星野 敏彦 院長の独自取材記事
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック
(大田区/大森駅)
最終更新日:2024/11/27

大森駅東口から徒歩2分の商業ビル6階に「大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック」はある。その名のとおり、消化器疾患、肛門疾患、内視鏡検査に力を入れているクリニックだ。2024年4月に2代目院長に就任した星野敏彦先生。消化器外科を専門とし数多くの手術に携わりながら、千葉大学医学部の関連病院では長年にわたって内視鏡検査にも従事してきた。東葛辻仲病院で研鑽を積んだ肛門超音波検査や肛門手術も得意とするところだ。初代院長の「精度の高い内視鏡検査をより多くの人に」という願いもそのまま受け継ぎ、さまざまな工夫を重ねる。やわらかな声で誠実に答えてくれた星野先生に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2024年9月18日)
待ち時間を減らして、内視鏡検査をもっと身近に
まず、こちらのクリニックの特色について教えてください。

当院の特色は大きく分けて3つあります。まず、胃や大腸の病変の早期発見・早期治療を目標とする内視鏡検査クリニックであるという点。大学病院などに勤務する精鋭が集い、患者さんの苦痛に配慮しながら、がんなどの大事に至らないよう日々尽力しています。加えて、地域のクリニックとして生活習慣病をはじめとした幅広い疾患に対応しているという点。どのような症状でも初期対応をして、必要があれば適切な医療機関に速やかに紹介しています。3つ目は、肛門の専門的な検査と治療ができる点です。私の入職を機会に、新たに肛門超音波検査も始めました。これらすべてを、できるだけ待ち時間がないように提供しているのも特徴的といえるでしょう。
スムーズな受診のためにどのような工夫をされていますか。
患者さんは20〜30代の方が多いので、仕事や育児に忙しい世代でも受診しやすいようにしたいと考えています。例えば、診療開始は朝7時30分とし、胃内視鏡検査は出勤前に受けていただけるようにしました。大腸内視鏡検査も午前中から行っています。もちろん、胃・大腸内視鏡検査ともに土日祝日の検査も可能です。その他、24時間ウェブ予約システムも導入。事前ウェブ問診も行っているので、患者さんが院内で症状、既往歴、服用薬、生活習慣などをあらためて説明する必要はありません。若い世代は、「ゆっくり話を聞いてほしい」というよりも、「パッと行ってパッと帰りたい」と望む方が多いと感じています。これからも、ITを活用して合理化していきたいですね。
こちらの柱である内視鏡検査について詳しく伺えますか。

胃カメラ、大腸カメラともに特殊光モードを搭載した先進の機器を導入し、従来の光源では見逃していた病変も発見につなげられるようになりました。クリニックでの導入例はまだ少ないと思います。胃内視鏡検査は経鼻または鎮静下での経口内視鏡を選択できます。大腸内視鏡検査も鎮静下で行いますが、胃カメラや鼻チューブから下剤を入れることも可能なので、下剤を飲むのが苦手な方もご安心ください。一方、院内での下剤服用を希望する方のためには、85平米という広さを生かして9つの個室と5つのトイレも作りました。各個室には電源やUSBコンセント、無線LANを導入しました。胃・大腸大腸内視鏡検査の同日実施など、何種類かのプランもあるので、ご都合に合わせてご活用ください。
肛門超音波検査と痔の日帰り手術にも強み
新たに始めた肛門超音波検査では、どのようなことがわかるのでしょうか。

肛門診察は触診と肛門鏡による視診が一般的ですが、肛門の奥にある膿、周辺臓器の脱出の有無などを見逃してしまうこともあります。それを補うのが肛門超音波検査です。例えば、膿瘍や痔ろうの発見は肛門超音波検査が得意としているところです。これらは肛門の奥深くにあると、皮膚に変色もないため、患者さんがどんなに痛がっていてもなかなか気づかれません。しかし、そのままにしていると悪化してがんになってしまうケースもあるので注意が必要です。またクローン病由来の肛門病変も見つけにくいのですが、肛門超音波検査は診断の助けになることが多いです。原因不明のお尻の痛みに悩んでいるならば、できるだけ早く受診するようにしてください。
痔ろうの日帰り手術も行っているそうですね。
痔ろうの手術は1週間以上の入院が必要といわれることもあり、「そんなに仕事は休めない」とお困りの方もいらっしゃると思います。しかし、私どもは経験を積む中で、日帰りでも施行できる症例がかなりあることがわかってきました。恐らく、今後は痔ろうの日帰り手術は一般化していくでしょう。当院では早くから実施していますので、忙しい方もぜひ活用していただきたいと思います。
そうとはいっても、お尻の相談は気恥ずかしさもあります。

便秘による裂肛、出産や加齢による骨盤臓器脱、便失禁などに悩む女性も多いので、診察には必ず女性スタッフがつくなどの配慮もしています。カーテンを配置するなどプライバシーも大事にしているので、症状が進行してしまう前にぜひ受診してください。
内視鏡検査と肛門診療。2つの強みを身につけられたご経歴をお聞かせください。
私は消化器外科が専門で、千葉大学の関連病院で10年ほど研鑽を積みました。もちろん手術も行いましたが、内視鏡の研究室で内視鏡診断治療も一貫して行い、博士号も内視鏡のテーマで取りました。出張病院には消化器内科医がいない場合も多く、内視鏡検査も任されることが多くありました。埼玉県立がんセンターの内視鏡科でも診断治療を行いました。一方、肛門超音波検査と肛門手術の研鑽を積んだのは大腸肛門病診療を得意とする辻仲病院でした。大腸疾患と肛門疾患は関連性も高いので、いずれも専門的にカバーできるのは強みだと自負しています。
栄養指導にも注力して患者の健康を守りたい
栄養指導にもより力を入れるようになったそうですね。

栄養指導にあたる管理栄養士などのチームは、増員して5人体制になりました。心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患リスクを高めるといわれている糖尿病、高血圧症、脂質異常症。これらの生活習慣病の改善をめざすには、塩分や脂質の制限が鍵になります。当院の栄養指導では患者さんのライフスタイルに応じて無理なく続けられる食事内容や調理法を提案。1食の献立だけではなく数日単位の栄養バランスまで考慮して、きめ細かな食事指導やアドバイスを行っています。毎日の食事を見直すことで、健康寿命を延ばすためのお手伝いをさせていただければ幸いです。
今後の展望についてお聞かせください。
消化器外科を専門とする医師として、数多くのがんの手術も担当してきました。消化管を切ることは患者さんにとって本当に大変なことです。だからこそ、胃がん・大腸がんになる人をなくしたいと心から思っています。そのためには、「内視鏡検査を受けていない」「内視鏡検査を受けたくない」という人をどうにかしてなくさなければいけません。今後もIT技術を活用しながら診療システムを拡充し、より快適に受診していただける体制を整えていきたいです。さらに、内視鏡検査の審査診断サポートとしてAIの導入なども視野に入れています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

大腸がんも大腸ポリープもこれといった症状がないまま進行します。大腸がんの発症リスクが高くなる40歳を過ぎたら、一度は大腸内視鏡検査を受けてほしいです。ポリープが見つかった場合は、検査と同時にさまざまな手法を用いて切除を図っています。ポリープを切除した次の年は、再度検査を受けるようにしましょう。何も病変がなくても2〜3年に1度は検査を受けることをお勧めします。また、「お尻の辺りに違和感がある」といった場合も、遠慮なくご相談ください。肛門の痛みや不快感は、肛門だけではなく肛門周辺の疾患のシグナルであることもあり得ます。おなかでもお尻でも「どこに相談したらいいかわからない」という小さな悩みこそ、当院に気軽に足を運んでいただければと思っています。