原 興一郎 院長の独自取材記事
はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口
(川崎市高津区/溝の口駅)
最終更新日:2024/06/07
溝の口駅近くにあり通いやすい「はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口」は、糖尿病と内分泌の専門家で、大学病院で多くの診療経験を積んだ原興一郎院長が診療を担当するクリニックだ。糖尿病を中心に各種の生活習慣病や内分泌疾患に対応し、特に糖尿病は「一人ひとりに合わせた持続可能な治療」を目標としている。「一般的に糖尿病治療の指標とされる検査値だけでなく、患者さんの年齢やライフスタイルを考慮して治療を進めています」と原院長。また、糖尿病を専門的に学んだ看護師も在籍し、通院や費用面、仕事や日常生活の上での不安など、医師に聞きにくい内容を相談することも可能だ。「完治はしなくても、より良い状態をキープできれば糖尿病ではない方に近い状態もめざせます」と話す原院長に、同院での診療方針や地域医療への思いを聞いた。
(取材日2024年5月7日)
糖尿病を中心に各種の生活習慣病や内分泌疾患にも対応
こちらではどんな診療が受けられるのでしょうか?
糖尿病を中心に、脂質異常症・高血圧症・高尿酸血症などの生活習慣病も含めて幅広く診ています。糖尿病は生活習慣が主原因のことが多く、各種の生活習慣病も併存するなど互いに切り離せないものだからです。しかも「糖尿病は万病のもと」で、血管への影響からさまざまな合併症を引き起こします。例えば細い血管が影響を受けると神経障害・目の網膜の疾患・腎症などが起きやすく、太い血管では壊疽・脳血管障害・虚血性心疾患などのリスクが高まります。このため、当院では臨床検査技師による超音波検査で頸動脈の血管・血流の状態を調べ、血管の傷み具合の判断に役立てています。また、生活習慣病と睡眠時無呼吸症候群にも関連性があり、互いに悪影響を及ぼすともいわれています。健康診断の結果にチェックがついたり、家族にいびきを指摘されたりするなど、心配事があればお気軽にご相談ください。
そうした診療を専門とされる先生のご経歴をお聞かせください。
東京医科大学を卒業後、東京慈恵会医科大学やその関連病院で研鑽を積んできました。糖尿病以外に内分泌についても専門的に学び、甲状腺・下垂体・副腎などの内分泌疾患の診療も行ってきました。また現在も、虎の門病院分院で非常勤医師として外来診療に携わっています。内分泌とは、体の機能を維持するために必要なもので、そのバランスが崩れると体に不調が生じます。例えば糖尿病も、膵臓から分泌されるホルモンの一種である「インスリン」が影響しているんですよ。当院ではバセドウ病や橋本病といった甲状腺ホルモンの病気など、内分泌疾患にも対応しています。前出の超音波検査は甲状腺の病気の発見にも有用です。
クリニックで治療を受ける利点は何でしょうか?
重症で他の診療科での治療が必要な場合を除き、糖尿病の治療に限っていえば、身近なクリニックでも十分に対応は可能と考えています。加えて、小回りが利くこともクリニックの利点の一つ。当院は急な来院や土曜の診療にも対応していますし、溝の口駅からすぐの立地なども含め、働き盛りの世代にも通いやすい環境を整えています。この辺りには糖尿病を専門とするクリニックがあまりありませんから、糖尿病に悩む皆さんの健康管理を担える存在でありたいと思っています。糖尿病の他にも生活習慣病の治療は長期にわたりますが、異動などで担当の医師が代わる場合がある病院に比べ、同じ医師が長く症状を診ていきやすいのもクリニックのメリットといえますね。
実生活に即した食事指導などで治療を続けやすく
糖尿病の治療で大切なことを教えてください。
一つは、質の良い血糖コントロールです。患者さんの状態を判断する際の指標として、代表的なものにHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)があります。この数値を下げることは確かに大切ではありますが、そこには「全身と心の健康を維持しながら」という前提条件が必要です。例えばパンやご飯を控えて血糖値が下がったとしても、おかずを増やすことでコレステロール値が上がっては良くありません。ご高齢の方が「ベジタブルファースト」と野菜からゆっくり食べているうちにおなかが満たされてしまうと、必要な栄養素が摂取できません。当院では「血糖値を下げる」ことだけに目を向けず、全身の状態を把握した上で生活環境を見直すことを重視して診療しています。そしてもう一つ、糖尿病は残念ながら完治はしませんが、より良い状態をキープして糖尿病ではない方に近い状態をめざすことはできます。そのために長期間の適切な治療がとても大切です。
治療を「長期間続ける」ことも大切なのですね。
そうですね。しかし必ずしも薬を飲み続けるということではありません。インスリン注射や内服薬を使用している方も、食事・運動を改善して薬を減らすこともめざせます。重要なのは続けるという点で、私はこれを「治療のSDGs」、つまり「持続可能な治療目標」と捉えています。もし好きな食べ物を一切禁止されたり、仕事で忙しいのに通院日時を厳密に指定されたりしたらどうでしょう? ライフスタイルを無理に変えてしまう方法では、長続きしませんよね。もちろん、患者さん側でも可能な範囲で改善する努力は必要ですが、当院では患者さんのライフスタイルを考えながら、一人ひとりに合った生活習慣を見つけるお手伝いをしています。例えば管理栄養士とのオンライン栄養相談では、コンビニエンスストアでの食品の選び方など、実生活に即したアドバイスを行っています。
スタッフの方も糖尿病について学ばれてきたそうですね。
当院の看護師は糖尿病について専門的に学んできており、今も勉強を続けています。糖尿病の治療は長く続きますから、患者さん側で疑問や不安が生じることもあるかと思います。中には医師に聞きにくいこともあるでしょう。当院ではそのような時、スタッフが相談をお受けしています。病気に関することはもちろん、通院や費用面、仕事や日常生活の上での不安など、どのようなことでも構いません。知識を生かし、医師とはまた違った目線でアドバイスできるかと思います。
血糖値だけではなく、全身と心の健康まで考えた治療を
先生が診療時に心がけていることをお聞かせください
先ほども挙げたとおり、患者さん一人ひとりに合わせた治療計画が立てられるよう、心がけています。当院には幅広い年代の患者さんがいらっしゃいます。健康診断の結果に不安を感じたビジネスパーソン、かつて他院で糖尿病の治療を受けていたご高齢の方、ご自身の気になる症状をインターネットで調べたら「糖尿病」や「内分泌疾患」に当てはまったという方もいらっしゃいます。糖尿病の原因は遺伝的要因、生活習慣によるもの、他の病気の治療薬の影響など、人それぞれです。通院できる頻度も患者さんによって異なります。年齢も症状もライフスタイルも異なる患者さん一人ひとりに向き合い、血糖値だけではなく、全身と心の健康まで考えた治療を提案できるよう努めています。
ところでお忙しい日々の中、休日はどのようにお過ごしですか?
趣味は野球観戦で、中学・高校と横浜に通学していましたので横浜のチームが好きですね。成績が安定しているとはいい難いチームですが、波に乗った時の勢いは素晴らしいんですよ。もう一つの趣味は、実はお酒です。もちろん節度をわきまえて楽しんでいますが、お酒のおいしさは実感していますので、患者さんにも「一滴も飲んではいけません」とは言えません。人それぞれの適量を守った上で、人生を楽しく過ごしたいですし、患者さんにも楽しく過ごしてほしいと思っています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
高すぎる目標や現在とは違いすぎる変化は、長続きしないことが多いです。当院では食事と運動の改善指導を基本に、持続可能で現実的な目標を見つけながらサポートします。年齢によってその内容も変わりますから、インターネットなどの情報をうのみにせず、ぜひ相談にいらしてください。食事や運動で改善が難しい場合には、薬が必要になることもありますが、数多い薬の中から患者さんに合ったものを選択します。長く続けられる治療法を一緒に見つけていきましょう。