金子 裕貴 院長の独自取材記事
平沼橋こどもみらいクリニック
(横浜市西区/平沼橋駅)
最終更新日:2025/03/26

「平沼橋こどもみらいクリニック」の院長を務める金子裕貴先生は、東京女子医科大学病院をはじめ、大規模病院で小児科全般に対応し、他の診療科と連携して重篤な患者の治療にも携わってきた医師だ。中でも専門とするのがアレルギー疾患で、大学病院で研究や臨床経験を深め、日本アレルギー学会アレルギー専門医の資格も取得。「未来を担う子どもたちをサポートしたい」と開業し、5年目を迎え、地域に浸透した同院。近隣の子育て世代はもとより、アレルギーや皮膚疾患などの専門的な診療を求めて遠方からも患者が訪れるという。インタビューでは、金子院長に、診療の特徴や小児医療への思い、子どものアレルギーなどについて話を聞いた。
(取材日2024年11月29日)
親子で「また来たい」クリニックをめざして
まず、こちらのクリニックについて教えてください。

発熱・咳・風邪など日常の不調や、皮膚の病気、乳幼児健康診断、予防接種など、お子さんの健康をさまざまな角度から支えるクリニックです。特に、アレルギーは私の専門分野で、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎をはじめ、アレルギー疾患全般に対応しています。また、大学病院と連携した頭蓋変形症の相談に応じるほか、不登校のお子さんとそのご家族のお悩みにも向き合っています。お子さんに「また来たいな」と思ってもらえたらと考え、院内はクリニックらしくない楽しい雰囲気になるよう心がけています。開業から5年を経て患者さんも増えてきました。近隣の方が中心ですが、最近は遠方からも、アレルギーや皮膚症状の診療を求めて来られる方も目立ちます。
子どもが受診しやすい工夫をされていると聞きました。
お子さんやご家族の負担を軽減するための技術を積極的に取り入れています。例えばインフルエンザ検査では、専用カメラで撮影した咽頭画像からAIが判定を補助する機器を用いています。鼻や喉の奥を綿棒で拭う必要がないので痛みも少なく、従来の検査方法よりもお子さんの負担を抑えられます。検査結果は数秒から十数秒で出ますし、感染から12時間たたなくても使用できる点もメリットです。また、当院では従来のインフルエンザワクチンに加え、鼻腔内に噴射するタイプのインフルエンザ点鼻ワクチンを新たに導入しました。注射による痛みを軽減することができ、かつ1回の接種で済むので通院負担も軽減できるのです。私たちとしても、お子さんに痛い思いをさせなくて済みますので、心理的負担はとても軽くなります。
乳幼児の予防接種についても教えてください。

ワクチンは、人類が感染症に打ち勝つための知恵の結晶です。赤ちゃんの健康を生涯にわたって守るためにも、きちんとワクチン接種をして丈夫な体をめざしてほしいですね。とはいえ、乳幼児が受けるべきワクチンの種類は多く、親御さんのスケジュール管理も難しいでしょう。間が空いてしまった場合などには、改めて接種スケジュールを組みますのでご相談ください。また、最近はいろいろな情報が出回っていますが、適切な情報かどうかを見極めることが大切です。不安や疑問に思うことがあれば、お気軽にご相談いただきたいですね。
未来ある子どもたちをサポートするために地元で開業
ところで、先生はどうして小児科を選ばれたのですか?

両親と祖父が医師だったこともあり、私にとって医師は幼い頃から身近な職業でした。小児科を選んだのは、研修医時代にさまざまな診療科を経験する中で、未来ある子どもたちをサポートできることに魅力を感じたからです。日々の診療を通して子どもの成長を実感できることが、小児科冥利に尽きる瞬間ですね。大学卒業後は、東京女子医科大学病院で初期研修を受け、千葉市立海浜病院で新生児医療を学び、埼玉県済生会栗橋病院で地域に根差した診療を経験。大学病院や大規模病院では、小児科全般に対応しながら、食物アレルギーの研究や治療、重症の気管支喘息の診療などに関わりました。小児の脳腫瘍の治療では脳神経外科と連携することもあり、治療の難しい病気を抱えたお子さんとそのご家族に寄り添い、ともに病気と闘う経験が私の視野を広げることにつながりました。
開業のきっかけや思いを聞かせてください。
大学病院で学んできたことをより多くの患者さんに伝えていきたい。病気に悩むお子さんやご家族をサポートしたい。この2つが開業を選んだ理由です。出身が横浜市ですので、地元の地域医療に貢献したいという思いも強かったですね。また、アレルギー分野のように長期にわたる治療は、身近なクリニックのほうが継続的に診られることもポイントでした。院名の「みらい」は、私が小児科を選んだ理由に通じます。子どもたちが安心して暮らせるように、地域に寄り添った優しいクリニックでありたいと思っています。
診療の際、大切にされているのはどのようなことですか?

赤ちゃんでも小さなお子さんでも、目線を合わせて優しく話しかけるようにして、できるだけ不安や痛みを感じさせないように配慮しています。診療時は同席するスタッフがおもちゃを見せたり、リラックスできるようBGMを流したりしています。また、患者さんや親御さんに対して「来てくださってありがとう」「治療を頑張りましたね」など、思ったことを言葉にして伝えることも心がけています。当院には、保育園での勤務経験がある看護師も在籍していますし、スタッフの多くは子育て経験者で、親御さんから相談を受ける場面も目にします。患者さんとの距離の近さや信頼関係も、スタッフの優しさがあってこそと思っています。
アレルギー疾患の診療や乳児のスキンケアの指導に注力
子どものアレルギーについて教えてください。

皮膚のアレルギーを発端に、食物アレルギーを発症して、さらに成長の過程で気管支喘息やアレルギー性鼻炎を発症することを「アレルギーマーチ」と呼びます。アレルギー症状はリンクしており、小さい頃に皮膚など何かしらのアレルギー性疾患を発症すると、年齢を重ねるごとに他のアレルギー性疾患も発症することが多いのです。そこで、近年、アレルギーマーチの入り口の予防にもつながる赤ちゃんのスキンケアの重要性が注目されています。親御さんご自身が皮膚のかゆみやアトピー性皮膚炎に悩まれて、お子さんもアトピー性皮膚炎ではないかと心配して医療機関を受診されることも多く、当院は大人の診療にも応じています。アレルギー症状に悩む患者さんはとても多いので、少しでも力になりたいと思います。
アレルギー予防のためにもスキンケアをしたほうが良いのですか?
そうです。適切なスキンケアは、皮膚を整えるだけではなく、食物アレルギーの予防にもつながるとされています。生活していると室内の空気中に、ダニ・ハウスダスト・小麦粉などのアレルギーを発生させる抗原という物質が生じます。整った肌にはバリア機能がありますが、湿疹などで肌が荒れていると、抗原が体内に入り込みやすくなってしまうのです。最近の親御さんは、赤ちゃんが産まれてすぐの時からしっかりとスキンケアをされる方が多く、これはとても良いことだと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

子育ては困難なことも多く、次々と悩みも出ることでしょう。何か困った時に相談しやすい、安心してかかれるクリニックでありたいと思っています。少し混んでいることもありますが、予約システムや電子決済を導入し、待ち時間の短縮や利便性の向上に努めていますので、うまく活用していただきたいです。予約システムは一般診療と各種ワクチンのどちらにも対応し、混み具合に合わせて予約枠を調整して、10分単位での時間予約が可能です。土曜も診療を行い、オンライン診療にも対応しています。お子さん連れで複数のクリニックを受診されるのは負担でしょうから、親御さんの予防接種やアレルギー、皮膚疾患、風邪などの感染症の診療も行います。どのようなことでも気軽にご相談ください。