機能回復から予防まで
患者に合わせたスポーツリハビリテーション
十条整形外科リハビリクリニック
(北区/十条駅)
最終更新日:2023/03/14


- 保険診療
どんなスポーツでも真剣に熱心に取り組んだ結果、けがや故障をしてしまうこともある。特にもっと上へ、と純粋な気持ちで打ち込むほどオーバーユースでけがをしたり、成長期ならではのトレーニングの難しさに悩むことも多い。そんな時、監督やコーチ、トレーナーに相談する一方で、専門的な知識や検査・診断をもとに、けがや故障からの機能回復、能力強化、予防、再発防止といった複合的な観点から、治療だけでなくトレーニング方法なども含めた総合的なリハビリテーションを受けることも有益だろう。経験豊富な医師の診察・診断のもとで、スポーツ経験も豊富な理学療法士や管理栄養士からのアドバイスや指導を受けることができる体制を整える「十条整形外科リハビリクリニック」の村瀬鎭人院長に具体的なスポーツリハビリテーションの話を聞いた。
(取材日2023年2月13日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qスポーツリハビリと一般的なリハビリの違いは何でしょうか?
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A
リハビリとは再び適した状態にしていくこと、本来あるべき状態への回復という定義があります。一般的にスポーツリハビリ、メディカルリハビリと分けて使われることが多いですが、海外では分ける考えがないので、日本でも今後は同義となっていくと思います。メディカルリハビリが日常生活動作を支障なく行えるようにしていき、社会復帰していくことが目的であるのに対して、スポーツリハビリはけがや故障の後の競技復帰・積極的なスポーツ活動への復帰を目的としています。また、より高いパフォーマンスを発揮していくことをめざしたり、再び同様のけがや故障を予防していくことも重要な課題となります。
- Qパフォーマンスの向上に、どのようにつなげていくのでしょうか?
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A
競技やポジションにより痛めやすい部位がありますので、あらかじめその部分を強化しけがや故障の予防を図ったり、重要な部分の強化により高いパフォーマンスの発揮につなげていったりします。最近は幼少期より競技に取り組むお子さんも多くいらっしゃいますが、成長期には気をつけるべき点も多いのです。特に学童から中高大学生期には成長のスピードにもばらつきがありますし、体質も個人ごとに異なります。もともと骨などに構造的な弱点があるならトレーニングにも配慮が必要でしょうし、成長期が過ぎているかどうかも大きく関係してきます。医師の診断のもとで理学療法士と相談し、必要な時に適したリハビリを行うことも大切です。
- Qこちらならではのスポーツリハビリの特徴を教えてください。
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A
医師が常勤しているので適切な診断が行えること、検査技師がいるのでエコーやエックス線などの画像診断を通して視覚的に患者さんに状況をフィードバックできること、医師・理学療法士・管理栄養士などで連携し多角的に患者さんをフォローできることなどが特徴です。医師の診断を基礎に、自身も競技の経験があり精神的にも寄り添える経験豊富な理学療法士が個人ごとに適したリハビリメニューを作成し、家で行う日々のトレーニング方法の相談にも応じ、必要に応じて管理栄養士が栄養面からのサポートも行います。例えばサッカーのオスグッド病や野球肩・肘などは成長期だからこそ。成長期が過ぎているかどうかの判断も医師が行うことができます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1医師による診察
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競技の内容、ポジション、めざす目標、身長や体重が成長途中かどうか、今現在どのようなトレーニングを行っているかなどを聞く。また、痛みが出る場合、どのような動作をしたときなのか、または常に痛みがあるのかどうか、治療やリハビリを行う場合、練習を休んだり練習量を減らしたりできるのかどうか、試合などのスケジュールなどを具体的にヒアリング。練習などに関しては監督やコーチと相談してきてもらうこともあるという。
- 2各種検査を行う
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エックス線検査では骨などに構造的な異常がないか、外傷を負っていないかの確認を行う。肩が内側に向いている、なで肩、股関節の形などが競技によっては弱点になることも。また、エコー(超音波)検査で筋肉の動きに異常がないか、断裂や炎症の症状がないかなどを確認。より細部の確認が必要な場合は外部施設でMRI検査を行うこともある。まれだが内臓疾患が疑われる場合には、血液検査を行う。
- 3診断・治療
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治療に際しては、時間的に治療する余裕があるのかどうかも確認する。ある特定の試合のために人生をかけている場合もあるため、できる限り患者の意思を尊重。100%のパフォーマンスの発揮は難しくてもさまざまな対処をして治療のスケジュールを合わせることもある。治療に際して練習などを休む必要がある場合や特定の練習をやめたり減らす必要がある場合、本人が伝えにくい時は医師からチームや学校へ文書で連絡することも可能。
- 4理学療法士とのリハビリ
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同院のリハビリを担当する理学療法士には、自身が競技に取り組んでいたり、競技チームに帯同したり、トレーナーをしたりしている人物もおり、良き先輩として精神的にも寄り添ってくれる。具体的なリハビリは物理療法よりも運動療法がメイン。まずは機能回復をめざし、回復後は再発予防とさらなるパフォーマンスの向上をめざしていく。理学療法士自身はもちろん、医師も患者のリハビリへのモチベーション維持を意識している。
- 5経過観察・通院サポート
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患者に合わせ経過観察と定期的な通院とリハビリの継続を促す。再発防止のために、日常的に行えるリハビリメニューも伝える。またリハビリの進捗やパフォーマンス向上のために行ったほうが良いリハビリメニューは、状況に応じて変わるため、痛みや問題点の有無にかかわらず定期的な通院やリハビリを勧める。通院間隔は患者ごとに異なる。また栄養の取り方も機能維持やパフォーマンス向上に影響するため、管理栄養士の指導もある。