苦痛をできるだけ感じさせないよう
配慮した大腸内視鏡検査
長瀬クリニック
(川崎市高津区/梶が谷駅)
最終更新日:2025/10/15


- 保険診療
国内では、年間に15万人以上が診断され、最も罹患者数が多いがんとされるのが大腸がん。死亡数も肺がんに次いで2番目に多いため、特に注意が必要ながんの一つである。一方で、「大腸内視鏡検査で早期発見できれば、内視鏡で体への負担を抑えて治療することも可能です」と話すのが、「長瀬クリニック」の長瀬良彦院長だ。同院では、「痛そう」「怖い」「恥ずかしい」といった理由で受診をためらう人が少なくない大腸内視鏡検査を、少しでも受けやすくするために、さまざまな工夫や配慮を行っているという。そこで、同院の大腸内視鏡検査の特徴や流れについて、長瀬院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年6月18日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q大腸内視鏡検査はどのような時に受けるべきでしょうか?
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A
大腸内視鏡検査はがんの早期発見に加え、過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患など大腸の病気の早期発見と診断が目的です。大腸がんは初期症状がほとんどないため、特に大腸がんのリスクが高くなる40歳以上の人や健診での便潜血検査が陽性になったとき、肉眼で血が混じった便が確認できる、下痢や便秘が続いている、繰り返しているなどのときには原因を調べる必要があるので検査を受けたほうが良いでしょう。また、大腸がんの家族歴がある人には、その原因となる大腸ポリープがあることが多いですから、定期的に大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。一方で検査をしてポリープがなければ、毎年受ける必要はないと考えます。
- Q検査中に、お尻やおなかが痛くないか不安です。
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A
定期的な検査をお勧めしているので、少しでも苦痛なく行う事が重要と考えています。当院は鎮静剤の使用を推奨し、緊張や苦痛を和らげる目的で患者さんに応じて適切に投与します。検査中は眠っているような状態で、痛みなどをほとんど感じず、気がついたら終わっていたというのをめざします。検査では大腸を膨らませるため空気を入れますが、当院は炭酸ガスを使用します。空気に比べ腸管内で速やかに吸収されるので、終了後のおなかの張りや不快感が軽減されます。また検査当日は約2リットルの下剤を飲んでいただきますが、少しでも飲みやすいよう数種類の下剤を用意しています。洗浄液はご自宅で飲用していただくためトイレの不安はありません。
- Qこちらの大腸内視鏡検査の特徴を教えてください。
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A
当院では、大学病院でも使用している検査機器を導入しており、広く明るい視野に加え、拡大機能によって微細な病変まで観察することが可能です。また、がん化する可能性のあるポリープは、積極的に切除するようにしています。クリーンコロンともいわれますが、なるべくポリープを取り除いて検査の間隔を空けるほうが、患者さんへの負担が少ないと考えているからです。加えて、患者さん一人ひとりに使用した薬剤の種類や量、検査中の様子などを詳細に記録し、次回以降の検査に生かしています。大腸内視鏡検査は、定期的に受けてもらうことが重要ですから、患者さんがより苦痛が少なく安全に検査を受けてもらえるよう努めています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1まずは診察を受ける
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診察では、既往歴や便潜血検査が陽性だったなど、受診のきっかけや、出血や下痢、便秘などの症状がいつ頃からなのかなどの問診がある。医師は、診察の結果を総合的に考慮し、大腸内視鏡検査の必要性を判断。検査を受けることになったら予約を取り、感染症検査のための採血、検査の前日と当日に自宅で服用する下剤の飲み方、注意点などの説明を受ける。不安なことなどがあれば、この時に確認しておくことが大切だ。
- 2検査の前処置
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検査の前日は、前回の受診時に渡された錠剤の下剤を服用してから就寝。検査当日の朝は、指示された時間から液体の下剤を数回に分けて2リットルほど服用し、腸内を空っぽの状態にする。その後、指定された時間に来院し、受付を済ませた後に、看護師による体調や便の状態などの問診を受ける。問題がなければ、検査着に着替えて待機。同院では、患者が液体の下剤を少しでも飲みやすいように、複数の種類を用意しているという。
- 3検査と必要に応じてポリープ切除を受ける
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検査室に移動し、検査台に横になる。続いて、腕の血管に点滴の針が入り、鎮静剤と腸の動きを弱める薬が投与されたら検査が開始。検査では、医師が肛門からファイバースコープを挿入し、大腸の一番奥まで進める。その後、ファイバースコープを少しずつ引き抜きながら、大腸の表面を観察し、がんなどの病変の有無を確認。また、がんになる可能性のあるポリープが見つかり、大きさが一定以下であれば、その場で切除することもある。
- 4リカバリールームに移動し休憩する
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大腸内視鏡検査自体は、15〜30分前後で終了。検査後は、鎮静剤の影響で眠気が残っているため、リカバリールームに移動して30分から1時間程度体を休める。休憩後は私服に着替えて、検査結果の説明を受けるために待機する。同院では、個室の休憩室を用意しており、検査後はリクライニングチェアでゆったりと体を伸ばして、リラックスしながら体を休めることが可能だ。
- 5検査結果の説明を受ける
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医師から検査結果の説明がある。実際の検査画像も示しながら、詳しく説明してくれる。また、ポリープ切除を行った場合には、その病理検査の結果が出る1週間から10日後に再度受診して、その結果の説明を受ける。必要な場合には、近隣の基幹病院などを紹介してくれる。鎮静剤を使用したため、検査当日の自動車やバイクなどの運転は厳禁。大きめのポリープを切除した場合には、しばらく飲酒や激しい運動などを控える必要がある。