下倉 和修 院長の独自取材記事
柴又内科循環器内科
(葛飾区/新柴又駅)
最終更新日:2026/06/11
新柴又駅から徒歩1分、住宅街に溶け込む低層マンションの1階に「柴又内科循環器内科」はある。2026年5月、長年地域に親しまれた「鈴木医院」を継承し、内科・循環器内科として新たに開院した。院長の下倉和修先生は、大学病院などで心臓カテーテル治療や重症心不全の管理にも携わってきた日本循環器学会循環器専門医であり、日本内科学会総合内科専門医でもある。開院にあたりAI搭載の高性能エコーを導入し、病院に近いスピード感で心臓の評価ができる体制を整えた。「患者さんの本心を聞き出す努力をしたい」と穏やかに語る下倉先生は、初対面でも自然と話しやすく、優しさの中に確かな頼もしさを感じさせる。継承の経緯やクリニックの強み、診療への思いを聞いた。
(取材日2026年5月18日)
大学病院で研鑽を積んだ循環器専門医が医院を引き継ぐ
まずは開院の経緯について伺います。

2026年5月に「鈴木医院」を継承し、「柴又内科循環器内科」として新たにスタートしました。もともと金町のクリニックで約15年間、在宅医療に携わっており、そこで鈴木医院の鈴木克行理事長と知り合ったのがきっかけです。それまで東京女子医科大学の付属病院や彩の国東大宮メディカルセンターで心臓カテーテル治療を中心に臨床経験を積んできましたが、今後のキャリアを見つめ直す中で、鈴木先生の引退に伴う継承のお話をいただきました。鈴木先生が長年培ってこられた地域の診療や漢方の知見を尊重しながら引き継ぎ、循環器専門医としてできることを加えていきたいと考えています。既存の患者さんの通院や検査頻度はこれまでどおり維持しつつ、この地域に不足している循環器の専門的な診療を、自分が担っていければと思っています。
循環器がご専門とのことですが、どのようなご経験を積まれてきたのでしょう。
信州大学を卒業後、循環器内科を専門に研鑽を重ね、循環器専門医と総合内科専門医の資格を取得しました。東京女子医科大学附属第二病院では循環器内科に従事し、心臓カテーテル治療にも長く携わってきました。少し特殊な経験として、私の師匠が心臓移植に関わっていた関係で、移植後の患者さんの内科的管理や、補助人工心臓をつけるほどの重症心不全を診る機会にも恵まれました。通常の循環器内科ではなかなか経験できない重症度の高い患者さんを診てきたからこそ、大きな病院にすぐ紹介すべきか経過を見てよいかの見極めが身についたと感じています。自分で対応できることはしっかり行い、大きな病院に任せたほうが良いと判断した場合はすぐにご紹介する。その線引きを大事にしています。
クリニックの特徴や強みについて伺います。

当院には一般の診療とは完全に動線が分かれた発熱患者さんのための外来スペースがあり、一般患者さんと発熱患者さんが院内でまったく重ならない設計になっています。しっかり隔離できる十分なスペースを確保していますし、小さなお子さんを連れた親御さんにとっても、感染のリスクを気にせず受診できる環境かと思います。そしてもう一つ、当院の強みとして意識しているのは、気軽に受診してもらえるハードルの低さです。大きな病院のように心の準備をして行くのではなく、ふらっと立ち寄るような感覚で来ていただければと思っています。予約制ではありますが、当日のご予約や予約なしでも診療していますので、気になったときにすぐ相談していただける体制を整えています。
高性能エコーと丁寧な対話で心配に応える
開院にあたり設備面で力を入れた点はありますか?

高性能な心臓エコーを導入しました。AI搭載で計測を自動で行ってくれるため高精度で、心臓や血管の評価に適した鮮明な画像が得られます。当院の強みといえる機器です。患者さんにとっての大きなメリットは検査時間の短さで、従来20分ほどかかっていた検査が5分程度で終わります。診療の合間にすぐ検査ができるため、検査だけのために別日に予約を取っていただく必要もありません。病状によってはその日のうちに診断をつけて治療を始めることもできます。循環器の病気は早めに見つけて対応することが重要ですので、このスピード感は大きな意味があると感じています。このほか、ホルター心電計も導入し、病院に近い検査環境を整えています。
どのような症状があれば受診を検討すべきでしょうか。
循環器という言葉が何を指すのか、実はわかっていない方がほとんどだと思います。循環器とは、心臓や血管、血圧に関わる病気を診る分野です。そのため具体的には、動悸やドキドキする感じ、息切れ、胸の痛み、むくみなどの症状が気になるときにお越しください。受診の目安として大切にしていただきたいのは、症状の程度ではなく、ご自身が心配だと感じたかどうか。その心配を解消するのが私の仕事です。結果として「大丈夫でしたね」とお伝えするのも大事な役割だと考えています。また、健診で血圧や心電図の異常を指摘された方は、自覚症状がなくても受診していただきたいですね。何科に相談すればいいかわからないという方も、当院ならば、まずは内科診療で受け止めることができます。
患者さんと向き合う際に大切にされていることは?

診察では、患者さんが何を心配して来たのか、何を解決したいのか、その本心を聞き出すことを大切にしています。症状を診て「大丈夫ですよ」の一言で終わらせてしまうと、本当に聞きたかったことが解決されないまま帰られてしまうことがあるからです。勤務医時代、心臓は問題ないと言われたのに胸の痛みが残ったまま紹介されてくる患者さんを何人も診てきました。循環器内科医として心臓の疾患を否定するだけでなく、その痛みや不安そのものに向き合うことが大切だと痛感したのが、今の診療スタイルの原点です。会話の中でもすぐ否定せず、なぜ大丈夫なのかをわかりやすく説明すること。時には病気以外の話題も交えて距離を縮める工夫をしています。「こんなこと聞いていいのかな」と思わせない関係が理想ですね。
外来診療から訪問診療まで切れ目なくサポート
スタッフの皆さんについて教えてください。

現在は私のほかに看護師が2人、事務スタッフが2人という体制で診療にあたっています。事務スタッフの1人は以前から金町のクリニックで一緒に働いていましたし、看護師の1人は開院の半年前からこちらに入ってもらい、「鈴木医院」時代の患者さんの引き継ぎを担ってくれました。開院初日から「初めまして」ではない状態でスタートできたのは大きかったと思います。スタッフ同士の風通しも良く、連携もうまくいっていると感じています。以前から通ってくださっている患者さんにとっても、顔なじみのスタッフがいることは安心材料になっているのではないでしょうか。私だけでなく、スタッフも含めたクリニック全体のいい雰囲気を感じてもらえたらうれしいですね。
今後力を入れていきたいことは何ですか?
今後力を入れていきたいことの一つが訪問診療です。循環器専門医が訪問診療を行っているケースは実はあまり多くなく、循環器の病気があるというだけで訪問診療の対象から外されてしまうこともあると聞きます。ですので、当院では循環器専門医として、心不全で退院された方などを積極的に受け入れていきたいと考えています。外来に通えるうちは外来で、いよいよ通えなくなったら訪問診療へ、という一貫した流れをつくれるのは当院の強みです。訪問診療についても新規の方の受け入れを始めましたので、気になっている方もお気軽にご相談ください。また、鈴木先生の時代にこの場所で心臓の相談をされた患者さんは少ないかと思いますので、隠れた心臓疾患がないかにも目を配りたいですね。糖尿病などの生活習慣病にも、血管の病気を防ぐ観点から積極的に介入していく方針です。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

自分では解決できない不安を抱えている方にお伝えしたいのは、1回きりのご相談だけでもまったく構わないということです。一度受診したらずっと通院しなければいけないということはありませんので、まずは話をしに来ていただければと思います。以前から通ってくださっている方には、「鈴木医院」の診療をしっかり引き継ぎながら、循環器専門医・総合内科専門医としての視点を加えてまいりますので、引き続き安心して通っていただきたいです。新しくいらっしゃる方にも、まずはお話ししてみましょうとお伝えしたいですね。「このくらいの症状で行っていいのかな」とためらわなくて大丈夫です。不安を一人で抱えず、気軽に相談できるかかりつけ医として、皆さんのそばにいられたらと思っています。

