口腔内や身体上の不快な症状は
噛み合わせのずれが原因の場合も
祐天寺藤本デンタルクリニック
(目黒区/祐天寺駅)
最終更新日:2024/09/03
- 保険診療
歯が欠ける、詰め物が取れる、痛む。虫歯や歯周病を疑いがちなこうした症状が、実は噛み合わせに起因していることがあるという。頭痛や肩凝りといった症状も同様だ。何度も同じ症状を繰り返す場合や、症状に働きかける治療をしても改善が望めない場合、噛み合わせを疑って歯科医院に相談してみるのも手だと「祐天寺藤本デンタルクリニック」の藤本収院長は話す。「症状が長引いたり、悪化したりすると、生活の質が低下する可能性があります。健やかな毎日を過ごすために、原因を見極めて根本的な改善を図りましょう」と呼びかける藤本院長に、噛み合わせ治療の重要性や治療の進め方などについて聞いた。
(取材日2024年8月9日)
目次
噛み合わせ治療は、口腔内だけでなく顎関節からの根本的なアプローチが重要
- Qまずは「噛み合わせが良い・悪い」状態について教えてください。
-
A
噛み合わせには2種類あります。一般的に「噛み合わせが悪い」というと、上下の歯が組み合わない状態をイメージする方が多いでしょう。「噛み合わせが良い」というと、上下の歯で食べ物を効率良く食べられる状態を思い浮かべると思います。このような「歯にとって噛みやすい位置」が1つ目の噛み合わせです。しかし、歯が噛みやすい位置にあっても、口を開閉する顎や筋肉に問題があると物をうまく咀嚼することができません。そこで重要なのが、2つ目の噛み合わせである「顎の関節や筋肉を動かしやすい位置」です。よって、悪い噛み合わせは2つの噛み合わせがずれている場合、良い噛み合わせは2つの噛み合わせが連動している場合だといえます。
- Q2つの噛み合わせがずれている場合、必ず治療が必要なのですか。
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A
そうとは限りません。実は、2つの噛み合わせがぴったり合っている人は極めて少ないんです。程度の差こそあれ、ほとんどの人は2つの噛み合わせがずれています。ただし、噛み合わせがずれていても、生体の許容範囲内で日常生活に影響がない場合、特に問題はありません。治療の対象になるのは、噛み合わせがずれたことで身体的な症状が出ているケース。例えば、歯が欠ける、詰め物が取れる、冷たいものや温かいものがしみる、朝起きると舌などに歯型がついていて痛むといったこと。また、片頭痛や肩凝りにつながっている場合も。放置していると症状は悪化の一途をたどるため、根本的な原因である2つの噛み合わせのずれを治療する必要があります。
- Q治療はどのような流れで行われるのでしょう。
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A
噛み合わせの治療において重要なのは、包括的な視点で顎関節から治療していくことと、個別に具体的な治療計画を立てることです。まずは、症状がいつから、どんなときに起きているのか、患者さんに詳しくお話を伺います。続いて、口腔内の写真や前方・側面のエックス線写真を撮り、歯や歯周組織、顎関節、骨格、上顎の骨の位置、および上顎の骨に対する下顎の骨の位置などを詳しく調べます。さらに、デジタル咬合器に口腔内をスキャンして得たデータを重ね合わせ、前述した2つの噛み合わせのずれの程度を把握します。これらの検査結果をもとに、スプリントと呼ばれるマウスピースを作製して噛み合わせの修復をシミュレーションしていくのです。
- Q噛み合わせが悪いことを自覚する方法はありますか。
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A
何度治療しても同じ歯の詰め物が取れる、痛みが出るといった場合、噛み合わせが原因で負荷がかかっているのかもしれません。整体やマッサージでアプローチしても改善が見られない肩凝りなども、噛み合わせによって引き起こされている可能性があります。症状に直接的に働きかける治療をしても良くならない、一時的に良くなったように感じてもすぐ症状を繰り返すといったときは、噛み合わせに目を向けて歯科医院を受診することをお勧めします。口を大きく開けると「カクッ」と音がするときも、噛み合わせのずれを疑ってみると良いですね。
- Q噛み合わせの治療後に注意すべきことがあれば教えてください。
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A
噛み合わせは、物を噛むときに片方だけで噛む、食いしばる、歯ぎしりをするといった日々の生活習慣によっても絶えず変化します。ですから、治療後は歯にかかる力のコントロールを図り、安定した状態を維持しなければなりません。「なぜ噛み合わせがずれたのか」という原因に立ち返り、良い習慣を身につけて、再発を防ぐことが大切です。定期的なメンテナンスで、治療後の状態を保っていきましょう。
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