が潜む  飛蚊症と網膜剥離
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目の前に小さな虫や糸くずが飛んでいるように見える「飛蚊症」。加齢によって誰にでも起こり得る症状の一方、網膜剥離など失明にもつながる重大な疾患によって引き起こされるケースも多く、その数が急に増えたり、頻繁に見え出したりした時には特に注意が必要だ。飛蚊症のメカニズムと検査方法、網膜剥離の場合の治療法などについて、網膜剥離のレーザー治療も手がける「溜池眼科医院」の鹿内真美子院長に聞いた。

(取材日2023年10月19日)

病的な変化を伴っていれば失明の危険も。精密眼底検査で早期に見極めを

Q飛蚊症とはどのような病気ですか?
A
溜池眼科医院 負担の少ない治療や、わかりやすい説明を心がけている

▲負担の少ない治療や、わかりやすい説明を心がけている

目の前に蚊やごみのような物が飛んで見えたり、雲のような物が浮いて見えたりすることがあり、視線を動かすと一緒に移動し、まばたきをしても消えません。これが「飛蚊症」です。飛蚊症は、眼球の大部分を占める「硝子体」に濁りが生じたために起こります。私たちが物を見ることができるのは、眼球の「角膜」や「水晶体」を通って外から入ってきた光が、硝子体を通過して「網膜」に届き、その光が電気信号に変換されて「視神経」を経て脳に伝わるからです。硝子体はゼリー状の透明な物質で満たされていますが、透明なはずの硝子体に何らかの原因で濁りができると、その影が網膜に映り、目の前に見えるようになります。

Q硝子体に濁りができる原因を教えてください。
A
溜池眼科医院 院長は日本眼科学会眼科専門医であり幅広い治療分野に対応

▲院長は日本眼科学会眼科専門医であり幅広い治療分野に対応

近視の人は飛蚊症の症状が早く出ると言われていて、中には20代で症状を自覚し、受診する方もいらっしゃいます。近視は遺伝的な要因もありますが、近年はパソコンやスマートフォンの普及によって、より近視が進むような生活スタイルが定着していますから、網膜剥離などによる病的なケースも念頭に、飛蚊症が気になりだしたら早めに眼科専門医のもとで検査を受けられることをお勧めします。生理的な原因による飛蚊症は病気ではなく、治療の必要もありません。一方で、網膜剥離など重大な病気の初期症状として飛蚊症が現れることもあり、放置すると失明の恐れもあるため注意が必要です。

Q検査はどのように行うのでしょうか?
A
溜池眼科医院 飛蚊症の症状を感じたら早めに眼科受診を

▲飛蚊症の症状を感じたら早めに眼科受診を

飛蚊症は網膜剥離のほか、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、加齢黄斑変性などの疾患を含んでいる可能性がありますが、生理的な飛蚊症か病的なものなのかは、精密眼底検査を行わなくては判断できません。精密眼底検査は瞳孔を広げるために目薬を用い、網膜の端から端までを医師が顕微鏡でくまなく調べます。瞳孔が開いて網膜の端まで見える状態をめざすには、点眼してから30分程度を要します。人間ドックで撮影する眼底写真では網膜の中央部しか撮ることができないため、発見できないことも多いです。ですから、飛蚊症の症状が気になり始めたら、一度眼科で検査を受け、失明につながるような深刻な疾患が隠れていないか見極めてもらうことが大切です。

Q網膜剥離の場合、どのような治療法がありますか?
A
溜池眼科医院 症状が悪化する前に治療を受けることが重要

▲症状が悪化する前に治療を受けることが重要

剥離が広範囲に及ぶ場合は入院を伴う手術になりますが、範囲が狭ければ日帰りのレーザー治療を行います。レーザーの処置自体は10~15分で終わり、処置後に眼帯をする必要もありません。網膜剥離は飛行機に乗った際の気圧の影響でも悪化してしまうため、出張や旅行など飛行機で移動する予定がある方は、事前にレーザー治療を行っておくと良いと思います。もし、飛蚊症で受診され、検査で網膜の一部に網膜剥離になりやすい箇所があることを指摘されていたにもかかわらず受診せずにいると、症状が悪化し、手術を余儀なくされる恐れもあります。定期的な受診はそうした重症化を防ぐことにもつながります。

Q網膜剥離の治療をすれば、飛蚊症も改善しますか?
A
溜池眼科医院 早期発見、治療に積極的に取り組んでいる

▲早期発見、治療に積極的に取り組んでいる

治療により病的な原因を取り除けば、浮遊物が見える頻度の減少は期待できますが、網膜剥離の治療目的は失明の予防であり、飛蚊症の見え方の改善には限度があります。現在は飛蚊症を改善する薬剤はなく、硝子体の濁りの除去をめざす「網膜硝子体手術」が選択肢となります。しかし、生理的な飛蚊症は病気ではないので手術はお勧めしませんし、比較的大がかりな手術ですから、通常は手術まで行うことはありません。飛蚊症の出始めは気になると思いますが、病的なものでなければ時間の経過とともに視界の端にずれていくので、あまり気にならなくなります。精密検査の結果、生理的な飛蚊症と診断された場合はあまり気にせず日常生活を続けましょう。

ドクターからのメッセージ

鹿内 真美子院長

近視の人は飛蚊症の症状が早く出る傾向があり、中には20代で症状を自覚し、受診する方もおられます。近視は遺伝的な要因もありますが、長時間のパソコン・スマホ使用などにより近視が進みやすい生活スタイルが定着していますから、網膜剥離などによる病的なケースも念頭に、症状が出始めたら早めに眼科で検査を受けていただきたいですね。また、飛蚊症は、年齢とともに目の中の組織が変化していることを知らせるサインでもあります。個人差はありますが誰もが経験するものですから、神経質になり過ぎる必要はありません。これまで以上に目の健康を意識する機会と捉え、定期的な眼科受診につなげていただければと思います。

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