黒澤 弘二 院長の独自取材記事
血管外科クリニック本厚木
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日:2024/08/09
本厚木駅から徒歩1分の場所に、2024年7月に開業した「血管外科クリニック本厚木」。下肢静脈瘤やシャント手術など、専門的な血管外科診療を行うクリニックだ。黒澤弘二院長は、母校である東京慈恵会医科大学やその関連病院で、血管外科を中心に消化器・乳腺・呼吸器など、あらゆる外科手術を経験してきた。同院のもう一つの柱は美容外科だ。院長によると、血管外科と美容外科はどちらも「ミリ単位の技術」を必要とし、血管をつなぐような緻密な手技は、美容外科に生かされることも多いのだという。「優しい医療」をモットーに掲げ、患者やスタッフに対して「自分に何ができるか」を考え続けている黒澤院長に話を聞いた。
(取材日2024年7月26日)
血管外科も美容外科も、ミリ単位の技術を要する分野
先生のご経歴をお聞かせください。
東京慈恵会医科大学を卒業後、地元の茨城県の国立病院機構水戸医療センターで研修期間を過ごしました。「全身を診られる、患者さんの前で迷うことなく手が動く、技術力の高い外科の医師になりたい」という思いで研修先として選びました。そこは、県で3つしかない3次救急をやっている病院で、外科、心臓外科、麻酔科、救急、内視鏡、整形外科からターミナルケアまで修練し、技術と医師としての基本姿勢を身につけられました。その後は母校の医局に入り、血管外科を中心に、消化器・乳腺・呼吸器など、幅広い外科手術を経験。医局人事で客船の船医を務めたこともあるんですよ。船酔いや外傷、皮膚疾患、呼吸器の医療機器を持ち込まれている方への健康管理も担いました。米国ウィスコンシン大学マディソン校への留学、厚木市立病院の外科部長などを経て、グループ展開をしている美容外科のクリニックなど多様な現場で経験を積み、開業に至りました。
血管外科と美容外科、両者には関連性があるのでしょうか?
治療としての関連性は少ないですが、実は血管外科と美容外科は「ミリ単位の技術」という点で共通するものがあります。血管外科というのは緻密な手技の求められる分野で、ほんの少しの変化でその方の印象を変えることにつながる美容外科もまた、繊細な技術を要します。血管外科で培った技術が美容外科に生かされることも多いですね。血管外科で行うのはマイナスをゼロにするための治療、対して美容外科で行うのは主にゼロをプラスにするための医療です。そのような違いはあれど、「診療を受けた患者さんを笑顔にする」という点もまた両者に共通しています。
なぜ開業の道を選ばれたのですか?
自分の理想とする医療を実現したかったからです。当院のモットーは「優しい医療」。シンプルですが、医療の基本を考えるとやはりこれに行き着くと思うんです。患者さんは体だけでなく心にもダメージを負って受診されます。心のこもったコミュニケーションで信頼関係を築くことが、その後の良い結果にもつながるのだと、これまでの経験から実感し、心して診療にあたってきました。この思いをモットーに掲げ、同志のスタッフとともに、優しさを大切にしながら患者さんに接しています。開業医ならではのフレキシブルな対応で、一人でも多くの患者さんが充実した毎日を過ごせるように尽力したいですね。
下肢静脈瘤やシャント手術など、専門的な治療に対応
下肢静脈瘤に悩む方が多く通われているそうですね。
この辺りには血管外科を専門とするクリニックが少なく、当院を知って「下肢静脈瘤ではないか」とご相談される方もいらっしゃいます。足の血管が浮き出る、むくみや疲れ、だるさを感じる、何度も足がつる方は下肢静脈瘤の可能性があります。また、表面にこぶがなくても、ふくらはぎの皮膚に茶色い色素沈着がみられる方、なかなか治らない潰瘍や皮膚炎がある方も下肢静脈瘤の血行動態が隠れていることがあります。当院では「血管内焼灼術」という高周波またはレーザーによるカテーテル治療、医療用の接着剤を用いる「血管内塞栓術」にも対応しています。どちらも従来の手術に比べて負担が少なく、日帰りでご高齢の方にもお勧めできます。下肢静脈瘤は、難治性の皮膚潰瘍を併発している方もおり、術後の適切な圧迫処置や創傷治癒の知識も必要です。私はこれらの治療が保険適用前から、下肢静脈瘤の治療に数多く携わり、熟知していますので安心してお任せください。
透析シャント手術にも対応していますね。
はい。一般的に血液透析は週に3回、1回4~5時間程度行います。限られた時間の中で、たくさんの血液をきれいにして体内に戻すために、毎分200ml程度の血液を腕の表面の静脈から取り出します。この静脈は、血流が少ないので、血流を増やすために、近くの動脈と静脈をつなぎ合わせるための「シャント手術」が行われます。また、透析を受け続けているうちに、シャントの壁が厚くなり、内腔が狭くなってきます。場合により、完全にシャントが血栓で詰まってしまうこともあります。このようなシャント狭窄や閉塞が起こると、血流が少なくなるため、十分に血液を取り出すことができなくなります。そのため、当院では風船のついたカテーテルで狭窄部を広げるための「シャントPTA」を行っております。また、院内はバリアフリー設計で、車いすやストレッチャーをご利用の患者さんもご安心ください。
美容外科や美容皮膚科では、どのような悩みが多いのでしょうか?
患者さんの悩みも、当院でできることも幅広いのですが、医療脱毛や肌の悩みが多いです。美容外科は高額になるのではないかと費用面の不安を感じている方や、ハードルが高いと感じている方も多いのではないでしょうか。当院では不必要な高額な施術をお勧めしたり、全身麻酔を要するような負担の大きな処置を行うことはありません。患者さんが必要とする施術のみを、適切と考える価格で提供します。ワンポイントの美容医療で、印象がだいぶ変わったり、気持ちの面が大きく変わったりすることも考えられるんですよ。血管外科で培った技術を美容外科の分野でも生かし、「優しい、相談しやすい、手の届く美容医療」を心がけています。下肢静脈瘤の治療と同時に、お肌の相談を受けることもありますね。さまざまな治療を提案できますから、気軽にご相談いただけるとうれしいです。
医療や支援を必要とする人のために力を尽くしたい
先生はなぜ外科の医師をめざしたのですか?
実は初めから医師をめざしていたのはなく、理学部や工学部に進もうかと考えていました。ですが高校生になった頃、祖父母が医療のお世話になることがあり、そこで「医師」という職業に興味を持ったんです。医学部に進学してからは「技術力のある医師になりたい」という思いから外科を志すようになりました。医師として「患者さんに対して何ができるか」を常に考えていますし、開業してからは院長としてスタッフの働きやすさにも気を配っています。スタッフには「ここで働けて良かった」と思ってほしいですし、スタッフが生き生きと働ければ、それは院内の雰囲気や対応にも表れるでしょう。結果として患者さんの満足度向上にもつながると思っています。
お忙しいかと思いますが、休日はどのようにお過ごしですか?
わが家には3人の子どもがいまして、上の2人が女の子、3人目は男の子です。息子がサッカークラブに入っているので、私もサッカーの審判の資格を取って試合をサポートしています。また妻も含めて、全員音楽好きなんです。流行のアーティストやアイドルのコンサートに、家族で出かけることも多いんですよ。一人の時間はマラソンで汗を流すことが多く、今年は4度目の東京マラソンに出場しました。普段は公園の周りを10kmほど走っています。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
各地で医療や支援を必要とする方のために、できることを少しずつ増やしていきたいです。私は血管外科の分野で経験を積んできましたから、まずはこの場所で血管外科を中心に、その技術力を生かして美容外科にも対応できるクリニックを開業しました。当面の目標は、多くの方に当院を知っていただき、下肢静脈瘤に悩む方、透析シャント手術を必要とする方、美容外科に興味があっても一歩踏み出せない方が、気軽に相談できるクリニックへと成長することです。そしてゆくゆくは血管外科の少ない地域への展開、また他の分野、例えば在宅医療や訪問看護ステーションの運営にも携わっていきたいと考えています。さらに医療の枠を超え、国内外で支援を必要とする方のために、学校建設や福祉の面でも役に立ちたいですね。いずれ実現すれば……と思いながら、今は目の前の患者さんに心を込めて向き合います。
自由診療費用の目安
自由診療とは医療脱毛/両脇:3000円~、ボツリヌス製剤を使用した多汗症の治療/4万2800円~ ※症例により異なりますので、費用の詳細はクリニックへお問い合わせください