パパとママの心にも寄り添う
乳幼児健診の役割と流れについて
あきたけ医院
(北九州市門司区/出光美術館駅)
最終更新日:2024/11/05
- 保険診療
乳幼児の健康状態を把握し、病気の早期発見・早期治療を目的に各自治体や小児科で実施されている乳幼児健診。この健診では、赤ちゃんの成長、発達、栄養状態、先天性疾患を含む病気の確認などに加え、予防接種の時期や種類、離乳食、育児に関するアドバイスを受けることもできる。出産後、すぐにスタートする乳幼児健診や予防接種。しかし、特に初めての出産後は環境が一変し、定期的に訪れる自治体や各施設からのお知らせに、気持ちが追いつかないパパやママも多いのではないだろうか。そこで、診療に取り組む傍ら、自身も日々子育てに奮闘する「あきたけ医院」の眞鍋舜彦(まなべ・としひこ)先生に、乳幼児健診を受ける時期、具体的にどのようなことを行い、どのようなことがわかるのか、さらに実際の健診フローについても詳しく聞いた。
(取材日2024年9月5日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q乳幼児健診の目的について教えてください。
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A
乳幼児健診の目的を簡単にいうと、お子さんの健康や発育をチェックすること。病気の発見、成長の評価、発達の評価、この3つが乳幼児健診が担う大きな役割と言えるでしょう。また、育児の悩みや困り事も伺いながら、パパとママの心の健康も見守らせていただくことにも注力します。インターネット社会ですので、不安なことがあったらすぐに検索して調べることができる時代。しかし、その情報がすべて正しいとは限りません。誤った情報をうのみにして、不安な気持ちを抱えている親御さんも少なからずいらっしゃいます。適切な情報をお伝えし、安心していただくことも、乳幼児健診で私たちに求められる役割だと考えています。
- Q乳幼児健診ではどのようなことを診るのでしょうか。
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A
乳幼児健診は、4ヵ月、10ヵ月、1歳半、3歳といった月齢や年齢を目安に実施しますが、すべてにおいて、身長、体重、胸囲、頭囲といった身体測定を実施します。しかし、運動機能に関する発達や、意味を含んだ動作を理解できているか否かなどの精神的な発達、視覚反応、あとは名前を呼ばれると振り向くかなどの聴覚に関する確認などは、各月齢の成長に沿った内容で発育の様子を確認します。地域の保健所などに集まって行う「集団健診」と、市区町村から配布された受診票を持って、かかりつけの小児科で受ける「個別健診」の2つの方法があります。
- Q健診を受けるにあたり、準備しておくことはありますか?
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A
乳幼児健康診査受診票、母子健康手帳、健康保険証、乳児医療証などに加え、お子さんが水分補給できるものや、おむつ、お尻ふき、お気に入りのおもちゃなどをご準備されておくと安心でしょう。また、診察や測定の際はおむつだけになるので、着脱しやすい服装が良いと思います。それから、母子健康手帳に、各月齢に関するチェック項目がありますので、それを事前にご記入された上で来院いただけるとスムーズに健診を受けることができます。また、ちょっとしたことでも構いません。乳幼児健診は、育児相談の場でもありますので、予防接種、育児に関するお悩み事やお困り事なども気にせずご記入されてください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1受付
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地区町村から送られてきた問診票は、事前に記入しておくと、当日の受付がスムーズ。また、育児における悩み事や困り事なども、日頃から都度メモして当日持参すると相談漏れがなく安心だ。同院での乳幼児健診は予約制ではなく、火曜と木曜の午前中、第1、第3、第5土曜の午前中に受けつけているとのこと。当日は、乳幼児健康診査受診票や調査票、乳児医療証、母子健康手帳、替えのおむつ、水分補給できるものなどを忘れずに。
- 2身体測定
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身長・体重・胸囲・頭囲を測定。生後半年くらいまでは、寝かせたまま測定をするため、着脱しやすい前開きタイプの服装だとスムーズに計測しやすい。計測値は母子手帳の成長曲線をもとに成長具合を確認。一人で立てるようになると、背中が曲がっていないかなど、姿勢などにも目を向け、異常がないか、全身をくまなく確認する。成長スピードはそれぞれ異なるため過剰な心配は不要だが、気になる場合は相談を。
- 3問診・診察
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ここでは、おなかや背中に聴診器を当てて、心音などをチェックする。おなかの触診や股の診察も実施。常に医師からの声かけがあり、その内容の理解や反応の確認も同時に行う。さらに話をする時は、医師がしっかりと赤ちゃんの目を見ることで、視線の確認につなげている。健診時の様子だけでなく、普段家で過ごす様子を医師に伝えることも適切な診断に結びつく。他の子と比べて心配するよりも、医師に相談することを心がけよう。
- 4予防接種などの説明
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赤ちゃんの誕生後、すぐにスタートする予防接種。乳幼児健診に予防接種にと、特に第1子の場合は初めてのことばかりで、これから受けるべきそれらのスケジュールを把握するのにストレスを感じる人も少なくない。そんな時こそ、乳幼児健診を活用したい。乳幼児健診では、次回受ける予防接種の種類と時期のアナウンスや、なぜ予防接種が必要なのかの説明も受けられる。
- 5育児相談
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出産後の女性の体は、ホルモンの急激な変化により産後うつを発症しやすい状態。そうでなくても、これまでの生活が一変し、慣れない新生児の世話で睡眠不足の人も多い。そのようなパパやママに寄り添うのも乳幼児健診が担う重要な役割。子どものことに限らず、いつもできていたことができなくなった、やる気が出ないなど、日常生活で自身の変化を感じている人は要注意。躊躇せずに医師や看護師に相談をしよう。