保険診療と自費診療はどう違うのか
治療方法は自分で見極めよう
天満コンセプトP歯科
(大阪市北区/天満駅)
最終更新日:2023/01/05
- 保険診療
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どの医療機関でも原則として同じ治療が提供され、費用面でもサポートがある保険診療。特に歯科診療では、日常的な治療の大半を保険診療で受ける人も多いだろう。このため必要な医療費をすべて患者自身で負担する自費診療は「見た目にこだわる治療で必要」「一部の富裕層だけのもの」などと思われがちだ。しかし「天満コンセプトP歯科」の末松亮院長は「両者の違いをよく知って、自身の健康のためにも自分が受けたい医療を納得の上で選んでほしい」と訴える。全身の健康との関わりが深く、過酷な環境といえる口腔内だからこそ「機能面や劣化の少ない治療を自費診療も含めて検討することが大切」なのだという。そこで末松院長に、保険診療と自費診療の違いや、患者が治療を選ぶ際のポイントについて、わかりやすく解説してもらった。
(取材日2022年11月17日)
目次
健康寿命に直結するのが歯の健康、保険・自費にとらわれず、口腔機能を維持できる治療を選ぶことが重要
- Q保険診療の特徴を教えてください。
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A
基本的には日常的な病気に一通り対応が可能で、保険点数によって処置が定められていますので、どこの医院でも同じような治療を受けられます。費用を抑えて診療を受けられるというメリットもあり、言わばファストフードのような身近な存在だと言えるのではないでしょうか。ただ窓口で3割負担となると、実際にかかっている治療費の総額はあまり実感しにくいかもしれません。3割負担の方が窓口で3000円を支払った場合、実際の治療費は1万円ほどかかっています。一方でデメリットとしては、病気にならないと治療が受けられないため予防ができないという点です。また、審美性は担保されておらず比較的長持ちしにくいという点もあります。
- Qでは、自費診療の特徴は?
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A
内容に制限がなく、予防も含めて各院がより良い診療内容を厳選し、費用はすべて患者さんが担う診療です。自費診療では質の高い材料を用いることができ、かぶせ物などを作る歯科技工士や歯科衛生士と歯科医師の腕も大きく影響してきます。見た目だけでなく、機能面でも治療後の状態が長期間安定しやすいよう配慮されており、再治療の回数を減らすことが期待できます。言わば予約して訪れる、コース料理がでてくるレストランのようなもので、手間暇かけて料理人が腕をふるった料理を時間をかけて楽しむイメージです。高価に感じ、敷居は高いかもしれませんが、費用や時間、手間をかけた治療で、そこに価値があると思った人が選択するものです。
- Qどちらを選べば良いのか迷ってしまいます。
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A
それぞれ異なる特徴があり、同じ症状でも患者さんの状況でどちらを選ぶか変わることも。どちらが良いかではなく、どのような治療を受けたいのか、患者さんご自身で考えて決めることが大切です。歯は財布やかばんのように何度も新しく買い替えることはできませんし、毎日使い続けないといけないものなので、機能面での治療、つまり歯が長持ちする治療を優先してほしいとも思います。お口の中は細菌が繁殖しやすく常に力がかかる、全身でも特に劣悪な環境です。なので、劣化しやすく再治療にもなりやすい。だからこそ、なるべく劣化しにくい素材を選ぶのが歯科の世界では標準です。さまざまな選択肢を知った上でベストな治療を選ぶことが大切です。
- Qこちらでは患者さんにどのようにご提案されるのですか?
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A
当院では同意が得られたすべての患者さんを対象に、初診時にお口の中全体の検査を行い、再診時には1時間かけてカウンセリングを行います。カウンセリングでは画像やスライドを見ながら現在のお口の中の状態をお伝えし、歯の重要性、お口の健康と全身の健康のつながり、歯を失う原因について、保険診療と自費診療の違い、さまざまな治療選択肢、さらには治療後のメインテナンスの重要性までしっかり説明します。おそらく、これほど時間をかけて説明する歯科医院はほとんどないと思います。多くの情報をお伝えするのは納得して治療に取り組んでいただきたいからです。そして、患者さんの歯に対する価値観が変わるきっかけになればと願っています。
- Q来院される患者さんへメッセージをお願いします。
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A
当院は患者さんが納得して選んだ治療であれば、保険・自費を問わず全力で取り組みます。ただ、日本人は歯が生涯の健康を左右することを知らなかったり、歯の治療を軽視しがちであることが気がかりです。お口の健康が損なわれれば全身の健康も損なわれていきます。現代では健康寿命に関心が高まっていますが、最期まで自分の口から食べて噛んで飲み込む、誤嚥性肺炎を防ぐ、また転倒を防ぐ上でも歯は欠かせません。少子高齢化が進み、国の財政が厳しい今、自分の健康は自分で守らざるを得ません。「歯を長く使い続ける」ことは「全身の健康を維持する」ことにつながる、この点を意識しながら、ご自身の治療方法を考えてほしいと願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/7万7000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。