大高 稔晴 副院長の独自取材記事
あらい和光市駅前 脳外科・神経内科
(和光市/和光市駅)
最終更新日:2025/05/28

和光市駅から徒歩1分。ビルの4階へ上がると、クリニックモールになっており、その一角に「あらい和光市駅前 脳外科・神経内科」がある。待合室はとても広く、リラックスした気持ちで診療が受けられそうだ。頭痛やめまい、しびれといった主訴で来院する患者が多く、予約不要でMRI検査を受けられるのが特徴でもある。同院には、高島平中央総合病院で脳血管障害の手術を行っている荒井信彦院長、大高稔晴副院長をはじめ、脳神経外科と神経内科の各分野で経験を積んだ複数の医師が在籍し、脳卒中、脳動脈瘤、脳腫瘍、パーキンソン病、認知症など幅広い疾患に対応。今回は「患者さんの背後にある不安に向き合うのが重要」と話す大高副院長に話を聞いた。
(取材日2025年3月17日)
検査・診断から提携病院での手術まで一貫して担う
これまでの経歴を教えてください。

日本大学医学部卒業後、脳神経外科に入局し、パーキンソン病をはじめとした疾患を診る機能神経外科に携わっていました。一般的な脳外科の診療をしたいという思いから、明理会中央総合病院などを経て、2022年の当院開院時に非常勤医師として勤務を始め、2025年に副院長に就任しました。当院が連携する高島平中央総合病院には現在も常勤医師として勤めており、血管内治療の手術や、救急で来られた脳出血や脳挫傷の方の治療などを行っています。
クリニックの特徴やコンセプトを教えてください。
地域の患者さんを自宅から近い当院でフォローし、手術や入院管理が必要な場合は提携する高島平中央総合病院で診るという体制です。当院の大きな特徴は、現役で手術を手がけている医師が適切な診断を行い、治療内容を提案できること。患者さんが希望すれば私や荒井院長が手術を担当し、検査から術後の経過観察まで一貫して行うことができます。もちろん大学病院などでの治療を希望される方には、適切な病院を紹介します。また、近年MRIの機能性が向上し、些細な症状でも診断につながるようになりました。当院のMRI検査は予約不要で検査時間が短く、子どもや長時間同じ姿勢でいることが難しい患者さんでも受けやすくなっています。結果をお知らせするのに30分もかかりませんので、気軽に検査を受けられます。そうした点も当院の強みといえるでしょう。
MRI検査では何がわかるのでしょうか?

血管病変や腫瘍性の病変、外傷による頭蓋骨の出血、脳挫傷などがわかります。例えば腫瘍性の病変であれば、このまま外来で経過を見ていい場合と、大規模病院への紹介が必要な場合とがあり、MRI検査を行うことで専門的な判断が可能になります。血管病変も同様で、その日のうちに紹介しなければいけない場合と、クリニックでの内科的な治療によるフォローで十分という場合とがありますので、検査によってその見極めを行います。
先生の得意分野を教えてください。
脳血管障害の他、大学では機能神経外科を担当していたので、パーキンソン病やジストニア、振戦(震え)といった不随意運動疾患を診ることができます。また私自身が趣味でキックボクシングをしており、サッカーやラグビー、アメリカンフットボール、格闘技などをされている方々からの脳震盪や頭部外傷などの相談にも応じています。また小児の脳神経外科の経験もありますので、診断した上で適切な病院を紹介することができます。
スポーツ頭部外傷や機能神経外科、生活習慣病にも対応
どのような悩みで来られる患者さんが多いですか?

頭部外傷や頭痛、めまい、しびれなど、脳血管や脳神経の疾患が疑われる患者さんは年齢を問わず来られます。他に物忘れなどがあり認知症を心配される方や、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の治療・予防などで来られる方もいます。スポーツ頭部外傷で来られる方は、競技の継続が可能なのか、あるいはどのくらいの期間でどんな状態になれば競技に復帰できるのかという相談が多いですね。判断のために精密検査が必要な場合には、しかるべき医療機関に紹介しています。
こちらには複数のドクターがいらっしゃると聞きました。
荒井院長と私の他に、非常勤医師として、友成悠邦先生と花岡謙先生がいます。友成先生は救急科と総合内科の分野を専門とし、頭部外傷や脳卒中をはじめとした脳血管障害の他に生活習慣病など全身を診ることができます。しびれやめまいなどは通常の脳神経外科・神経内科の検査や診療では診断できない疾患が隠れていることがあり、その場合は総合内科の観点から診断する必要があります。花岡先生は神経内科を専門とし、パーキンソン病などの変性疾患を得意としている他、神経内科の観点から脳血管障害を診ています。このように各分野に精通した医師が互いに相談したりディスカッションしたりしながら診療できることも当院の大きな強みです。
生活習慣病は脳の疾患とも関係があるのですね。

脳動脈瘤ができる原因の一つは、高血圧症や生活習慣病が引き起こす動脈硬化といわれていて、最近のMRI検査では未破裂の脳動脈瘤が発見されることが多くなっており、それに対するフォローも当院で行っています。脳動脈瘤を放っておくと、破裂してくも膜下出血が起こる可能性がありますので、検査で早期発見することが重要です。また高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病が、血管の病気を引き起こすことがあります。血圧が高いと血管に負担がかかり脳梗塞の原因になったり、脂質異常症の影響で血管の内側にたまる脂肪分の塊が血管を詰まらせる要因になったりします。生活習慣病は脳血管障害と密接な関係性があるのです。
生活習慣病を防ぐために、患者さんにどんなアドバイスをしていますか?
当然ですが、生活習慣病の予防には、やはり生活習慣の改善が大事。バランス良く3食しっかり食べる、適度な運動をする、タバコは吸わないほうがいい、お酒は控えめに、といった基本的なことですね。加えて、定期的に受診していただき、血圧のチェックや血液検査を受けてもらえると良いと思います。
クリニックの務めは患者を深く知り不安を取り除くこと
他にも特徴的な治療はありますか?

赤ちゃんの頭のゆがみを改善を図るための「ヘルメット治療」を荒井院長が行っています。これは頭の形が左右非対称だと将来的に顎関節症や咬合不全のリスクがあるため、ヘルメットの装着により自然な頭の形になるよう頭蓋骨の成長を誘導し、変形を矯正するための治療です。生後3~6ヵ月の間に治療を開始し、月1回の外来受診を約半年間続けることで、ゆがみの改善が期待できます。治療前のエックス線検査で、頭蓋骨縫合が通常よりも早く癒合し頭の形が変形する頭蓋骨縫合早期癒合症が判明した場合は、この分野を得意とする慶應義塾大学病院と連携して治療を進めます。
診療で大切にされていることは何でしょうか?
患者さんの背景にある内在的論理は何なのだろうということを考える、つまり、患者さんのことを深く知るということを大切にしています。例えば頭痛で来られた患者さんが、実はメンタルの不調によって頭痛が引き起こされているといったケースもあり得ます。また、ケガをした格闘家の患者さんが、「もう試合に出てはいけない」とドクターストップがかかり、絶望を感じて当院に来られるようなことが仮にあったとして、「試合に出られないのが不安」という患者さんの気持ちをくみ取ることができれば、「どうして試合に出られなくなったのか」「逆にこういうことをきちんとすれば、試合に出られるチャンスが生まれるのでは」という情報を伝えることができると思うのです。脳神経外科の観点だけから診るのではなく、患者さんの背景にある本当の原因を突き止め、患者さんに寄り添うことができるのはクリニックならではの役割ではないかと思っています。
今後の展望やメッセージを聞かせてください。

日本脳神経外科学会脳神経外科専門医として適切な診断とより良い治療を提供し、地域医療活性化の一助になりたいと強く思っています。病気の再発や発症そのものを減らすことが最終目標です。月・水・木曜日は20時まで、土・日曜日は18時まで診療していますので、仕事などで忙しい方も気軽に来院いただけるのではないでしょうか。脳のことで不安を感じたり、健康診断で数値にチェックがついたりしたら、ぜひご相談ください。また、以前と比べて、家庭環境や人間関係などさまざまな悩みを抱えている方々が増えている印象です。当院は脳に関する疾患の検査や診断、治療などを行う他、適切な病院を適宜紹介するクリニックではありますが、将来的にはメンタルヘルスケアを含めた対応もできればと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とはヘルメット治療/39万6000円(税込み/再診時は都度再診療5500円がかかります)※詳細はクリニックにお問い合わせください