便潜血陽性は大腸内視鏡検査を
AI活用で見落としゼロをめざす
北千住大腸肛門クリニック
(足立区/北千住駅)
最終更新日:2025/06/13


- 保険診療
便に血がついていて驚いたり、健康診断の便潜血検査で血便を指摘されたりした経験を持つ人は少なくないだろう。「痔かな?」と簡単に考えがちだが、大腸がんなど重篤な病気が隠れている場合もあるので、早めに専門家に相談することが重要だ。食道から肛門までを一貫して診療している「北千住大腸肛門クリニック」では、大腸内視鏡検査の際はAIを用いた見逃しのない検査を追求している。また肛門の病気の診療や日帰り手術にも尽力。大腸と肛門、両方を専門とする医師の存在は患者にとって安心材料となるだろう。同院の院長で、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医の小泉岐博(みちひろ)先生に、排便時の出血や便潜血検査陽性で疑われる病気、放置のリスクなどについて解説してもらった。
(取材日2024年1月16日/情報更新日2025年5月20日)
目次
肛門からの出血は、大腸内視鏡検査から肛門外科まで対応できる専門的な医療施設で精密検査を
- Q便潜血検査とはどのような検査なのですか?
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A
▲痔と大腸の病気の見極めが重要
便採取専用の検査キットを用いて、便に血液が混じっているかを調べる検査で、大腸がん検診として広く用いられています。大腸や肛門の病気は出血することが多く、この検査で負担少なく病気の有無を調べられます。ただ検査でわかるのは出血の有無のみで、原因や部位は特定できません。陽性の場合は多様な病気の可能性があります。検査は通常2日に分けて行いますが、1回でも陽性なら大腸内視鏡検査にて精密に調べる必要があります。原因の多くは肛門からの出血であり、大腸がんの可能性は決して高くないので過剰に心配する必要はありません。万が一大腸がんでも早期発見・治療で根治を図れますので、まずは大腸内視鏡検査を受けることが大切です。
- Q内視鏡と肛門外科の両方を専門とする医院を受診するメリットは?
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A
▲大学病院で消化器の診療、内視鏡検査などの研鑽を積んだ小泉院長
便潜血検査が陽性の場合、次は大腸内視鏡検査で出血の部位・原因を調べます。一般的に肛門の病気は外科領域なので、内科で内視鏡検査を受けると、検査後は外科に転院となります。当院のように大腸と肛門、両方を診ている医院であれば転院の必要はないので、手間と時間の節約につながるでしょう。当院では大腸内視鏡に引き続いて、肛門の診察、検査や手術の実施も可能です。ちなみに私は出血があっても必ずしも内視鏡検査を行う必要はないと考えています。明らかに肛門からの出血だと判断できれば、まずは治療を行い、経過を診て大腸内視鏡検査の必要性を判断していますね。この点も肛門外科で診療を受けるメリットですね。
- Qこちらの内視鏡検査の特徴について教えてください。
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A
▲視診や触診をはじめ、さまざまな検査を通して治療方法を決める
2024年7月から、AIによる大腸内視鏡画像診断システムを導入したことが大きな特徴ですね。周辺の地域でも、当院は早い段階で導入したんですよ。このシステムは、内視鏡検査中の画像をAIがリアルタイムで解析し、目視では判別しにくい小さな病変や平坦な病変を検出するため、ポリープの見逃しを大幅に減らすことが期待できます。もちろん内視鏡操作や診断、ポリープの摘出処置はあくまで医師が行い、AIは診断のサポートという位置づけです。保険適用なので当院ではすべての患者さんに対して使用しています。プライバシーに配慮して、内視鏡検査用の待合室は女性と男性で分けることにもこだわりました。
- Q内視鏡検査時にポリープが見つかった場合、どうなりますか?
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A
▲大腸がんの早期発見を支える内視鏡機器
大腸ポリープは大腸がんになる可能性があるので、予防として切除が推奨されています。当院では検査時にポリープを切除し、内視鏡検査を極力1回で済むようにしています。ポリープ切除は内視鏡の先端に専用器具を装着し、ポリープを切り取ります。腸の表面には神経がないので切除時の痛みはありません。ポリープの大きさによりますが、切除後は出血を防ぐため、数日間は運動や入浴の制限、禁酒が生じる場合があります。2cmを超えるような大きなポリープなど、日帰りでは安全に切除できない場合は入院が必要です。連携病院をご紹介し適切な治療を受けていただきます。発見から治療まで一貫した対応を心がけておりますのでご安心ください。
- Q大腸がんが見つかった場合、その後の流れを教えてください。
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A
▲病変の見逃しを限りなく減らすため、内視鏡検査にAIを導入
大腸がんが、早期がんか進行がんかによって治療方針が異なります。早期がんの場合、多くは内視鏡による切除で根治を図れます。進行がんや一部の早期がんは外科手術が必要です。専門医療施設に移り、早期がんであれば入院して内視鏡検査を。進行がんなら術前にCT検査などの精密検査を行い、がんの進行度を把握した上で手術を行います。私は長年大腸がんの診療に携わってきたため、がんの状態や検査・治療の流れについて詳しく説明可能です。突然の診断に不安な方にも、安心していただけるよう心がけております。またがんの治療後は再発チェックなどのフォローアップが必要です。当院ではフォローアップも注力していますのでご安心ください。