圓若 かおり 院長の独自取材記事
子どもの成長・糖尿病 上西のびしろクリニック
(春日井市/勝川駅)
最終更新日:2022/12/02
「子どもの成長・糖尿病 上西のびしろクリニック」は、子どもの成長に寄り添いつつ、のびしろを広げるような医療をめざして2022年3月に開業。JR中央本線・勝川駅の目の前の医療ビル4階にあり、処置室の大きな窓からは行き交う電車がよく見える。院内はカフェのような温かみのある空間。糖尿病、低身長症、遺伝性疾患など専門性の高い医療を得意としつつ、咳や発熱、腹痛などの一般的な体調不良時の対応や、予防接種、定期健診を含めた小児科全般の診療を行う。「どんな些細なことも相談してほしい」と話す圓若(まるわか)かおり院長は、明るく気さくなドクター。3児の母でもあり、親子に寄り添った診察をしている。夏休みには家族でキャンプに行くことが楽しみという元気いっぱいの圓若院長に、クリニックの特徴やこだわりについて聞いた。
(取材日2022年10月31日)
専門家として子どもの「のびしろ」を伸ばす手伝いを
特徴的な名前のクリニックですね。コンセプトについて教えてください。
「うちの子は他の子より発育が遅い」とか、「小学校低学年なのにもう胸が膨らんできた」など、子どもの成長の遅い早いは親御さんにとって大きな心配事ですよね。そんな子どもの成長に対して、悩みを話せる身近な専門家でありたいと考えています。医師としてのアドバイスを通じて、子どもの「のびしろ」を伸ばすお手伝いをするというのがコンセプトです。低身長をきっかけに、その背景にある病気の発見につながることもあるんですよ。身長を伸ばすための内科的治療ができる時期は限られているため、早めの相談が治療の鍵となります。そして小児一般のことも相談してほしいですね。例えば発達障害の患者さんが児童精神科の先生に診てもらいたいと思っても、専門家がいるような大きな病院をすぐに受診するのは難しいこともあるでしょう。ですから、当院で情報を提供しながら、必要に応じて専門的な医療につなぐハブとしての役割も果たしていきたいと思っています。
どのようなことを相談できるでしょうか?
子どもの成長や育児に関することは、どんな些細なことでもいいのでぜひご相談下さい。風邪症状や発熱、腹痛やアレルギーなどの一般的な体調不良時はもちろん、低身長・肥満・思春期早発や遅発などの成長・発達に関するお悩みも遠慮なくご相談下さい。また、小児の糖尿病、甲状腺疾患、遺伝性疾患などの専門性の高い疾患に対しても、専門家としてのこれまでの経験を生かした診療をしています。私自身も3児の母なので、同じ母親として共感したり、先輩ママの視点でアドバイスしたりと、一緒に子育てする感覚で寄り添っていきたいと思っています。遠慮なく何でも相談してもらえたらうれしいです。
専門性の高い医療はどこで経験を積まれたのですか?
あいち小児保健医療総合センターの内分泌代謝科に勤めた後、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院の小児・臨床遺伝診療科で研鑽を積みました。新生児集中治療室(NICU)に長くいたので、小児内分泌疾患や遺伝性疾患、染色体疾患のお子さんを診ることが多く、10年以上にわたりNICUでお子さんの診療を行っていました。NICUではご両親との信頼関係が深まりやすいので、退院後の外来でも「一緒に頑張っていきましょう」という気持ちが自然と生まれてきます。ただ、大きな病院では頻繁に外来で診るというわけにはいかず、中学生や高校生になった患者さんがいつでも相談に来られるような場所をつくりたいと考えるようになりました。より患者さんに近い場所に根差して診ていきたいという思いが、開業を考えるきっかけになったと思います。
同じ志を持つ仲間を得て、めざす医療を追求
高校の同級生とのご縁もあって開業されたそうですね。
勤務医をしながら将来を考えていた頃、高校の同級生だった上西栄太先生が、「糖尿病・甲状腺 上西内科」を開業し、めざす医療に打ち込んでいました。同じ専門領域だったこともあり見学に行き、自分がやりたいと思っている医療について話をしたところ、「開業したらいい。どうせなら一緒にやりますか?」と背中を押してくれたんです。トントン拍子に話が進み、当院を分院として開業することになりました。上西先生が開業する時にサポート役として活躍し、今は上西先生のクリニックで院長代理を務めている方も同じく高校の同級生だったことから、私の開業前には何度も3人でざっくばらんにディスカッションをしたことを思い出します。それぞれに熱い思いを持ち、どんな医療をめざしたいのかをとことん語り合い、このクリニックのコンセプトが決まりました。同級生だからこそ思ったことを話せて、めざす医療への結束力も強まったと思います。
内装にもこだわりが感じられます。
医療者と患者、両方の立場から、3人で意見を出し合ったこだわりが詰まっています。高校生ぐらいまでが診療対象となるので、思春期の患者さんでも待合室にいて恥ずかしくない空間をめざしました。小児科というと、どうしても幼児が好きなキャラクターがたくさんあり、おもちゃも置いてあるので、中高生にはちょっと恥ずかしくて居心地も悪いのではないかと思うのです。そこでカフェのような心地良い空間で、キッズスペースにはおもちゃより、壁に大きな黒板を設置してお絵かきを楽しんでもらえるようにしました。子どもたちにもとても好評です。また、小さいお子さんがお絵かきをしたり窓から電車を眺めたりして遊ぶ姿を見ながら、パパとママにもゆったりと休んでほしいなと思い、そうした点にもこだわりました。ソファはビニール製なら拭き掃除も手軽ですが温かみがないので、消毒で拭くこともできる布張りのゆったりしたものを選んでいます。
本院と連携して診療することもありますか?
先ほどふれたように、当院で診療できるのは高校生ぐらいまで。それ以上の年齢になった糖尿病などの慢性疾患がある患者さんは、本院で診てもらっています。開業前に抱いていた「小さい頃から診てきた患者さんの成長をずっと見守りたい」という思いを上西先生に託せるので心強いですね。子どもたちが成長した姿を一目でいいから見たいといつも思っているので、当院を卒業した患者さんたちと本院で同窓会のように集えたらいいなと想像を膨らませています。
子育て中の親の力になれるクリニックでありたい
診察で心がけていることはありますか?
子どもは、たとえ0歳児でも、お母さんの感情の機微をちゃんと理解しています。ですから、幼児であろうとも子ども扱いをせず、常に個として接することを心がけています。話も、お母さんよりも子どもからできるだけたくさん聞くようにしていますね。ただ、例えば思春期のお子さんの場合、現状について低身長や肥満という言葉でいきなり伝えたくないというお母さんもいらっしゃるので、そこはこまやかに配慮したいと思っています。医師である私が言葉にするとどうしても重くなってしまうので、まずは検診という形にして診察するなど考えながら対応したいですね。親御さんがどうしたいのか、医療面ではどうすべきなのか、両面の視点を大事にしながら診察をしています。
スタッフの方々についてもお聞きしたいです。
スタッフも私の診療方針をしっかり理解して、臨機応変にきめ細かな接し方を心がけてくれていますね。患者さんがどうしたいのか丁寧にくみ取った上で、私に伝えてくれるので助かります。また、管理栄養士も複数在籍しており、栄養相談をはじめ、食育や、簡単でありながら栄養のあるレシピの提案など、栄養面でも丁寧なサポートをしています。クリニック全体で患者さん親子のためにサポートしていきたいですね。
今後の展望をお聞かせください。
もともと何でもやってみたい性格なので、親御さんたちのために子育て支援講座や離乳食教室、交流会などを企画してきました。医療の提供に加え、こうした集いの場も定期的に開催していくことが今後の目標です。交流会では郊外に出かけ、親子でヨガやウォーキングをして楽しく過ごすことを目的としています。私も気分転換のために親子で参加しているんですよ。SNSでも情報発信しているので気軽に参加いただけたらと思います。私自身、仕事と子育ての両立で行き詰まることが多々あり、昭和の根性論で何とか乗り切ろうとしていたこともありました。でも今では、お母さんといえども肩の力を抜いて休むことも必要だと思っています。最近は子どもを預かってくれる場所もあるので、できるだけ活用してほしいですね。お子さんの成長をともに見守っていくクリニックとして、気になることは何でもご相談ください。