関節リウマチの初期症状はどんな痛み?
早期治療で悪化予防を
なごみ整形外科リウマチクリニック
(茨木市/総持寺駅)
最終更新日:2025/05/12


- 保険診療
起床時に指が痛い・曲がらない・こわばるなどの症状はないだろうか。疲れや加齢によるものだと思い放置しがちだが、実はそれらは関節リウマチの初期症状かもしれない。関節リウマチとは本来なら病原菌などを攻撃するはずの免疫が暴走して自分の体を攻撃し、関節・筋肉・骨などに痛みや炎症を起こす疾患のこと。関節リウマチを放置すると関節破壊が進行し治療が難しくなったり、治療がうまくいっても痛みが残ったり、日常生活に影響が出たりする可能性がある。日本整形外科学会整形外科専門医・日本リウマチ学会リウマチ専門医の資格を持つ中谷宏幸先生が院長を務める「なごみ整形外科リウマチクリニック」では、適切な診療と検査により、それらの症状を整形外科的な疾患なのか、リウマチなのか診断し、治療へとつなげている。中谷院長に話を聞いた。
(取材日2025年3月6日)
目次
指のこわばりや、関節の腫れ、痛み。少しでも体調の変化に気づいたら、リウマチを専門とする医師に相談を
- Q関節リウマチの初期症状について教えてください。
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A
▲早期発見・早期治療が大切と話す中谷院長
初期症状として多いのは、手指の関節の痛みや腫れですね。最初は指を曲げ伸ばししたときにだるい痛みを感じる程度だったのが、次第に慢性的な痛みになり、関節が赤く腫れる頃にはズキズキとした強い痛みに変わる場合もあります。また、ごく初期には、朝起きたときに「手が握りにくい」「指が痛い」といったこわばりを感じることも。ただし、健康な人でも、就寝中に長時間手を動かさないことや冷えで関節が固まり、寝起きに動かしづらくなることはよくあります。そのため、朝のこわばり=関節リウマチとは限らないことも知っておいてほしいですね。初期症状はないものの健康診断の血液検査で異常を指摘されて受診される方もいらっしゃいます。
- Q関節リウマチはどのような人がかかりやすいのでしょうか?
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A
▲少しの違和感を我慢しないことが大切
30代~50代で多く見られる疾患で、特に女性がなりやすく、男性の約4倍の患者がいるといわれています。女性に多い理由は、免疫機構が多様なため免疫システムに異常を来しやすいことやホルモンバランスの影響などが考えられています。発症の明確な原因はわかっていませんが、遺伝的要因や喫煙などの生活習慣が関係していると指摘されています。また、近年では60歳以降の高齢者の発症も増加しており、好発年齢の平均が10歳ほど高くなっている印象です。高齢者だからといって軽症とは限らず、痛みや腫れが強く、進行が早いケースも少なくありません。さらに、高齢者はさまざまな合併症を抱えていることも多いので注意が必要です。
- Q関節リウマチは早期発見・早期治療が大切だと聞きました。
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A
▲当日10分ほどで結果がわかる血液検査機器
そうですね。リウマチは関節破壊を抑えなければ進行し続ける可能性の高い病気です。関節の軟骨や骨の破壊は一度起こると元の形に修復困難なので、破壊が起こる前に手を打たないと、手術以外では元に戻すことは期待できません。初期の段階でいかに早く発見して、いかに早く適切な治療を行って、疾患活動性を抑えることにつなげるかが大事。また、リウマチを発症してからいかに早期のうちに薬物治療を始めるかが、予後を大きく左右するため、発症後半年~1年以内に治療を開始することが大切です。罹患後数年たってから治療するより、骨の破壊を防ぐという意味でも治療の反応性という意味でも、早期治療のメリットは大きいです。
- Qこちらで行っている関節リウマチ治療の特徴を教えてください。
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A
▲患者の状況や要望を丁寧に聞き取り、リハビリのプログラムを組む
関節破壊を抑える薬物療法に加え、痛みを和らげるためのブロック療法やリハビリテーションなど、全体的なケアに力を入れていることですね。当院ではブロック療法の薬液を適切な箇所に注入するため、超音波機器を用いたエコーガイド下で行います。関節破壊による機能障害が出ている場合は、リハビリテーションを併用。特に箸やスプーンの使用、服の着脱がうまくできない方には有用です。当院では理学療法士と作業療法士が患者さんから状況や要望を丁寧に聞き取った上で一人ひとりに合ったプログラムを組み、自宅でも運動を続けていただけるよう指導します。時には適切な装具の着用を提案するなど、日常生活のサポートも大事にしています。
- Q関節リウマチの人が気をつけるべきことはありますか?
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A
▲整形外科とリウマチにおいて診療と外科手術の経験豊富な中谷院長
禁煙は必須ですし、日常的にはストレスをためない、睡眠時間をしっかりと取るといった規則正しい生活を送ることが大事ですね。またリウマチの薬は関節破壊を止める目的の薬を使うため、免疫機能が弱い高齢者は感染症にかかりやすくなるというリスクも。中でも、もともと呼吸器疾患のある方に加え、関節リウマチに長く罹患していると肺の疾患を合併している方も多いです。そういう方は感染症リスクが高いといえるので、リスクを踏まえた上で治療選択をしていかなければなりません。また高齢者は、腎機能が悪くなっている方が多いので、使用する薬の判断や容量の制限などを患者さんによって変えていく必要があります。