奥村 幸祐 院長の独自取材記事
おくむら こころからだクリニック
(福岡市中央区/大濠公園駅)
最終更新日:2026/06/12
「困っている人を助けたい」という想いのもと、生まれ育った福岡市で「心」と「体」に向き合うクリニックを開院した医師がいる。社会人を経て医師となったという、やわらかな笑顔の中にも揺るぎない強い信念が感じられる奥村幸祐先生だ。奥村先生が院長を務める「おくむら こころからだクリニック」は、専門分野のうつ病や睡眠障害、不安障害などの精神疾患と、脳血管障害、頭痛、てんかん、認知症、免疫疾患、神経変性疾患といった脳神経内科分野に加え、日本内科学会総合内科専門医の資格も生かした多角的なアプローチで心身ともに健康をめざす診療が強み。また、更年期症状や月経前症候群(PMS)などによるメンタルの不調にも対応している。「受診先に悩む時は気軽にご相談ください」とほほ笑む奥村院長に、診療内容を中心に聞いた。
(取材日2026年5月21日)
社会人を経て医学部を再受験し、医師の道へ
この辺りは親しみ深い土地だと伺いました。

はい、この辺りの小学校に通っていました。父も医師だったので、その頃から医師に漠然と憧れはありましたが、実際にどの職業に就きたいといった明確な夢は持たないまま高校、大学と進みました。大学生になってようやく「人の役に立つ仕事」について考えるようになったため、明確な目的を持って大学に進み、夢に向かって学ぶ他の同級生と比べると、自分はかなり幼かったなと思います。文系の大学に入ったので、その中で多くの方の役に立てる仕事を考え、電力会社に就職。窓口業務、営業、最終的には人事業務を任せてもらっていました。ただ、将来のことを考えると、企業で管理者として働くよりも、このまま現場で働きたい気持ちが強かったんです。仕事も任され、やりがいもあり、とても恵まれた環境でしたが、今後長く働く中で、自分の本当にやりたいことは何かと考えるようになり、直接人のために役立つ医師という職業に気持ちが動いてきました。
そして熊本大学医学部を再受験し、医師への道へと進まれたわけですね。
再受験は大変でしたが、粘り強く進もうと決意しました。卒業後は内科系の脳神経内科を専攻し、脳血管障害を中心にパーキンソン病、認知症、免疫疾患、頭痛など脳神経内科疾患の治療に従事し、中でも脳梗塞の治療に多く携わらせていただきました。症状が出た時に、どのようなメカニズムで起こっているのかを系統立てて考えて診察しなければ適切な診断と治療につながらないので、非常に難しくもありましたが、やりがいもある分野でした。脳神経内科は患者さんが診察室に一歩踏み入れた時から、表情、歩き方、手の振り方など全身を観察して、何かおかしな点はないか考え、精度の高い観察力が求められる診療科。特に脳血管障害は昼夜問わず緊急対応を求められることが多くハードな日々を過ごしていました。そんな中、私自身が潰瘍性大腸炎になり、休職を経験したことで違う分野にも目を向けるようになったんです。
そこから精神科・心療内科の分野でも研鑽を積むことになったのですね。

大牟田にある「不知火病院」という、うつ病治療に力を入れている病院にご縁があり、勤務をする機会を頂きました。認知症などは脳神経内科と精神科どちらでも治療する疾患ですが、同じ疾患でも心からアプローチするのか、身体的な面からアプロ―チするのかで病気の捉え方に大きな違いがあると感じました。また実際に診療を行う中で脳神経内科の経験が役立つことがとても多く、特に観察力を生かすことは常にしていました。そして、精神科・心療内科の領域でも研鑽を重ねていく中、精神保健指定医と日本精神神経学会精神科専門医の資格も取得。そのような経緯で心と体の両方向からの診療スタイルが確立していき、開院へと至りました。
「心」と「体」の両側面からアプローチする
診療内容について詳しく教えてください。

脳神経内科に関しては、慢性期の脳血管障害に関するフォロー、慢性頭痛、物忘れ、パーキンソン病などに対応しています。めまい、手足のつっぱり、ろれつが回らない、物が二重に見える、手足に力が入りにくい、手足が震える、ふらつきといった症状があればご相談ください。これまでの経験で得た見極める力を生かし、早急な検査や処置が必要な場合は適した施設へおつなぎします。また、精神科・心療内科については、うつ病、睡眠障害、不安障害、双極性感情障害、統合失調症などに対応しています。気分の落ち込み、やる気が出ない、眠れない、食欲の変化などが代表的な症状ですが、中でも眠れないというのは重要なサイン。また、症状に自分で気づいていない方もいらっしゃいます。そのため、ご家族や上司に受診を勧められて来院されるケースも少なくありません。
どのような年代の来院が多いですか?
男女問わずうつ症状で悩まれている就労者の来院が多いように感じます。職種関係なくストレスを抱えている方は多いです。ただ、特に休み明けなど「仕事に行きたくないな」と憂鬱になることは誰にでもあると思いますから、健康な人でも仕事に行きたくないと思うことはある意味正常と考えます。ただし、その「行きたくない」という気持ちとは少し違う苦しさやつらさがあると病気を疑う必要がありますので、いつもと何か違うなと思った時は重要なサインだと思ってください。また、やる気が出ない、眠れないなどの症状が伴っている場合は早急に受診を。そして高齢者の方は、精神科・心療内科と脳神経内科のどちらにも当てはまる症状も多く、他の疾患をお持ちの方もいらっしゃいますので、まずは診療科を気にせず一度ご相談いただければと思います。
高齢者のうつ病も多いそうですね。

はい、高齢者のうつ病の場合、実は認知症やパーキンソン病であることも少なくありません。うつ病とパーキンソン病が合併している場合などは、精神科、もしくは脳神経内科のみの領域では、気づくのが難しい場合も多いのですが、幸い2つの領域で研鑽を積ませていただきましたので、そこは当院の強みだと思っています。軽微な違い、例えば細かな手の震え、左右差、動き方など、似ていても症状が異なりますので、その気づきや観察力はこれまでの現場で得た経験があってこそだと自負しています。
困った時に立ち寄れる「よりどころ」のような存在に
どんな症状でも早めの受診が大切なのですね。

診療科問わず、何かおかしいなと思った時が受診のタイミング。特に脳梗塞など1秒でも早く処置するに越したことはありません。それは脳梗塞に限らず、どの疾患でも早期発見・早期治療が重要です。話は変わりますが、クリニックに来て話をすることで気持ちが楽になる方も多いんですよ。「こんな気持ちになるのは自分だけじゃないんだ」と知ることで、気持ちが落ち着くことは意外と多いんです。病気を未然に防ぐことにもつながりますので、こんなことで受診しても良いのかなと迷う時こそいらしてください。抱えきれなくなるまで我慢される方も多いのですが、その状態になると回復にも時間がかかってしまいますので頑張りすぎないのが大事。早めの受診が大切です。
診療において心がけていることはありますか?
標榜している診療科だけに捉われないことですね。例えば、更年期や月経前症候群(PMS)の症状は婦人科の領域ですが、メンタルの不調につながることも多いですし、それは他の疾患も同じと思います。漢方薬によるアプローチが適している方もいますので、西洋医学・東洋医学をうまく取り入れながら症状の改善をめざします。特に心がけているのは、患者さんが安心できる場所づくり。私は社会人を経て医師になりましたので、就労されている方のお気持ちにも寄り添えれば何よりです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

地域の方が困った時に気軽に足を運べる「よりどころ」のような存在になりたいです。診療しているのは精神科・心療内科、脳神経内科ですが、日本内科学会総合内科専門医の資格も持っていますので、幅広いお悩みに対応可能です。もちろんすべての症状を診ることはできませんが、適した施設へとおつなぎする窓口の役割も担えればと考えていますので、お気軽にご相談ください。お待たせすることなく、スムーズな診療を行えるよう、予約から精算までアプリで完結できるシステムも導入し、待ち時間などのストレス軽減にも注力しています。また、超高齢化社会となり社会的に「病院完結型医療」から「地域完結型医療」へとシフトする中、病気を治療することだけではなく、高齢の方が病気とうまく共存しながら安心して暮らしていくための環境づくりにも、しっかり取り組んでいきたいと考えています。

