動悸・疲れ・首の違和感は
甲状腺を専門とする医師に相談を
ひるま甲状腺クリニック 蒲田
(大田区/蒲田駅)
最終更新日:2025/07/09


- 保険診療
甲状腺ホルモンは、過剰になっても不足しても、体にさまざまな不調をもたらす。中でもホルモンが不足する「甲状腺機能低下症」は、つかれやすさ、気分の落ち込み、むくみ、寒がりといった、一見甲状腺とは結びつきにくい症状が現れやすく、診断がつきにくい。総合内科や精神科を転々とした末に、ようやく原因が甲状腺だったと気づくケースも少なくない。「ひるま甲状腺クリニック蒲田」の院長・蛭間重典は、そうしたちょっとした不調や違和感を抱える人にこそ、甲状腺の専門クリニックを受診してほしいと話す。甲状腺疾患に特有の「なんとなく不調」という訴えに対しても、豊富な経験と知識から丁寧に向き合う。奥深い甲状腺疾患の検査・治療や、お勧めのクリニックの選び方について、蛭間院長に教えてもらった。
(取材日2025年6月19日)
目次
ホルモン値の調整、さらに細胞診も可能な甲状腺の専門施術。発汗・動悸・首の腫れは甲状腺専門クリニックへ
- Q甲状腺とはどのような臓器ですか?
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A
▲専門性の高い経験豊富なベテランドクターが診療にあたる
甲状腺とはちょうちょう型の臓器で、喉仏から指2本分ほど下に位置します。腫れていなければ通常は外から確認することはできません。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは全身の代謝のバランスを司り、甲状腺機能亢進症などホルモン過剰になると、動悸や息切れ、手の震え、多汗、体重減少、イライラ感などの症状が現れます。逆に甲状腺機能低下症などホルモン不足では、意欲の低下や抑うつ、物忘れ、むくみなどが現れますが、こちらは甲状腺の問題だと気づきにくいかもしれませんね。ホルモン過剰でもと不足、共通するのは疲労感です。また病気によっては甲状腺が腫れてくるため、首の腫れや圧迫感、飲み込みづらさなどを感じたら要注意です。
- Qバセドウ病や橋本病についても教えてください。
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A
▲甲状腺疾患の豊富な知識を持つ蛭間院長
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になりやすい体質にバセドウ病、不足しやすい体質に橋本病があります。実際にホルモンが多いか少ないかはまた別問題ですから、「橋本病=低下症」などと決めつけずに慎重に診ていく必要があります。バセドウ病には、甲状腺腫大・頻脈・眼球突出といった3徴候がありますが、必ずしもすべての症状がそろって現れるとは限りません。お子さんの場合はこれらよりも多動や落ち着きのなさが目立ち、ADHDと誤解されてしまうことも。その他、低身長から甲状腺疾患を疑って病気が見つかることもありますね。逆にご高齢の方ですと、意欲や認知機能の低下に橋本病が潜んでいても、「加齢による症状」と見落とされがちです。
- Qバセドウ病や橋本病はどのように治療していくのですか?
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A
▲模型や図を用いて患者にわかりやすく説明
バセドウ病や橋本病は体質ですのでそのものの完治は難しく、甲状腺ホルモンを正常値に保つことが治療の目標となります。低下症に対してはホルモン剤を補充します。一方、ホルモン値が高い場合の選択肢は、飲み薬以外に放射線で甲状腺の萎縮を図る方法、甲状腺を取り出す手術などがあります。まずは飲み薬から始めることが多いですが、運が悪いと肝障害や免疫力低下、湿疹や血管炎などの副作用が出現してしまいます。副作用以外にも、お薬に対して抵抗性のある方は毎日10錠以上飲んでようやく症状が落ち着くことが望める場合も。そのため患者一人ひとりの様子を確認しながら、必要なタイミングで治療方法の切り替えを検討することが重要です。
- Q首のしこりの検査についても教えてください。
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A
▲痛みに配慮した検査を心がける
甲状腺のしこりは多くが良性ですが、中にはがんの可能性もあり、20歳代などの若い世代でも起こり得ます。エコー検査でしこりの性状のおおよそは確認できますが、しっかりと確認するためには細胞診検査をしなくては判断できません。ですが細胞診まで対応できる施設は都内でも数少ないのが現状です。当院でも、ほかの甲状腺クリニックからのご依頼で細胞診を行うことがあるのですが、首回りは出血による窒息のリスクがあるデリケートな部分ですから、当院での事前検査を受けていただいてから細胞診の予定を組むことになります。患者さまの負担を考えると、しこりで気になる場合は最初から細胞診が実施できる施設を受診いただくのがお勧めです。
- Q甲状腺の検査や治療には、高い専門性が必要とされるのですね。
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A
▲やわらかく温かみのある印象の院内
そのとおりです。首のしこりが甲状腺がんとは限りませんが、見極めのための細胞診はどこでも受けられるものではありません。甲状腺機能低下症の治療も、甲状腺の大きさや病態に合わせて一人ひとりに適切なホルモン値を設定しないと、思うような結果は得られないのです。私は今でも甲状腺専門病院として知られる表参道の伊藤病院に在籍しており、当院でも伊藤病院と同じ検査機器を導入しています。甲状腺ホルモンの測定は機器によって誤差が大きいので、検査機器の選定も重要なんですよ。甲状腺の手術が必要な際、患者ごとの病態や希望術式によってお勧めの病院や先生を紹介できるのも、今まで甲状腺分野に専従してきたからだと自負しています。