労働生産性にも影響する睡眠
働き世代の睡眠の質向上をめざす
あおやま睡眠・内分泌クリニック
(港区/青山一丁目駅)
最終更新日:2023/04/14


- 保険診療
OECDの調査によると、日本人の睡眠時間は欧米主要国より1時間近く短く、睡眠不足の人が多いという。近年、睡眠不足が人体や労働に多大な悪影響を与え、労働生産性を損なうことについてもさまざまな研究がなされ、警鐘が鳴らされている。単に多忙で睡眠時間が短いだけでなく、不眠症や睡眠時無呼吸症候群、日中に著しい眠気が生じる過眠症など睡眠障害に悩む人も多いことから、睡眠をキーワードとした診療を展開しているのが「あおやま睡眠・内分泌クリニック」和合健彦院長だ。同院では「日本人の睡眠不足は、もはや個人の問題ではなく、社会全体の課題として解決する必要がある」との考えから、特にビジネスパーソンや経営者に向けた利便性の高い診療に取り組んでいるという。「睡眠」に不安や悩みのある人はぜひ参考にしてほしい。
(取材日2023年3月31日)
目次
動脈硬化や突然死にもつながり得る睡眠障害。オンライン診療や宅配検査など受けやすい診療で睡眠の質向上を
- Q睡眠障害は、どのような支障を来たすのでしょうか?
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A
▲働き世代こそ睡眠の質向上が求められる
不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害があると、質の良い睡眠が取れず、慢性的な睡眠不足になります。睡眠不足が毎日続いている状態では、日中の眠気やだるさ、集中力の低下などに加え、うつ病的な症状が出ることもあります。また交感神経系がずっと緊張している状態ですので、血圧や血糖コントロールに悪影響を与え治療抵抗性となります。それにより、糖尿病や肥満症が増悪したり動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞の危険因子となる事も考えられます。本来は多忙な人ほど良い睡眠を取り、疲れやストレスを修復して翌日に備えたいのですが、睡眠の質が低いと体のメンテナンスができないまま、次の日を迎えることになるのです。
- Qでは、理想の睡眠とはどのようなものなのでしょうか?
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A
▲睡眠不足が続くと仕事の生産性も低くなる
適切な長さの睡眠時間と質の良い睡眠をとることが重要になります。睡眠の質というのは、医学的には脳波を計測して「深睡眠」が取れているかどうかで判断します。個人差はありますが、睡眠のサイクルは1回約90分で、一般的には一晩に4~5回繰り返すとされ、そのうち3~4回ぐらいは深睡眠が取れていると質の良い睡眠と言えると思います。不眠症など何らかの睡眠障害があって深睡眠にたどりつかない場合は、睡眠時間が長くても、質の良い睡眠を取ったことにはなりません。長時間眠ってもすっきりしない、眠りが浅い気がする、夜間に何度も目覚めるというような場合は、質の良い睡眠が取れていない可能性があります。
- Q日本の働き世代で睡眠に問題がある人は多いのですか?
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A
▲血液検査や血圧検査等、幅広い検査で原因を探る
睡眠医療は比較的最近の学問ですが、調査や研究が進むにつれ、睡眠障害と診断される患者さんが急増してきている状況です。睡眠時無呼吸症候群や不眠症、その他の睡眠障害などと診断されていなくても、「眠れない」、「寝つきが悪い」、「寝ても疲れが取れない」、というような症状の人も合わせると、潜在的な患者さんは人口の1割程度いると推計されています。糖尿病も国民病といわれて久しいですが、睡眠に何らかの問題を抱えている人は、それに匹敵するのではないかと考えられているのです。また働き世代に患者さんが比較的多い傾向ですが、実際はお子さんからご高齢の方までさまざまな年代の方が睡眠障害に悩んでいるのが現状です。
- Qこちらでの睡眠障害の治療の流れについて教えてください。
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A
▲オンライン診療も対応可能
睡眠障害のうち、睡眠時無呼吸症候群の占める割合が高いため、まずはその検査を行います。保険診療にていびきや血中酸素飽和度を測る簡易検査と、それに加えて脳波を測る精密検査を行います。睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は気道を広げるためのCPAP療法の導入を検討します。すべての検査はキットが宅配で届いて、自宅で受けられるシステムです。不眠症に対しては薬物治療が適応となります。過眠症やナルコレプシーの診断に必要な検査は虎の門病院などの専門施設と連携し、治療は当院で対応可能です。診察や薬物治療のために当院に通院が難しい方に対しては、オンライン診療で対応できるように準備を進めているところです。
- Qこちらのクリニックで診療を受けるメリットはなんでしょうか?
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A
▲経営者の相談にも乗ることが可能
私が内分泌・代謝疾患を専門として、糖尿病や高血圧などの生活習慣病診療に携わる中で、治療をしても改善しない人には睡眠障害が多いことに気づき、睡眠医療に取り組み始めました。当院では睡眠障害をはじめ、糖尿病などの生活習慣病全般、特殊なホルモンの病気である内分泌疾患、婦人科領域に関係する甲状腺疾患にも幅広く診療できますので、何でも相談していただきたいと思います。今後は多忙な方でも受診しやすいように、遠隔診療も導入していく予定です。将来的には経営者の方を対象とした遠隔での健康医療相談(カウンセリング)や、従業員の睡眠と労働生産性に関するセミナーなども開催し、社会問題の解決にも寄与したいと考えています。