注射薬という新たな選択肢も
クリニックで受けられる頭痛治療
名古屋ニューロサージェリークリニック
(名古屋市守山区/神領駅)
最終更新日:2024/03/15


- 保険診療
頭痛は日常的な症状であるがゆえ、市販薬を使い、痛みをやり過ごしている人も少なくないだろう。そんな現状に対し、「頭痛にはさまざまな種類があり、中には重大な病気が要因となって痛みが生じることもあるため、注意が必要です」と警鐘を鳴らすのは「名古屋ニューロサージェリークリニック」の林純一院長だ。林先生はこれまで総合病院や大学病院で急性期患者に対する手術を数多く執刀した、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。救命救急センターから在宅医療まで幅広く診療に携わった経験をもとに、同院では地域のかかりつけ医として頭痛を抱える患者の外来治療に力を注いでいる。診察では問診を丁寧に行うことをモットーとしている林先生。今回は、クリニックで受けられる頭痛治療について話を聞いた。
(取材日2024年2月21日)
目次
問診やMRI検査で頭痛の種類を診断。結果に基づき、原因や症状に合わせた治療を行うことが大切
- Q頭痛は治療できるものなのでしょうか?
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A
▲脳神経外科専門の医師による詳しい解説
頭痛は一次性と二次性の2種類に分けられます。二次性頭痛はくも膜下出血や頭部外傷など、病気やけがが原因で起こります。二次性では、内科的治療に加えて外科的な手術や処置が必要なケースもあります。一方、一次性頭痛は明確な器質性病変がなく起こる頭痛のことを指します。一次性の中には、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。片頭痛は複数の要因が重なり合って起こるとされており、緊張型頭痛は首や肩の筋肉の凝りが要因です。群発頭痛は眼の奥が痛む頭痛で、痛みが起こっては治まる、というのを繰り返す特徴があります。これら一次性頭痛に対しては薬物治療など対症療法や生活改善を行い、痛みの予防、軽減をめざします。
- Qどんな症状のときにクリニックを受診するのが良いでしょうか。
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A
▲重大な疾患が隠れている可能性があるので、医師による診断が肝心
頭痛の程度や頻度、痛む部位がいつもと違うときや、吐き気や嘔吐、発熱、手足の麻痺やしびれがある場合は受診して医師の診断を受けてください。以前かかった病院で片頭痛など一次性頭痛の診断が下りていた場合にも注意が必要です。片頭痛だと思っていたら脳動脈解離やくも膜下出血も併せて発症していた、というように同時に複数の疾患を抱えていることもあるからです。最近はウェブサイトやAIシステムに症状を入力すると、疑わしい病名を提示してくれる便利なツールもありますが、その診断が正しいとは限りません。重大な病気を見逃さないためにも、気になる症状があるときや痛みが続く場合には、専門の医師による診察を受けてほしいですね。
- Q頭痛治療はどのように診療を進めますか?
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A
▲患者の負担も抑えられる先進の設備
患者さんが診察室に入ってくる様子や問診時の話し方を見て、麻痺や言語障害の有無を最初に観察します。問診では頭痛の程度、痛みが出ている部位、持続時間、服用した市販薬の種類や経過、吐き気や嘔吐の有無、既往歴などを総合的に問診します。問診の結果、検査が必要と判断した場合はMRIまたはCT検査へ進みます。MRI検査は脳動脈の状態を見ることができるため、脳梗塞、くも膜下出血、脳動脈解離、脳腫瘍などの発見につながりますが、体内に金属やペースメーカーが入っている方、閉所恐怖症や約15分間じっと横になれない方には検査することができません。さらに精密な検査が必要な場合には、近隣の総合病院や大学病院を紹介します。
- Q治療方法を教えてください。
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A
▲日常生活へのアドバイスも欠かさない
痛みの原因となる病気が見つかった場合は、その病気に対する治療を行います。一方で、検査で異常が見つからない場合は、一次性頭痛に対する治療を行います。頓服薬による対症療法では、数多くの種類の中からその人の症状や、既往歴によって薬剤を選択していきます。痛みが慢性化した方の中には、人格にも影響を及ぼすことがあるので、そういった場合は、向精神薬など痛み止め以外の薬を追加で処方します。カフェインやアルコールの過剰摂取が頭痛を引き起こすこともありますし、ストレスや運動不足、寝不足、寝過ぎも痛みの誘因となり得ます。生活習慣を整えることも症状緩和のためには肝要です。
- Q注射治療など、飲み薬以外のアプローチについて知りたいです。
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A
▲頭痛で悩む患者に向けてさまざまなアプローチをしている
飲み薬での改善が難しい方を対象に、片頭痛には注射治療もあります。およそ1ヵ月に1回の注射で症状の予防や軽減が期待できます。希望される方は自己注射も可能で保険診療です。また、頭痛ダイアリーをつけることも診療の助けになります。頭痛ダイアリーとは、1枚が4週間の記録となっており、月経周期、使用した薬剤名、薬剤の効果、日常生活への影響度などを記載する日誌です。同様のアプリには天気を記録できるものもあります。こういった記録があると、人によっては月経の前に頭痛が起こっているだとか、気圧の変化が影響しているかもしれない、といったことがわかるようになり、薬を携帯するなど、頭痛に対して前もって準備ができます。