ライフスタイルに合わせた糖尿病治療の流れ
持続可能な治療法提案
はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口
(川崎市高津区/溝の口駅)
最終更新日:2024/06/07


- 保険診療
糖尿病は血糖値の適切なコントロールなどにより、状態のキープをめざしていくことで、糖尿病ではない人に近い状態まで改善・維持することも望めるとされる。しかし治療が長期にわたり、食事や嗜好品の制限をはじめ生活習慣を変えることがつらく、途中でやめてしまう患者も多いという。そのような治療中断の防止を心がけ、血糖値だけでなく全身と心の健康にも目を向けて糖尿病の治療に取り組むのが「はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口」の原興一郎院長だ。「例えばコンビニエンスストアではどんな食品を選ぶと良いかなど、患者さんのライフスタイルも考慮したアドバイスを重視しています。そして無理のない持続可能な治療計画とその実践をサポートしています」。そんな同院の糖尿病治療について、原院長に実際の治療の流れをもとに詳しく聞いた。
(取材日2023年6月12日/再取材日2024年5月7日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q糖尿病について、健康へのリスクも含めて教えてください。
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A
膵臓から分泌されるホルモンの一種である「インスリン」の分泌量が不足するか、もしくは効きが悪くなる、あるいはその両方により、慢性的に高血糖となる病気です。遺伝的要因や生活習慣、他の病気の治療薬の影響など、発症する原因は人それぞれです。脂質異常症・高血圧・高尿酸血症といった生活習慣病が併存することも多いですね。悪化すると全身の血管にもダメージを与え、脳血管障害や虚血性心疾患などの重い合併症を引き起こすこともあります。残念ながら完治はしませんが、適切な健康管理に基づく治療を続けることで、生涯にわたって良い状態のキープをめざしながら、ライフスタイルを大きく変えずに生活することも望めます。
- Q治療を長く続けてもらうために、どんな工夫をされていますか?
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A
患者さんの年齢、ワークスタイル、ライフスタイルなどを考慮し、無理のない目標と計画を立てるようにしています。糖尿病の治療はいわば「SDGs」、持続可能性が大切です。高すぎる目標や現状とかけ離れた生活習慣を求めてしまうと、治療は長続きしないですよね。そのため、当院では管理栄養士によるオンライン栄養相談の際には、外食やコンビニエンスストアの食品はどう選ぶかなど、その方が実行しやすいようアドバイス。必要に応じて薬の見直しも行い、患者さんが無理なく続けられるようサポートします。また、通いやすい駅近くの立地、患者さんの生活を考慮した通院頻度、急な予約や土曜の診療への対応などの利便性も重視しています。
- Q治療する上で大切にしていることをお聞かせください。
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A
一般的にHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値のみが重視されがちですが、当院ではそれを追うだけではなく、患者さんの全身の健康や治療のモチベーション維持にも配慮しながら、良質な血糖コントロールを行えるよう心がけています。目標値は患者さんによって異なりますし、血糖値が下がってもコレステロール値が上がってしまったり、必要な栄養素が摂取できなくなっては良い治療とはいえません。全身と心の健康を保ててこそ「質の良い血糖コントロール」なのだと思っています。日本糖尿病学会糖尿病専門医の視点から、一人ひとりの患者さんに合った治療を提案できるよう努めています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診で患者の症状や生活背景を詳しく聞く
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気になる症状や検査結果など、ここに至るまでの経緯について医師から確認がある。ワークスタイルや食生活・運動習慣などのライフスタイルについてのヒアリングは、その後の目標設定や治療計画にも生かされる。他院での治療経験がある場合は、治療中断を防ぐためにも話しておくことが大切だ。
- 2院内の各種機器による検査結果も踏まえて診断
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院内にはエックス線検査装置、心電計、血圧脈波検査装置、血糖測定器、尿化学分析装置など各種検査機器を備えている。医師の判断に基づき、必要な検査を受ける。もし手元に健康診断の結果がある場合には、緊急性を判断するためにも持参すると良い。
- 3患者の状態に合わせた「続けられる治療」を重視し提案
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問診や検査結果をもとに、医師より治療内容の提案がある。同院では一人ひとりの生活背景を考慮した持続可能な目標を設定し、「続けられる治療」を重視している。症状が進んでいる場合を除き、食事指導と運動指導から始めていくことが多いという。
- 4食事や運動を実践。必要ならオンラインで栄養相談も
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指導に沿って食生活や運動習慣の改善を図る。同院では必要に応じて管理栄養士によるオンライン栄養相談も実施し、自宅の食事のほか、外食やコンビニエンスストアの食品の選び方など、実生活に即したアドバイスを行う。外出せずに相談できる利便性に加え、家族も話を聞けるため食生活でのサポートがしやすくなるメリットも。食事や運動でも改善が難しく、薬が必要になった場合は、数ある薬の中から患者に合うものを医師が選択する。
- 5患者が通いやすい環境で経過を長期的に観察
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治療を続けながら経過を診ていく。同院では通院頻度も患者に合わせて決定し、急な予約や土曜の診療にも対応するなど、忙しい働き世代も計画が立てやすいよう配慮。腹部や頭頸部の超音波検査では、脂肪肝や動脈硬化などのリスクを定期的に確認する。目標が高すぎて治療が中断しないよう都度見直しながら、一人ひとりの状況に合わせた計画を立てることが大切だ。指導に基づいた食事や運動を長く続けることで、薬剤の減量もめざせる。