星 加奈子 院長の独自取材記事
横浜センター北ほしクリニック 内視鏡内科・肛門外科
(横浜市都筑区/センター北駅)
最終更新日:2024/07/08
センター北駅から徒歩1分、ショッピングモールの中にある「横浜センター北ほしクリニック 内視鏡内科・肛門外科」。風にそよいでいるような青いリボンを目印に訪れれば、穏やかな笑顔の星加奈子院長が待っていてくれる。五線譜のロゴマークが印象的なクリニックの中に流れる静かな音楽が、おなかやおしりの悩みを抱え訪れる患者の緊張をほぐしてくれるだろう。長年にわたる診療の中で積み重ねてきたスキルに甘んじることなく、一人ひとりの患者に丁寧に寄り添う星院長。胃と大腸の内視鏡検査、肛門診療の2つを柱とする同クリニックで、診療において大切にしていることなどについて詳しく教えてもらった。
(取材日2024年6月19日)
女性が安心して診療を受けられるように
こちらのクリニックの特色を教えていただけますか。
当院は胃と大腸の内視鏡検査、肛門診療を2つの柱とするクリニックです。レディースクリニックというわけではありませんが、女性が受診しやすいようにさまざまな工夫を凝らしているのも特色といえるでしょう。これまで横浜市立大学附属病院、横浜市民病院、市中クリニックなどで研鑽を積んできましたが、すべての場所で女性医師を求めている女性が多いことを実感する日々でもありました。勤務医として長年過ごす中、「自分がめざす診療にチャレンジしてみたい」という思いも強くなり、開業を決意しました。
確かにおしりの悩みなどは女性医師を希望する女性も多いですよね。
私自身も、女性の患者さんをたくさん迎えたいと考え、検査機器にもこだわりました。たとえば、おしりの中を拡大して観察するための肛門鏡、直腸鏡はどの女性の体にもフィットさせられるように、できるだけ種類豊富にそろえました。長さ、太さも多種多様、なかなかクリニックでは置いていないようなめずらしい形のものもあるかもしれません。検査は私に背を向けて横向きに寝ていただく体勢で行い、恥ずかしい思いをしなくてすむようにも配慮しています。また、いぼ痔、切れ痔、痔瘻という肛門の三大疾患について、いずれも手術にも対応しています。もちろん、何でも手術というわけではなく、例えば、いぼ痔ならば内痔核硬化剤を使用した四段階注射法などで治療いたしますので、ご安心ください。
内視鏡についても女性に優しい機器を導入しているそうですね。
はい。大腸カメラは、女性の腸に無理なく入れることができるように、管の部分が平均よりも少し細いものを採用しました。素材もしなやかでより苦痛が少ないものを選んでいます。細くてコシがないタイプは操作が難しいので、使っているクリニックはあまり多くないかもしれませんね。その他、男女問わず、大腸カメラはもちろん、経口胃カメラも鎮静下で行っています。大腸ポリープは小さいものならば見つけたその場で切除を図り、患者さんが何度も大変な思いをしなくてすむようにしています。鎮静剤だけではなく、痛みの少ない検査のために、これまで積み重ねてきたスキルをすべて生かし切りたいです。
患者一人ひとりを家族のように思い人として向き合う
次に、医師を志したきっかけなどをうかがえますか。
子どもの頃にテレビで大学病院を舞台にした医療ドラマを見て、「かっこいい」という単純な憧れを抱きました。医師をめざして勉強しているうちに、次第に奥深さにも魅了されるようになりました。医学は科学がベースではありますが、科学だけでは割り切れない人文学的な側面もありますよね。生涯かけて取り組む価値のある、やりがいのある仕事なのではないかと本格的に志すようになりました。外科を選んだのは診断から治療まで手がけることができるのが魅力だったからです。でも、私が大学病院に入局した頃は女性の先輩も極めて少なく、パワフルで超人的な方ばかり。「こんな私でもつとまるかな?」という不安もありましたが、チーム医療はとても楽しく懐かしい思い出です。テレビドラマの世界とはずいぶん違いました(笑)。
これまでの非常に多くの内視鏡検査の経験を重ねられてきたとお聞きしました。
約20年にわたり、胃カメラ、大腸カメラともに数多くの経験を積んできました。でも、それはたまたま、たくさんの検査をする病院で働く機会に恵まれていただけです。多種多様な状況にあわてず対処できる経験はあると自負していますが、それでもなお、開業して初めて出会った症例もありました。これからも、未知との出会いも必ずあるでしょう。だからこそ、経験に奢らず、初心を忘れずにいたいと思っています。たくさんの患者さんを診てきてしみじみと感じるのは「誰一人として同じおなかはない」ということです。体質、体型、性別、年齢、既往歴に応じて、繊細に調整しながら検査を進めていきたいと思っています。
診療にあたって大切にしていることは何ですか。
シンプルではありますが、目の前の患者さんが「自分だったら」「家族だったら」と想像することは絶対に忘れないようにしています。忙しくしていると見失いがちですが、心の中に持ち続けたい一本の芯です。もちろん、医師は科学的であることは大前提として、想像力も欠かせないと思っています。医学的に正しく診断するだけでは不十分で、どう伝えるかも問われるのではないでしょうか。だからこそ、同じ診断結果だとしても、患者さんの性格や置かれている状況に応じて、違うようにお話するようにしています。患者さんから「先生でよかった」そんな一言をいただけると何よりもうれしいです。人と人のふれあいを感じる、医者冥利に尽きる瞬間ですね。
穏やかな空気を大切にして地道に丁寧な診療を続けたい
今後の展望についてお聞かせください。
特に大きな夢があるわけではないんです。自分が理想とする診療をマイペースで、気が許せるスタッフたちと地道にコツコツと続けていきたいと思っています。もし、もう10歳若く開業していたら何か熱い思いを語っていたかもしれません。でも、今は同年代のスタッフたちと自分の健康にも配慮しながら、一歩一歩やっていくことが何よりの望みです。そんな、おだやかで温かな雰囲気も大切にしていきたいですね。
健康維持のために気をつけていることはありますか。
睡眠をしっかりととることですね。患者さんも寝不足の医師に内視鏡検査をして欲しくないでしょうし、よく寝て元気にシャキッと仕事ができるように自分を整えています。また、趣味の時間を作ってリフレッシュすることも、健康維持に役立っているのではないでしょうか。今は7〜8年前に始めたフルートを楽しんでいます。小さな頃から音楽が好きで、クリニックのロゴマークも五線譜にしてみました。ピアノやバイオリンを習ったり吹奏楽部で活動したりしてきましたが、医学と音楽は勉強の仕方やスキルの積み重ね方が似ているようにも思いますね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
ちょっとした胃のむかつき、おなかの張りや不快感、便の様子がおかしいなど「どこに相談したらいいのかわからない」というときも、遠慮せずに来てください。特におしりは出血があったときだけではなく「なんとなく痛い」「少しだけかゆい」というときも、ぜひいらしてください。おしりは自分では見えませんし、人とも比べられないからこそ、小さな悩みでも利用して欲しいです。また、40歳を過ぎて一度も内視鏡検査を経験していない方は、なるべく早く、一度は受けるようにしてください。がんの中には見つけにくいものもありますが、胃がん・大腸がんは違います。検査さえすればほぼ発見できますし、早期治療ができるがんです。駅からも近く買い物ついでなどにも立ち寄りやすい場所なので、気軽に足を運んでいただければと思います。