苦痛の少ない胃内視鏡検査
高性能カメラで小さな異常も発見
神楽坂消化器内科・内視鏡クリニック
(新宿区/飯田橋駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
胃がんの早期発見のために行うのが「胃(上部消化管)内視鏡検査」だ。胃がんには初期症状がほとんどなく、貧血や胃の不快感が出る頃には進行した状態だという。「神楽坂消化器内科・内視鏡クリニック」の青木勇樹院長は、常に「自分の家族の検査をしている」という気持ちで検査に臨んでいる。ズーム機能がついた高性能カメラと、胃の表面までくっきりと映し出す技術で、小さな異常も見逃さないよう注力。「医師の責任感と姿勢が、検査の精度に大きく影響します」と話す青木院長に、胃がんになる原因や検査時の工夫について話を聞いた。
(取材日2021年5月19日)
目次
胃内視鏡検査で胃がんの早期発見へ。高性能カメラと医師の熱意で、小さな異常も発見
- Q胃がんになる原因・リスク因子は何でしょうか?
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A
胃がんの原因は塩分の多い食事や喫煙などもありますが、多くは「ピロリ菌」です。幼少期に井戸水などを接取して、体内に入るケースが以前は多かったと考えられます。衛生環境が良くなった現在は、親がお子さんへ離乳食を噛んで与えることなどが原因の一つと思われますね。子どもの胃の中は酸性濃度が低く、ピロリ菌が生き続けやすい環境です。除菌をしない限り自然に排泄されることはまれといえます。またピロリ菌を除菌すると胃がんのリスクは下がりますが、ゼロにはなりません。大人になり健康診断でピロリ菌を指摘され、除菌後の経過観察で胃がんが発見されるケースもあるんですよ。
- Q胃がんの初期症状について教えてください。
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A
ピロリ菌が体内に長くとどまると粘膜障害や慢性的な胃炎を起こし、進行すると胃がんを引き起こしかねません。ですが胃がんには初期症状がほぼないのが怖いところ。数ミリのがんがある程度では、痛みも違和感も覚えないでしょう。がんが大きくなると貧血や胃の不快感が起こりますが、その頃には悪化した状態といえます。逆流性食道炎や軽い胃炎と思い込み放置してしまうと、胃がんは悪化するばかりです。
- Q検査はどのように行われるのでしょうか?
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A
嘔吐反射が起こらないよう事前に麻酔をして、内視鏡にて食道・胃・十二指腸を観察します。疑わしい発赤や潰瘍が見つかった場合は、「生検」といって詳しく調べるための組織検査を行います。組織を採取して顕微鏡で確認し、良性か悪性かを判断するのです。組織の採取には内視鏡の先から出る鉗子を使うので体への負担は少なく、時間もかかりません。組織を採取した場合は10日間程度で検査結果が出ます。
- Q検査の苦痛を軽減するために工夫していることはありますか?
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A
当院では上下合わせて6本の内視鏡を取りそろえており、太さや硬さもさまざまです。患者さんの症状や目的により使いわけ、できるだけ不安や苦痛を感じにくいものを選びます。内視鏡室の照明はブルーライトを採用しています。モニターが見やすく病変を発見しやすくなる利点や、患者さんにはリラックス効果を与えます。患者さんが不安を感じないよう、検査中のお声がけも心がけています。今カメラがどこにあって何を診ているのかを伝えながら進めています。また当院の内視鏡システムはモニターと連動していますので、検査を受けながら患部をリアルタイムで確認できます。
- Qどこのクリニックで受けても検査の精度は同じでしょうか?
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A
まずは検査機器によって差が出ます。内視鏡もさまざまで、画像の粗さやカメラの性能によって確認できる程度が変わるからです。ですがそれ以上に、医師の「小さな異常も見逃さない」という気持ちが何より大切だと思っています。違和感があっても「大丈夫だろう」と放置しては、性能の良い内視鏡も意味がありません。胃がんは悪化すれば命に関わりますから、診断によって患者さんの人生が変わるかもしれないのです。医師の責任感と姿勢が、検査の精度と早期発見につながるのだと思います。