乳児の頭の変形の改善を図るヘルメット治療
注意点と治療の流れ
宮前平脳神経外科クリニック
(川崎市宮前区/宮前平駅)
最終更新日:2025/04/17


- 保険診療
頭の形が平行四辺形のようになっているなど、赤ちゃんの頭の形がゆがんでいる場合がある。そうした頭の変形は向き癖などの「外力」と呼ばれる外部から加わる力が原因であることがほとんどであり、医師から「様子を見ましょう」といわれることが少なくない。しかし、実は治療で改善をめざせると話すのは、赤ちゃんの頭の形の診療にも対応している「宮前平脳神経外科クリニック」の上野龍院長だ。「治療の推奨月齢が限られますし、病気が原因の可能性もあるので、気になったらすぐに受診していただきたいです」と真摯な眼差しで語る。そこで適切な時期に治療を検討できるように、また病気を見逃さないように、ゆがみの原因や受診のタイミング、治療の流れなどを上野院長に詳しく聞いた。
(取材日2024年6月13日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q赤ちゃんの頭の変形はなぜ起こるのでしょうか?
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A
赤ちゃんの頭の変形は、向き癖などの外力が原因であることがほとんどです。頭の一部に圧力がかかり続けることで、そこが平らになりゆがみが生じます。抱っこの向きを左右にバランス良くしたり、おもちゃで気を引いていつもと逆方向の向きで寝るようにさせたり。また腹ばいの時間を増やすなど、一部にばかり圧がかからないようにすることで、頭の変形の予防や改善を図ります。ただし頭の変形は外力に限らず、頭蓋骨縫合早期癒合症など病的な原因によって起きている可能性もあるのです。病気の種類や状態によっては手術などの治療が必要となります。ですから赤ちゃんの頭に変形があると感じたら、向き癖だと決めつけずに受診していただきたいです。
- Q頭の変形の改善を図るヘルメット治療とはどのような治療ですか?
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A
ヘルメット治療とは、向き癖など外力によって赤ちゃんの頭が変形した場合に行う、治療用ヘルメットを装着する治療法のことです。圧がかかり成長が抑制され平らになった部分にヘルメットで空間をつくり、全体のバランスが良くなるように頭蓋骨の成長を促していきます。装置で顎の骨や歯を動かすことをめざす歯科の矯正治療とは異なり、ヘルメット治療は赤ちゃん自らの頭蓋骨の成長を原動力とするのが特徴です。治療用ヘルメットは基本的にオーダーメイド。ヘルメットが届き次第、まずは装着に慣れることから開始し、最終的に1日23時間、入浴時以外は常に装着してもらいます。そうして3~6ヵ月ほど装着を続けることで改善をめざせるのです。
- Qどのタイミングで受診したらいいでしょうか?
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A
ヘルメット治療は、月齢3~6ヵ月のうちの開始が推奨されています。月齢7ヵ月以降でも治療はできますが、期間が長くなりやすい上、目標まで達せられない可能性も高まります。ですから月齢3~6ヵ月で向き癖や頭のへこみがあったり、耳の位置が左右で異なったりしていると感じたらすぐに受診していただきたいですね。小児科への受診でも良いのですが、赤ちゃんの頭の形の診療は専門的な医療知識も必要となります。そのことから可能であれば、当院のように脳神経外科や脳外科を専門とする医師が在籍するクリニックや、それらの領域を専門とする医療施設と連携しているクリニックを選んでいただくのがお勧めです。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1赤ちゃんの頭の変形に詳しいクリニックを受診
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赤ちゃんが月齢3~6ヵ月の頃に「頭の形が気になる」と感じたら、小児科や脳神経外科など、赤ちゃんの頭の形の診療に対応しているクリニックを受診。「向き癖がある」「頭がへこんでいる気がする」「耳の位置が左右で異なる気がする」など、気になったことを医師に伝える。
- 2病的な原因でないか、確認のために検査を受ける
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頭の形のゆがみ具合や、変形の原因が頭蓋骨縫合早期癒合症など病的なものではないかを確認してもらうために、エックス線検査やMRI検査を受ける。同院では、経験豊富な放射線技師による、赤ちゃんへの負担軽減に配慮した質の高いMRI検査を提供している。基本的に赤ちゃんが寝ている間に検査を行うため、鎮静剤を打たずに済むのが特徴だという。
- 3外力が原因だと診断されたらヘルメット治療を開始
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外力による頭の形のゆがみがあり、ヘルメット治療の適応があると診断されたら、3Dスキャンカメラで改めて頭の形のデータを取ってもらう。そのデータをもとにオーダーメイドのヘルメットを作製。10日~2週間ほどで完成するので届き次第、装着方法や治療中の注意点など、詳しい説明を医師から受ける。
- 4月に1度のペースで受診し、経過を診てもらう
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まずは短時間だけ装着し、ヘルメットに慣れさせるところからスタート。少しずつ装着時間を延ばし、最終的に1日23時間、入浴時以外は装着できる状態をめざす。治療開始後は1ヵ月に1度のペースで受診し、あせもなどの皮膚トラブルが起きていないか、3Dスキャンカメラで測定し頭の形がどのように成長しているかを確認してもらう。
- 5目標の状態をめざし、3~6ヵ月治療を続ける
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赤ちゃんの月齢や症状の重症度によって異なるが、目標とする状態をめざして、3~6ヵ月ほどヘルメットの装着を続ける。治療を開始する月齢が早かったり、ゆがみの度合いが小さかったりすると、治療期間が短くなりやすいといわれている。一方、治療開始が月齢7ヵ月以降だったり、ゆがみの度合いが大きかったりすると、治療期間の長期化やヘルメットの作り直しが必要となる可能性があるため、医師と相談しながら治療を続けていく。