スキンケアで肌のバリア機能を保ち
アレルギーから赤ちゃんを守る
平沼橋こどもみらいクリニック
(横浜市西区/平沼橋駅)
最終更新日:2022/07/06
- 保険診療
人間の肌には、体を外敵から守るという大切な役割がある。しかしバリア機能が弱まると、抗原やウイルスが荒れた肌から体内に入り込んでしまう。日本小児科学会小児科専門医と日本アレルギー学会アレルギー専門医の資格を持つ「平沼橋こどもみらいクリニック」の金子裕貴院長は、小児科とアレルギー疾患の専門家として、赤ちゃんのアレルギー発症を防ぐため、スキンケアの大切さを患者にも伝えている。特に力を入れているのはホームケアのアドバイスだ。「保湿の薬は適切な量を正しく使うことがポイント。少ない量では効果も見込めません」と話す。診療では、入浴からスキンケアの工程を一つ一つ丁寧に説明し、無理なく続けられるよう薬の処方にも工夫を凝らしている金子院長に、赤ちゃんのスキンケアとアレルギーの関係性について話を聞いた。
(取材日2021年12月22日)
目次
正しい薬の使い方で、赤ちゃんの肌のバリア機能を保つ。アレルギーの予防にもつながるスキンケア
- Q赤ちゃんのスキンケアの目的を教えてください。
-
A
スキンケアの目的は皮膚を清潔に保つこと、それによりバリア機能を正常に保つことです。まずは入浴時の石鹸の選び方や使い方を見直してみましょう。ゴシゴシと肌にこすりつけるのではなく、泡と指の力で優しく洗います。しわの部分もしっかり洗うこと、そして十分にすすぐことも大切です。入浴後は適切な量の薬を正しい方法で使います。赤ちゃんはご自分では入浴もスキンケアもできませんから、親御さんの協力が不可欠です。当院ではご自宅で実践できるよう、一つ一つの工程を丁寧にお伝えしています。
- Qどのような赤ちゃんの肌にスキンケアが必要なのでしょうか?
-
A
肌のバリア機能を保つことは、アレルギーの発症を予防することにつながります。特にご家族にアレルギーや喘息の症状が見られる場合、その体質が赤ちゃんにも受け継がれている可能性が高いです。生まれてご自宅で過ごすようになったら、スキンケアを始めてください。ご家族のどなたにもアレルギー症状が出なくても、生まれつきドライスキンの赤ちゃんもいます。乾燥も肌のバリア機能を壊す要因の一つですので、その場合もやはり早めにスキンケアを始めてほしいですね。
- Q赤ちゃんのスキンケアとアレルギーには関係があるのですね。
-
A
そのとおりです。湿疹やドライスキンで肌のバリア機能が弱まると、皮膚を通して体の中に異物が入ってしまいます。近年、食物アレルギーの発症原因について、口からの摂取だけではなく、皮膚へのアレルギー物質の付着が注目されるようになりました。ダニ・ハウスダスト・小麦粉といった空気中に含まれるような微細な抗原が荒れた皮膚から体内に入り込み、これらが赤ちゃんのアレルギーを引き起こすのです。「アレルギーマーチ」という言葉があるように、食物アレルギー・アレルギー性鼻炎・喘息・アトピー性皮膚炎など、アレルギー疾患は一つ発症するとほかのアレルギーも続けて発症するケースも少なくありません。
- Qスキンケアのポイントを教えてください。
-
A
保湿の薬は適切な量を正しく使うこと。塗るタイミングも医師のアドバイスどおりに使うこと。これがポイントです。治療しているのになかなか治らないと相談に来られる方の中には、薬の使用量がとても少ないケースが見受けられます。使用量が少ないと薬が本来の力を発揮できません。同じ時期に同じ処方をしたとしても、決められた用法や用量を守っているご家庭とそうでない場合とでは、赤ちゃんの皮膚の状態に差が出てしまうのです。せっかく治療を始めても、薬を正しく使わなければ肌のバリア機能が保てず、抗原が入る隙を与えてしまいます。
- Qホームケアでの注意点はありますか?
-
A
医師のアドバイスどおりのスキンケアを心がけましょう。入浴方法から薬の量やタイミングなど、わからないことがあれば医師に確認してください。当院ではご家庭でのホームケアが正しく行えるよう、アドバイスに力を入れています。薬の量も言葉だけでなく、実際に手に取ってお見せします。また現代ではインターネットでさまざまな情報が手に入りますが、もしその見極めに迷ったり、不安を感じたりしたら、医師にご質問ください。専門医師の目から見て正しい情報を、また赤ちゃんにとって良いと思われる選択をお伝えします。