田中 創始 院長の独自取材記事
星ヶ丘ファミリークリニック
(名古屋市千種区/星ヶ丘駅)
最終更新日:2024/06/14
名古屋市営地下鉄東山線・星ヶ丘駅4番出口からすぐ。医療モール内1階にある「星ヶ丘ファミリークリニック」は2024年4月に開業したばかりのクリニックだ。照明も明るく温かみのある院内、そしてレッサーパンダのロゴが、クリニックの親しみやすい雰囲気を表している。田中創始(はじめ)院長は、医師として豊富な経験を積んでおり、内視鏡検査を得意としている。地域の病院で総合的な内科診療に携わりながら、「より地域に密着した医療を提供していきたい」と田中院長は語る。どんな質問にも気さくに答えてくれる穏やかな人柄の田中院長に、自身の経歴やクリニックづくりのこだわり、患者への想いなどを詳しく聞いた。
(取材日2024年4月17日)
積極的な学びの中で地域医療への貢献を意識
開業に至ったきっかけや背景を教えてください。
医師としてさまざまな経験を積む中で、「何でも診て対応ができる、家族ぐるみで地域の患者さんに頼っていただける内科医」でありたいと、そう思って開業する決断をしました。実は大学を卒業してから最初に選んだのは泌尿器科だったんです。医学生だった当時、腎移植が保険適用になったばかりで、先進の分野に積極的にチャレンジできると考えての選択でした。また、私が卒業した岐阜大学は泌尿器科が透析を担当しており、泌尿器科で全身管理についても研鑽が積めると思ったからです。そのように医師としての道をスタートさせたのですが、次第にさらに幅広い領域に対応して適切な判断ができる医師が自分にとって理想だと考えるようになり、改めて大学病院で内科を学び直すことに決めました。内科の研修を終えてからは、国立療養所恵那病院(現・市立恵那病院)に勤務をすることになります。その時の経験こそが私が地域医療を意識する原点だったように思います。
具体的にどのような経験を積まれたのでしょうか。
恵那病院は周辺に医療機関も少なく、本当にさまざまな主訴の患者さんがいらして医師は何でも対応する必要がありました。昔は結核患者の療養所だったこともあり、結核病棟があって結核の患者さんがいらしたり、他にも膠原病の方を担当したりすることもありましたね。思い返すと、子どもからお年寄りまでいろいろなご相談をいただきました。患者さんに頼っていただけることは素直にうれしかったですね。恵那病院で3年ほど勤務をし、その後は消化器内科に籍を移しました。それから春日井市民病院や名古屋市立大学病院、愛知医科大学病院で8年以上消化器の専門分野で経験を積むことになりますが、当時の経験は内視鏡検査も含めて今の診療にたいへん生きているように思います。一時は専門性を高めることを志し、アメリカに研究留学もさせていただきました。先進の研究・実験に携わり、医師として貴重な時間を過ごすことができたと思っています。
そこから帰国をされ、今度はまた地域の病院にお勤めになったのですね。
帰国してから勤務をしたのが、知多厚生病院です。ここは恵那病院と似た環境で、専門の消化器分野はもちろん、心不全や肺炎、高血圧、糖尿病など、やはりさまざまな病気に対応することが求められましたね。その中で、改めて地域医療における何でも診られる内科医の必要性と重要性を痛感するとともに、大きなやりがいを感じたんです。そこで総合診療科・総合内科の領域を学び直したいと思い立ち、大学で総合診療・総合内科を学び直すことを決めました。自分の理想の医師像に近づくためには必要だと思ったんです。5年ほど総合診療・総合内科の研究に取り組みながら臨床にも携わり、知多厚生病院に戻ります。そこで「地域に貢献をしていくことがこれから自分のやっていきたいことだ」と確信し、開業に至りました。
患者には少しでも明るい気持ちになってほしい
どんなクリニックにしていきたいですか?
「ここに来たらなんとかなる」と、なんでも相談してもらえるような窓口になりたいですね。地域に根差す医療を提供できるクリニックにしていきたいと考えています。まだ開業して間もないですが、ありがたいことに小さなお子さんからご高齢の方まで、幅広い年代の患者さんにお越しいただいています。クリニックや病院というのは、具合が悪かったり、どこかが痛かったりして来る場所ですよね。だからこそせめて、足を運びやすい雰囲気は大切にしたいです。患者さんはもちろん、スタッフも私自身もハッピーに、楽しく。それが良い医療につながると思うのです。クリニックとして、お子さんにも喜んでいただけるような取り組みもしています。ここに来ていただく患者さんには、少しでも明るい気持ちになっていただけたらうれしいです。
レッサーパンダのロゴも、お子さんが喜びそうです。
クリニックのロゴに使用しているレッサーパンダの絵ですが、あれは私の妻が描いたものなんです。私が垂れ目ということで、私をモチーフにしたレッサーパンダを描いてくれました。当院の近くにはレッサーパンダが有名な動物園があるので、そこと関連して少しでも覚えていただけたらという思いもあります。ただ、本物のレッサーパンダを見に、12歳と5歳の子どもと休みの日に実際に動物園へ行ったんですが、実際目は垂れていなかったです(笑)。ちなみにクリニックの入り口に飾ってあるぬいぐるみは、スタッフがクリニックのロゴに合わせて買ってきてくれたのですが、あれはアライグマです(笑)。
隔離室もしっかり作られていますね。
やはり時勢柄、隔離室があることで発熱の患者さんご自身はもちろん、発熱以外で通院してくださっている患者さんにも安心して来院していただけるかと思います。私自身、名古屋市立病院感染制御室副室長として、多くの感染症に関する診療にも携わった経験もあり、隔離室の必要性を感じてつくりました。特にお子さんの感染症を心配される親御さんも多いかと思いますし、私も親なので、お子さんを心配する気持ちはよくわかります。そういった点でも、患者さんとそのご家族がより安心できるクリニックづくりを続けていきたいですね。当院はファミリークリニックとして、ご家族の皆さんに頼りにしていただけるよう努めていきたいと考えています。
患者の「安心・安全」に配慮した内視鏡検査
得意とする診療を教えてください。
一番は内視鏡検査ですね。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として、内視鏡検査には力を入れています。当院には内視鏡検査を受けに来られる方も多くいらっしゃいます。勤務医時代に検査を数多く行った経験を開業してからも生かすことができ、ありがたく思っています。検査をする上で大切にしているのは、患者さんの「安心・安全」に配慮した内視鏡検査で「精度の高い内視鏡診断」を提供することです。鎮静剤を用いて、さまざまなケースを想定しつつ、なるべく苦痛の少ない検査ができるよう努めています。
設備のこだわりはありますか?
検査のスペースをできるだけ広くとり、検査を受ける方の動線についてもできるだけ快適な形をとれるようにしました。また、鎮静をはじめとする点滴を行うためのベッドはすべてストレッチャーにしています。通常、内視鏡検査で鎮静剤を使うとどうしても検査室から処置室までの移動時に、意識が朦朧(もうろう)とした中で看護師にサポートを受けながら、ご自身で移動をしていただく必要があります。ただ、そうなるとやはり転倒のリスクがあり、思わぬ骨折につながってしまうこともあるんです。だからこそ、ストレッチャーを導入することで最初から最後まで寝たままの移動ができるようにしました。この点も「安心・安全」に配慮した検査を提供する上で大切だと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
内視鏡検査や日常の体調不良のご相談はもちろん、特定健診、がん検診を含む各種健康診断にも対応していますので、ぜひ気軽に来ていただきたいです。早期発見・早期治療は非常に大切です。胃がん、大腸がん、前立腺がんのように早期発見・早期治療さえできたら治癒が見込める病気もあります。逆に検査をしなかったことで病気が見つからず、手遅れになってしまうことも残念ながらあります。地域の皆さんにはそうなってほしくないと常々願っております。ふと思い立って血液検査を受けたら、異常値が出て前立腺のがんが見つかったというようなケースも珍しくありません。なので、自分には関係ないと思わずに、常にご自身の健康管理に意識を持っていただけたらと思います。