「尿」の問題に広く向き合い
患者のQOLを支える泌尿器科
なかむら泌尿器科クリニック雑色
(大田区/雑色駅)
最終更新日:2025/05/07


- 保険診療
外出先でもトイレの場所を確認しないと不安だったり、我慢できずに漏れてしまったりと、「尿」の悩みはQOL(生活の質)に直結するものだ。子どものおねしょが治らず、どこに相談したらよいか悩む保護者もいるだろう。これらの問題の解決に役立つのが泌尿器科への受診。「なかむら泌尿器科クリニック雑色」の中村文彦院長は「泌尿器科でできることは幅広いんです」と話す。過活動膀胱に対するボツリヌス毒素製剤を用いた治療や、前立腺がんに対するホルモン治療など、専門性の高い治療にも対応する同院。敷居が高いと思われがちな「泌尿器科」の診療内容について、また女性でも通いやすい工夫について、中村院長に話を聞いた。
(取材日2025年4月10日)
目次
尿に関する悩み、下腹部の違和感、腎臓の健康チェックにも対応。泌尿器科で受けられるさまざまな検査と治療
- Qどのようなときに泌尿器科を受診すればよいのでしょうか?
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A
▲尿に関する悩みをはじめ、患者の幅広い悩みに応える
患者さんの主訴で多いのは、トイレに行く回数が増えてしまったり、我慢できずに漏れてしまったり、血尿が出たりと尿に関するお悩みです。陰部に腫れが生じたり、腰や下腹部に痛みを感じて受診される方もいらっしゃいますね。これらは大人の方によく見られる症状ですが、実は泌尿器科には、夜尿症、いわゆる「おねしょ」のご相談など、お子さんの受診も多いです。また健康診断で血尿やたんぱく尿の指摘を受けて来院される方も。尿に関するお悩みはもちろん、下腹部や性器の違和感、腎臓の健康チェックまで、泌尿器科で対応できる範囲は広いんですよ。
- Q女性だと受診をためらってしまうのですが……。
-
A
▲女性患者が安心して受診できるよう配慮している同院
泌尿器科に敷居の高さを感じる女性の方は多く、そう思うのも無理はありません。ですがトイレのお悩みの裏に、膀胱炎や過活動膀胱などが潜んでいることもあるのです。当院では週に2日、女性の医師が診療を担当。男性の先生には相談しにくいという方は、ぜひ女性の医師へご相談いただければと思います。また男性の医師が担当する際は、必ず女性スタッフが同席しますのでご安心ください。待合室はプライバシーに配慮した造りで、他の患者さんと顔を合わせることはありません。ベビーカーも一緒に診療室にお入りいただけます。過活動膀胱に対するボツリヌス毒素製剤を用いた治療にも対応していますので、症状がひどくなる前に一度いらしてください。
- Q初めにどのような検査をするのでしょうか?
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A
▲年齢や性別に関わらず、気軽に相談してほしいという
必要に応じて超音波検査も行いますが、まずは視診・触診と、患者さんの生活背景や尿の状態を確認します。例えば頻尿は前立腺肥大症や過活動膀胱などの病気が原因とは限らず、水分の取りすぎによるケースも多いんですよ。その診断材料の一つとして取り入れているのが「排尿日誌」です。日頃の水分摂取量を知ることで医師からより適切なアドバイスもできますし、日々の生活の中に改善のヒントがあったり、日誌をつけることで患者さん自身の気づきにもなるでしょう。また顕微鏡を使った検査では尿に混ざった血液を可視化するなど、納得して検査や治療を受けていただけるよう工夫しています。
- Qさらに専門的な検査も受けられると伺いました。
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A
▲超音波検査や膀胱鏡検査など各種検査に対応している同院
例えば血尿があったとして、その原因が膀胱結石や尿路結石だということもあれば、膀胱がんや前立腺がんの疑いも否定できません。超音波検査や培養検査などをしても重い病気の可能性が残る場合、膀胱鏡検査を行うことがあります。これは内視鏡を用いて膀胱の中を詳しく調べる検査で、血尿や尿路感染症の原因調査、膀胱や尿道のポリープ・腫瘍の検出、前立腺の状態確認などが可能です。私は開業前、基幹病院の泌尿器科で、難症例のがん治療なども含めて研鑽を積む日々を過ごしました。その経験を生かして症状をしっかりと見極め、できるだけ負担の少ない検査や治療ができるよう努めています。
- Qもし前立腺がんなどの疑いがあった場合はどうなりますか?
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A
▲中核病院で泌尿器科の研鑽を積んできた中村院長
前立腺がんで手術が必要な場合には東邦大学医療センター大森病院などの病院をご紹介していますが、ホルモン治療ならば当院で対応可能です。膀胱がんで手術が必要な場合は東京蒲田医療センターなどの病院をご紹介します。ごく小さい腫瘍なら膀胱鏡を使って外来でも切除を図れる場合もあります。また、病院で手術を受けた後のフォローアップも当院で行っています。「前立腺がんのホルモン治療や小さな膀胱腫瘍の摘出は、病院でないと受けられない」と思われる方もいらっしゃいますが、クリニックでも受けられることを知ってもらえるとうれしいです。病院と密に連携を取りながら治療を進め、必要があれば迅速に病院での検査や治療におつなぎします。