便潜血陽性は病気のサイン
AIによる内視鏡検査で見逃しを減らす
北千住大腸肛門クリニック
(足立区/北千住駅)
最終更新日:2024/08/30


- 保険診療
便に血がついていて驚いたり、健康診断の便潜血検査で血便を指摘されたりした経験を持つ人もいるだろう。どちらも出血の原因が「痔」であることが多いが、中には大腸がんなど重篤な病気が隠れている場合もあり、早めに専門家に相談することが重要だ。北千住駅から徒歩4分の立地にある「北千住大腸肛門クリニック」では、食道から肛門までを一貫して診療している。大腸内視鏡検査では人工知能(AI)を用いた見逃しのない検査を追求。さらに、手術を含めた肛門の病気の治療にも尽力していることは、患者にとって安心材料だろう。同クリニックの院長で、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医の小泉岐博(こいずみ・みちひろ)先生に、排便時の出血や便潜血検査陽性で疑われる病気、放置した場合のリスクなどについて解説してもらった。
(取材日2024年1月16日/情報更新日2024年7月29日)
目次
肛門からの出血は、大腸内視鏡検査から肛門外科まで対応できる専門的な施設で精密検査を
- Q便潜血陽性の原因と、放置するリスクについて教えてください。
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A
▲痔と大腸の病気の見極めが重要
便潜血検査でわかるのは出血の有無のみで、原因や部位までは特定できません。つまり陽性の場合、大腸がんの可能性もありますし、痔など肛門からの出血が原因のこともあります。便潜血検査は通常2日に分けて行いますが、2回のうち1回でも陽性なら精密検査が必要です。受診せずに放置すると、大腸がんが進行する恐れがあります。大腸がんは適切な時期に発見して治療すれば大部分は治癒が見込める病気ですから、大腸内視鏡検査を受けて原因を調べることが大切です。また、大腸内視鏡検査は潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸ポリープなどがん以外の大腸疾患の発見にも有用です。
- Q内視鏡と肛門外科の両方を専門とする医院を受診するメリットは?
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A
▲大学病院で消化器の診療、内視鏡検査などの研鑽を積んだ小泉院長
内視鏡検査の結果、大腸の病気だと消化器内科の、肛門の病気だと外科の守備範囲になります。大腸と肛門の病気の両方を診ている医院であれば、どちらであろうと転院の必要がなく、患者さんの負担が少なくなります。当院では大腸と肛門を同時に診療しており、必要に応じて大腸内視鏡検査に引き続き、痔の手術まで実施することが可能です。ただし、肛門から出血があった場合、全員に内視鏡検査が必要とは考えていません。明らかに肛門からの出血だと判断できれば、まずは肛門病の治療を始め、経過を見て大腸内視鏡検査の必要性を判断しています。
- Q肛門の病気が疑われる場合の検査や治療の流れを教えてください。
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A
▲視診や触診をはじめ、さまざまな検査を通して治療方法を決める
まずは症状をお聞きします。出血した血液の色や、痛みの性質などから病気の部位が大腸なのか肛門なのかあたりをつけ、肛門の病気が疑われる場合は、視診・触診・肛門鏡検査を行います。痔ろうや肛門周囲膿瘍を疑う場合は、肛門超音波検査も組み合わせます。イボ痔・切れ痔ではまず食生活や排便習慣の改善、外用剤などの薬物治療を行い、それでも改善が難しい場合は手術するという流れが一般的です。痔ろうは原則、手術が必要。肛門の病気は命に関わる病気ではありませんが、出血や痛みが強いと日常生活にも支障を来します。当院では極力日帰りで手術も行っていますので、デリケートな部分ではありますが気軽にご相談ください。
- Q大腸の病気が疑われる場合はいかがでしょうか?
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A
▲大腸がんの早期発見を支える内視鏡機器
大腸がんの早期発見・早期治療のためには、大腸内視鏡検査が必要です。便潜血検査は進行がんに対する感度は高いものの、早期がんや大腸ポリープの発見は難しいとされています。便潜血検査が陰性でも、排便時の出血や下痢や便秘を繰り返すといった症状がある場合は大腸内視鏡検査をお勧めします。大腸内視鏡検査にネガティブなイメージを持つ方もいますが、当院では静脈麻酔を使用した苦痛の少ない検査を心がけています。また、検査当日の下剤は、ご自宅で飲むことが難しい方のために、院内に専用のスペースを用意しています。検査の結果は当日お伝えしており、発見された病気や症状に応じて治療を進めていきます。
- Q御院の検査の特徴について教えてください。
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A
▲病変の見逃しを限りなく減らすため、内視鏡検査にAIを導入
当院は、本年7月から人工知能(AI)による大腸内視鏡画像診断システムを導入しました。足立区や近隣の機関では当院と本院である西新井大腸肛門科が早くに導入し、まだ導入数も限られています。これは内視鏡検査中の画像をAIがリアルタイムで解析し、目視では判別しにくい小さな病変や平坦な病変を検出するため、ポリープの見逃しを大幅に減らすことが期待できます。もちろん、内視鏡操作や診断、ポリープの摘出処置はあくまで医師が行い、AIは診断のサポートという位置づけです。保険適用での検査が可能で、当院ではすべての患者さんに使用しています。また、プライバシーにも配慮し、内視鏡用の待合室を女性用と男性用で分けています。