子どもが早熟、太りすぎと感じたら
思春期早発症と肥満の治療
子どもの成長・糖尿病 上西のびしろクリニック
(春日井市/勝川駅)
最終更新日:2022/12/02
- 保険診療
食事が欧米化し、肥満は大人だけの問題ではなくなっている。菓子が手放せなかったり、おなかが出てきたりすると、「うちの子、太りすぎかも?」と感じることもあるだろう。「大人と違って子どもは日々成長しているので、身長が伸びている時に治療すれば早く改善をめざせます」と教えてくれたのは、「子どもの成長・糖尿病 上西のびしろクリニック」の圓若かおり院長。肥満は、膨らんだ脂肪細胞から出る物質により思春期を早める可能性もある。そんな悩みに寄り添った診療をしている圓若先生に、子どもの体の早熟や小児肥満について、話を聞いた。
(取材日2022年10月31日)
目次
子どもが太っていたり、体が早熟だったりという成長の悩みは、心の問題になる前に早めに相談を
- Q思春期早発症とはどのような病気なのでしょうか?
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A
思春期とは、男の子は男性らしく、女の子は女性らしく体が変化し、著しい身長の伸びを認める時期を指しています。この思春期が何をきっかけにして始まるかは、現在でもまだ明確になっていませんが、性ホルモンが分泌されることによって、性差がはっきりしてきます。通常、女の子は10歳頃、男の子は12歳頃よりはっきりしますが、それが2~3年ほど早く始まってしまうのが、思春期早発症です。主な症状として、男子は10歳までに陰毛が生える、11歳までに脇毛やひげが生えたり、変声が見られる、女子は7歳6ヵ月までに乳房が膨らみ始める、8歳までに陰毛、脇毛が生える、10歳6ヵ月までに生理が始まるなどです。
- Q思春期早発症の検査の流れ、治療法を教えてください。
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A
検査は、血液検査と骨成熟を評価するための手のエックス線撮影を行います。治療に関しては、思春期の成長をゆっくりにするための注射を定期的に打ちます。定期的な通院で大事なのが、経過を見ること。例えば、小学3年生で乳房が膨らんでも、5年生になって生理が始まるようならいいのですが、胸が膨らみ始めてすぐに生理も始まってしまったのであれば、治療が必要です。そのお子さんによって診る頻度も変わってきますが、3~4年ぐらい通院するお子さんもいます。思春期早発症では、早期に体が完成してしまうため、一時的に身長が伸びた後、小柄のままで身長が止まってしまうこともあるので、定期的に成長具合を診ていく必要があります。
- Q子どもが太っていると肥満といえるのでしょうか?
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A
小児肥満の指標となる標準体重があり、その離れ具合から肥満度を割り出します。肥満度が少なければ、問診から問題点を探して生活習慣のアドバイスなどで改善をめざします。肥満度によってどの程度、治療をするべきかを判定するわけですが、肥満度が20%を超えると肥満という診療になり、治療の介入が必要になります。肥満によって発生する健康障害、例えば高血圧、睡眠時無呼吸症候群、空腹時血糖障害、2型糖尿病などが隠れていることもあるので、確認をしなければいけません。確認後に運動や栄養の指導が必要になってきます。
- Q肥満はどのような時に受診を検討すれば良いでしょうか?
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A
学校健診で要受診の通知を受け取って、来院される人が多いです。もちろん、体重が増えたとかおなかが出ているとかの見た目で心配になった方もたくさんいらっしゃっていますので、受診してもらっても構いません。当院では、小児の糖尿病の治療も行っており、管理栄養士も複数在籍してますので、継続した治療が可能です。万が一、糖尿病を合併していれば、早めの治療が必要なので、保護者の方が気になったら、早めに受診してください。
- Q肥満は改善がめざせますか?
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A
身長が伸びている時期に治療を始めると、早めに肥満の改善がめざせます。背が伸びると標準体重値も増えるので、体重が増えないよう維持するだけで、肥満度が下がっていくのです。家庭での食事については、取り過ぎていた分を減らすようにするだけで、大人のように減量などはしません。適切なエネルギーやタンパク質などの栄養素を摂取しながら過多になっている部分を減らすだけです。お菓子をダラダラ食べるのではなく、メリハリをつけて食べる時間を決めたり、時間をかけてゆっくり噛んで食事をしたりすることを心がけるだけでも、肥満度を下げることにつながります。