合併症が怖い糖尿病
早期診断・早期治療が進行を抑える鍵に
池尻大橋せらクリニック
(目黒区/池尻大橋駅)
最終更新日:2026/06/11
- 保険診療
血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が多くなりすぎる病気、糖尿病。厚生労働省の2024年「国民健康・栄養調査」によると、日本人の約10人に1人が糖尿病に罹患しているという。そんな身近な病気であるにもかかわらず、糖尿病がどのような病気で、放置するとどのようなリスクがあるのか、きちんと理解している人は少ないのではないだろうか。実際にこの調査でも、糖尿病を指摘されたことのある人のうち3割以上が治療を受けておらず、特に30~40代の働き盛り世代では、その割合が高いという結果が出ている。今回は、「池尻大橋せらクリニック」の副院長で、日本糖尿病学会糖尿病専門医の上妻嵩英(こうづま・たかひで)先生に、糖尿病という病気や放置した場合のリスク、治療方法などを解説してもらった。
(取材日2026年4月7日)
目次
生活習慣病の代表格である糖尿病。疑いを指摘されたら軽く考えず、なるべく早期に診断・治療を
- Q糖尿病とはどのような病気なのでしょうか。
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A
▲日本糖尿病学会糖尿病専門医の上妻嵩英副院長に詳しく聞く
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が続く病気です。血糖値は食後などに一時的に上昇することは誰にでもありますが、高い状態が長期間続くと、血管が徐々に傷ついて動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気の原因になります。また、三大合併症である糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害は、進行すると失明や透析、足の壊疽(えそ)から切断につながる恐れがあります。こうした合併症を防ぐためにも、糖尿病の疑いを指摘されたら、早めに医療機関を受診することが大切です。一般的に健康診断では、血糖値やHbA1cが基準値より高い場合「糖尿病の疑いあり」と判断され、医療機関の受診を勧められます。
- Q血糖値やHbA1cはどのように見ればよいのでしょうか。
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A
▲空腹時血糖とHbA1cで見る糖尿病リスク
健康診断では基本的に10時間以上食事をしていない状態の血糖値(空腹時血糖)を測定します。また、HbA1cは過去1〜2ヵ月の血糖値の平均的な状態を反映した指標で、血糖値が食事や運動の影響で変動するのに対し、HbA1cは食事の影響を受けません。健康診断の結果、空腹時血糖が100mg/dL以上、またはHbA1cが5.6%以上であれば糖尿病予備群として特定保健指導が勧められ、空腹時血糖が126mg/dL以上、またはHbA1cが6.5%以上であれば糖尿病の疑いが強いと判断され、医療機関の受診が推奨されます。ただし、1回の検査結果だけで診断はせず、別日に再検査を行って診断を確定するのが一般的です。
- Q健診後に医療機関で受ける精密検査の内容を教えてください。
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A
▲健診だけでなく精密検査で合併症がないか確認
血液検査では、空腹時血糖値とHbA1cに加え、必要に応じて食後の血糖の上がり方を見る75g経口ブドウ糖負荷試験も行います。さらに尿検査で尿中のブドウ糖濃度を調べ、これらを総合的に評価して診断します。また、合併症の有無を確認することも重要です。血液検査と尿検査で腎機能の状態をチェックするほか、眼底検査で網膜症の有無を調べ、神経障害については足のしびれや感覚低下がないかを確認します。加えて、ほかの生活習慣病も重なると動脈硬化を進行させるリスクが高まるため、高血圧症や脂質異常症などの有無もチェックします。
- Qインスリン治療はどのタイミングで必要になりますか?
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A
▲患者の症状、病状に合わせた治療を提案
糖尿病のタイプや重症度などによって異なります。糖尿病は大きく1型と2型に分かれ、1型ではインスリン治療が欠かせませんが、2型ではまず食事管理や運動指導を行い、血糖値の変化などを見ながら内服薬による治療を開始するのが一般的です。当院でも食事管理と運動指導を基本とし、定期的な血液検査で血糖コントロールを確認しながら、必要に応じて薬物療法を追加します。また、一人ひとりの患者さんに合った治療法を選択するため、問診ではこれまでの病状の経過や既往歴、家族歴、生活歴をお聞きします。特に生活歴は重要で、飲酒や喫煙の有無、食事内容や運動習慣などを確認しながら、無理なく継続できる方法をご提案しています。
- Qやはり生活習慣の改善は大切なのでしょうか。
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A
▲食事の見直しや運動を取り入れ、生活習慣の改善も重要
2型糖尿病は、遺伝的要因に過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症するため、生活習慣の改善がとても大切です。実際に食生活を見直し運動習慣を取り入れることで、血糖値やHbA1cの改善が望める例も少なくありません。当院では食事については食べ物だけでなく飲み物の内容も確認し、清涼飲料水やエナジードリンク、スポーツドリンクなど糖分の多い飲み物は控えるようお伝えしています。運動は有酸素運動と筋力トレーニングの併用が推奨されます。当院では、まず負荷心電図検査で狭心症や不整脈などの心疾患がないかを確認するなど、安全に運動できる範囲を評価した上でプログラムを設計し、医師と理学療法士が連携して指導しています。

