苦痛の軽減に努め定期的な検査を促す
上部消化管内視鏡検査
長瀬クリニック
(川崎市高津区/梶が谷駅)
最終更新日:2022/10/06
- 保険診療
一般的に「胃カメラ検査」として知られる上部消化管内視鏡検査。喉から食道、胃、十二指腸までの病気を早期発見・治療するために重要な検査だ。一方で「以前受けたらとても苦しかった」など、検査のつらい経験から抵抗感を覚えてしまうケースも多いのだという。そんな中、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医である「長瀬クリニック」の長瀬良彦院長は、より苦痛が少ない状態で精密な検査を行っていけるよう工夫に努める。検査をめぐる患者の不安を理解した上で、「何かしらの症状があれば、年齢に関わらず検査を受けることが大切です。病気のリスクが高まる40代以降には定期的な検査をお勧めしています」と訴えている。検査の重要性や具体的な検査方法、ハードルを下げるための工夫などについて語ってもらった。
(取材日2022年6月30日)
目次
40代以降は定期的な検査で病気の早期発見を図ることが大切
- Q上部消化管内視鏡検査で、どんな病気を見つけられますか?
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A
喉から食道、胃、十二指腸の前部までを観察できることから、逆流性食道炎や食道がん、胃炎、胃潰瘍、胃のポリープ、胃がん、十二指腸潰瘍、十二指腸がんといった病変を見つけることができます。ほかにも、胆汁の出口であるファーター乳頭の観察も可能です。「胃カメラ」と呼ばれていますが、観察できる臓器はとても多いんですよ。近年は胃がんの原因の一つであるピロリ菌感染が減少傾向にあり、一方で胃酸の逆流によって食道が荒れ、胸やけが起こる逆流性食道炎が見つかるケースが増えている印象です。いずれにせよ、高画質の画像で微細な病変もしっかりチェックしますので、たとえ病気が見つかっても早期に治療を開始できることが多いです。
- Qどのようなタイミング、年齢で検査を受けるべきでしょうか?
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A
胃痛や喉が詰まっている感じがしたら、20代~30代であっても一度検査を受けておくと良いでしょう。増加傾向にある逆流性食道炎は、夜遅い時間の食事など不規則な生活から、働き盛りの30代でも症状が現れることがある疾患です。また、がんのリスクを考慮すると、40代以降は定期的に内視鏡検査を受けることが望ましいです。先ほどピロリ菌の感染が減少傾向にあるとお話ししましたが、胃がんのリスクがなくなったわけではありません。たとえピロリ菌を除菌しても、がんにはなり得ます。病気の早期発見のために40代以降は症状がなくても定期的に検査を受けることをお勧めします。検査の頻度は2年に1回くらいが目安です。
- Q検査時の負担を減らす工夫を教えてください。
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A
通常の経鼻内視鏡検査の場合、鎮静剤を使用しないため、ある程度の嘔吐反射があり苦しく感じることや、胃の中のヒダを空気で膨らまして伸ばした状態で観察するために、ある程度時間がかかり、膨満感を感じることがあります。また、女性など鼻腔が狭い方や鼻炎などがある方は、鼻出血のリスクもあります。当院では、鎮静剤を投与しながら、経鼻内視鏡としても使える細径内視鏡を経口で使用することで、嘔吐反射や送気での膨満感なども軽減をめざすことができます。また、負担が少なくなることによって時間をかけて食道・胃・十二指腸の観察を行うことが可能になり、早期がんの発見もかなうと考えています。
- Q検査の流れや特徴、検査時の注意点について教えてください。
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A
当院では検査前日は午後8時までに夕食を済ませ、医師から処方されている薬以外は飲食を避けていただきます。当日は簡単な問診後、入れ歯や口紅を取っていただき、喉にスプレーで麻酔を塗布。必要に応じて安定剤を併用し少し眠くなった状態で10分程度の検査をします。また当院では、一度全体を観察した後、特殊な色素を散布した上で再度観察。これにより、見つけにくい微細な病変を判別しやすくなるんですよ。検査自体は5~10分程度で、検査後はリカバリールームでゆっくり休息いただき、安全を確認した上でお帰りいただきます。検査時に鎮静剤を使用する場合、検査後の車や自転車の運転はお控えいただいてます。
- Q病気を予防するために、日常生活で気をつけることはありますか?
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A
逆流性食道炎は食生活の影響を受けやすいので、脂っこいものや辛いものなどはなるべく避けるべきですね。食事をとる時間にも注意しましょう。夕食の時間は早めに、就寝前には小腹がすいている程度が望ましいです。また胃がんは自覚症状がないため、早期発見のためにはやはり検査が不可欠です。胃がんの原因の一つはピロリ菌感染ですから、内視鏡で感染が認められた場合はしっかり除菌を。また、ピロリ菌が陰性であったり、除菌後でも胃がんが発生する場合があります。定期的な検査の受診が当たり前になることが望ましいですね。