体に負担の少ない
下肢静脈瘤の日帰り手術
血管外科クリニック本厚木
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日:2024/08/09
- 保険診療
足の静脈弁が機能しなくなることが原因で、血液が停滞して発症する下肢静脈瘤。でこぼことした血管の膨らみが生じたり、足のだるさやむくみを感じたり、さらには、皮膚症状が進んで色素沈着を起こしたりすることもある。自然には治癒しないため、症状の改善には治療が必要だ。現在は「血管内焼灼術」や「血管内塞栓術」といった負担の少ない治療法が開発され、「血管外科クリニック本厚木」ではそのどちらにも対応。大きな皮膚潰瘍を伴っているような重症例での圧迫処置や創傷管理も、黒澤弘二院長の得意分野だ。今回は、同院で行う下肢静脈瘤の治療の流れについて話を聞いた。
(取材日2024年7月26日)
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q下肢静脈瘤とはどのような病気ですか?
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A
通常、血液は全身に行き渡った後に心臓に戻り循環しています。足も静脈弁という逆流を防ぐ弁のおかげで血液が心臓に戻ります。下肢静脈瘤は、この静脈弁が壊れてしまうことで起こります。立った時に血液が停滞し、そこに圧がかかって膨らんだ状態です。男性よりも女性に多く見られ、妊娠や出産で骨盤に圧力がかかり、発症や悪化の原因となることも。立ち仕事の方も発症しやすいといわれています。命に関わるものではないのですが、日本では1000万人以上が罹患しているという推計もあり、治療できると認識されておらず、放置されていることが多い病気です。また、一度下肢静脈瘤になってしまったら、治療をせずに自然に治ることはありません。
- Qどのような症状が現れますか?
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A
見た目にわかりやすいのは血管の膨らみで、足にミミズ腫れのようなでこぼこが生じます。皮膚症状が進むと色素沈着を起こしたり、かゆみが生じたり、皮膚潰瘍ができたりすることもありますね。そのほか、足のだるさやむくみ、また夜中に何度も足がつるこむら返りなどの症状でお悩みの方も多いです。下肢静脈瘤の治療というと、以前は静脈そのものを抜去するストリッピング手術が一般的でした。これは全身麻酔や腰椎麻酔により足に数ヵ所の切開が必要で、体への負担の大きいものですから、主に入院にて行われる手術でした。しかし、現在は、カテーテルを使った負担の少ない治療法が開発されており、当院でも日帰りにて行っております。
- Q治療方法について教えてください。
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A
当院では適切なサイズの弾性ストッキングの処方に加え、正しい履き方なども指導します。手術は、「血管内焼灼術」という高周波またはレーザーによるカテーテル治療、また医療用の接着剤を用いる「血管内塞栓術」にも対応。血管内焼灼術も血管内塞栓術も、アプローチは違えど原因となる血管を閉塞させるという目的は同じです。どちらもストリッピング手術よりも負担が少なく、ご高齢の方でも受けられる治療です。それぞれに特徴があり、例えば、血管内塞栓術は局所麻酔回数が少なく済むというメリットがある反面、使用する薬剤に対するアレルギーがあると使用できません。患者さんの症状や体質などを考慮しながら、適した治療法を提案しています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・視診
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まずは問診で、いつからどのような自覚症状があるか、生活習慣や仕事について、また普段飲んでいる薬やアレルギーについて確認。既往歴によっては手術が難しいこともある。視診では、患部を見て下肢静脈瘤の進行具合を確認する。
- 2エコー検査
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検査着に着替えてエコー検査に進む。エコー検査は、患部にゼリーを塗ってエコーの機器を当てることで、弁不全の有無、範囲、原因血管の状態などを確認する、体への負担が少ない検査だ。深部静脈血栓症が見つかった場合には、手術が適応外となるため、表面の静脈だけでなく、深部静脈の状態まで医師が慎重に検査を行う。
- 3そのほかの術前検査
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エコー検査のほか、血液検査を実施。患者の状態により、心電図検査を行うこともある。また足の血流が悪い場合には、手と足の血圧比を測定するABI検査を行うことも。各種検査の結果から手術が可能と判断されたら手術内容と手術日を決定。事前に手術に関する注意点などの説明がある。
- 4手術当日
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当日は麻酔を使用するため、車の運転は避ける。血管内焼灼術・血管内塞栓術ともに、手術時間は30分程度。術後に弾性ストッキングを着用し、手術後に休息が必要な場合には、リクライニングベッドで休むことも可能だ。弾性ストッキングを着用したままその日は帰宅する。
- 5術後
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必要に応じてリカバリールームで休息をとる。翌日に検査を受け、その後は1ヵ月後の検査で問題がなければ治療は終了。この間、弾性ストッキングは毎日着用する。潰瘍ができている場合は、術後の圧迫処置が重要であり、潰瘍が治癒するまで、外来通院にて治療を行う。